資産運用のプロが教えるお金の話

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『国と個』を考える
2008.08(第22回)

   『2011年度の基礎的財政収支が赤字、最小でも3.9兆円』という非常にショッキングな見出しが日経新聞の一面を飾っておりました。2011年度の日本の収支は最低でも3.9兆円の赤字になるという試算です。
 さらに支出の削減が滞り、経済成長が鈍化すれば、この赤字幅はさらに7.9兆円にまで増大するというのですから、日本は今後どうなるのかと真剣に考えざるを得ません。
 国の借金に関する件は以前にも一度触れさせていただきましたが、報道によれば2008年度の借金は553兆円にまで積みあがる見通しであり、これは現国家収入の約10年分に該当する金額です。
 小泉政権時代の2006年に、2011年度までに財政収支(=プライマリーバランス:公債発行による収入やその償還のための支出を除いた収支)を黒字化するとした『骨太方針』計画はどうなるのでしょうか?

 報道のとおり成長率見通しが下がれば、税収も減収となり、当然計画の達成は難しくなると考えられます。
 「国の収入と借金」と言うと、私たちの生活にはあまり関係がないように思えるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。国の財政事情に関する問題は、私たちの生活に密接に関係するのです。
 赤字を解消するのに最も簡単な方法は何でしょうか?
 簡単です。収入を増やして、支出を減らせばいいのです。非常に単純な理屈です。これを国の単位に当てはめると、とたんに難しく感じられるかもしれませんが、そんなに複雑なことではありません。

 まず収入です。国の収入は国民が支払う税金です。そしてこの税収入を、道路建設や公共施設、社会保障等々に分配しており、これが支出になります。実際の内情はそう単純ではありませんが、国家財政は、特に最近問題となっている社会保障費等の増加に伴い、支出がかさんでいる状態です。結果として支出が収入を上回り、その差額を埋めるために借金をし、その総額が先の553兆円という数字にまで積み上がるという極めて危険な状況にあります。
 では、収入を増やすにはどのようにするのがよいのか? それを解決するのが、現在、多くの議論を呼んでおり、かつ私たちの生活に密接に関係している増税です。そしてその税金の中でも今最も注目をされているのが消費税です。
 前述した財政収支の黒字化のためには、歳出削減と成長(税収増)と増税の3要素が必要とされています。
 国の税金収入の内訳を見てみますと、所得税30.4%、法人税31.2%、消費税19.9%と主にこの3税で全体の8割強を占めております、不足金額は数兆円単位となるため、これらのいずれかで税収増大を図るのが通例となり、それが消費税の増税につながるというものです。
 冒頭で申し上げた2011年度の財政赤字が3.9〜7.9兆円という金額は消費税に換算すると1.7〜3.4%に該当する計算になるとされており、これが実現すれば現在の消費税5%が、6.5〜8.5%になると考えられます。これをどう捉えるかは皆さま次第です。ちなみにここでもグローバルな考え方は重要であり、欧州諸国の消費税は15%を越えているという事実も参照になるとよいかもしれません。

 一昨年には、死亡数が出生数を上回る人口減少国になった日本。少子高齢化が進行し、社会保障費の増大が避けられない中、その財源としての消費税。
 では、削減は何を削減するのがよいのでしょうか? これも歳入と同様、一番大きなウエイトを占める支出を削減、つまりは社会保障費の削減です。高齢化が進むのに社会保障費を抑制するという矛盾をはらんだ削減をせざるをえないのです。現在の日本の公的年金の仕組は、現役世代が引退世代を扶養する仕組になっています。先に申し上げたようにこのまま高齢化が続けば、現役世代の負担は約25年後に現在の倍額が必要になる計算になります。これでは崩壊となるため、2004年の年金改革で現役世代の負担料を増やし、引退世代が受け取る年金額を引き下げることになりますが、年金記録問題等に代表されるように、今の現役世代の人間が将来にわたり年金が十二分に支給されるかは、国家財政とも大きく影響するため注視が必要です。
 そういう意味でも自分の将来の年金を、今から自分年金として運用しておくことは重要なことだと考えます。

 今回をもちまして、このコラムでの、私、久世晋司の原稿は最後になります。長い間お読みいただき、どうもありがとうございました。



文責:(株)船井財産コンサルタンツ 久世 晋司
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