トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
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2026年10月26日
永遠に完成しない夢の国 〜ウォルト・ディズニーが遺した言葉と、その哲学〜 (※佐野浩一執筆) (※佐野浩一執筆)

 世界中の人々を魅了し続けるディズニーのテーマパーク。なかでもアメリカ・フロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールドは、人間の想像力が生み出した壮大な夢の世界といえます。美しい街並み、心を躍らせる音楽、物語の世界を現実にしたアトラクション、そして訪れる人々を笑顔で迎えるキャストたち。そこでは子どもだけでなく、大人までもが童心に帰り、日常を忘れて夢中になることができます。
 「公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を」の活動の一環として、代表の大住力さんとのフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドを訪れたのは、2015年3月のことでした。いまでも、あのときの感動がまるでいま目の前で起きている出来事のように湧き上がってきます。
 ただ、主目的は、パークに隣接する「ギブ・キッズ・ザ・ワールド」でのボランティア体験とディズニーの哲学の学びでした。米国フロリダ州オーランドにある非営利慈善団体「ギブ・キッズ・ザ・ワールド」は、難病を患う子どもとその家族に、「1週間の想い出旅行(ウィッシュ・バケーション)」を提供、支援する活動を1986年よりこれまでに世界中から約20万人ほどが訪れています。家族全員が宿泊でき、コテージやレストラン、劇場、プレイエリア、プールなど、病気の子どもたちが快適に過ごせるよう工夫されたさまざまな施設を完備したビレッジに1週間滞在しながら、車で15分程のディズニーテーマパークなどで楽しい時間を過ごします。自宅からの交通費やビレッジ内のレストランでの飲食代、テーマパークのチケット代などかかる費用は、すべて企業や団体の寄付により支えられています。「ギブ・キッズ・ザ・ワールド」の最大の特徴は、難病を患う子どもとその“家族”に支援の焦点が当てられていることにあり、いわゆる“家族の絆”の重要性を支援活動のコンセプトにおいている点です。
 「1週間の想い出旅行(ウィッシュ・バケーション)」を利用した家族のほとんどが、これまで長い闘病生活の送る中で、“生まれて初めての家族旅行”という生涯忘れられない経験を得たことが、バケーション以降も続く、闘病の大きな勇気に繋がっています。
この日本版を創りたいとの強い思いを実現させたのが大住力さん。もともと東京ディズニーリゾートでキャストとして働いていらっしゃったのですが、「ギブ・キッズ・ザ・ワールド」の創始者、ヘンリ・ランドワーズ氏と出会ったことがそのきっかけとなりました。  
 ヘンリ氏の「人は与えられた環境の中で生活をし、人に自分ができることを差し出すことによって、真の生きる歓びを知るのです。いま、あなたの目の前にいる人に、いま、あなたができることを“Share(分け合う)”することこそ、あなたが毎日を“暮らす”のではなく“生きる”ということです」というGive & Giveの精神に感銘を受け、こうした活動を、日本でもスタートすることを決心します。それが、「公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を」ということになります。難病の子どもたちが口をそろえて行ってみたいという夢の国、それがディズニー・ワールド……。大住力さんはもう何度も何度も難病の子どもとその家族をパークにご案内されて、幸せな家族のひとときをプレゼントされてきました。
 では、いったい、なぜそんなにも夢溢れる場所だと心がそそられるのでしょうか?今回は、ディズニーについて、大住力さんに教わったことをベースに少々書かせていただこうと思います。
 ディズニーの素晴らしさは、単に楽しい遊園地をつくったことではきっとないと思います。人間の想像力を信じ、夢を現実に変え、人々の心に希望や感動を届けようとしたこと。その根底には、創業者ウォルト・ディズニーの明確な思想と哲学がありました。
 そして、その哲学を知るうえで、彼が残した数々の言葉は貴重な財産です。いまなお私たちの心に強く響き、感動を生みます。
 ウォルト・ディズニーがディズニーランドを構想するきっかけの一つとなったのは、娘たちと遊園地を訪れたときの経験だったといわれています。子どもたちが楽しそうに遊ぶ姿を眺めながら、自分はベンチに座って待っている……。そんなとき、大人も子どもも一緒に楽しめる場所があったら、どんなに素晴らしいだろうと考えました。
 そして1955年、カリフォルニアにディズニーランドが誕生します。
 開園の日、ウォルトは、この幸せな場所を訪れるすべての人々を歓迎し、ここは皆さんの場所なのだと語りました。この言葉には、彼が目指したテーマパークの本質が表れています。ディズニーランドは特別な誰かのためではなく、家族や友人、世代を超えた人々が喜びを分かち合う場所なのです。ウォルトが目指したのは、単なる娯楽施設ではなく、そこに足を踏み入れた瞬間から“物語”の主人公になり、日常では味わえない感動を体験できる場所でした。
 建物の形や色彩、音楽、植栽、キャストの振る舞いに至るまで、すべてが一つの世界観をつくり出すために考えられています。人を幸せにするためには、目に見えない細部にまで心を込める……。その徹底したこだわりこそ、ディズニーの魅力を支えているのでしょう。
 ウォルトの夢は、いまなお日本の東京ディズニーリゾートにも受け継がれています。
 2024年、東京ディズニーシーには「ファンタジースプリングス」が誕生しました。  
 『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』という物語の世界が、最新の技術によって現実の空間に再現されています。
 「アナとエルサのフローズンジャーニー」では、ボートに乗って映画の世界を体験し、  「ラプンツェルのランタンフェスティバル」では、無数のランタンが輝く幻想的な光景に包まれます。
 東京ディズニーランドでも「ミッキーのマジカルミュージックワールド」など、音楽やダンス、華やかな舞台演出によって、幅広い世代が楽しめるショーが上演されています。
特に私が大切だと思うのは、小さな子どもたちが楽しめる世界です。「イッツ・ア・スモールワールド」や「プーさんのハニーハント」、東京ディズニーシーの「アリエルのプレイグラウンド」など、幼い子どもでも楽しめる場所が数多くあります。初めてミッキーマウスをはじめいろんなキャラクターに出会った子どもたちの笑顔。音楽に合わせて体を揺らす幼児。そんな姿を見つめる親や祖父母の幸せそうな表情……。
 つい、先日、孫たちとともにディズニーランドを訪れましたが、2歳と1歳の孫はもう完ぺきにディズニーの魔法にかかっていました……。もちろん、私たちも……。キャラクターのカチューシャをつけて、パーク内を闊歩している姿を、ふと我に返った自分が見て、まさにマジックだと痛感しました……。
 さて、私は、そこにウォルトが夢見た世界の原点があると思います。子どもが喜び、その子どもを見て大人も幸せになる……。ディズニーが生み出しているのは、単なる娯楽ではなく、世代を超えて喜びを分かち合う時間なのでしょう。
 一方、現在のディズニーには課題もあります。チケット価格の高騰、パークの混雑、人気アトラクションの長い待ち時間、追加料金による優先入場サービスなど、家族で気軽に楽しむには負担が大きくなっています。もちろん、施設の維持や新しい投資には多額の資金が必要です。しかし、利益を確保しながら、できる限り多くの人々に夢と感動を届け続けることが、ディズニーに求められる使命ではないでしょうか。
 もしウォルトが現在のパークを訪れたら、どのように考えるのでしょう。
 私は、彼なら現状を嘆くだけではなく、新しい発想と創造力によって解決策を見つけようとするのではないかと思います。なぜなら、ウォルトは常に困難を新しい挑戦の機会に変えてきた人だったからです。
 ウォルトは、こんな言葉を残しています。
 「何かを始めたいなら、まずおしゃべりをやめて行動することです」
 彼の人生は、まさにこの言葉を実践したものでした。事業の失敗や資金難、自ら生み出したキャラクターの権利を失う経験など、幾度も困難に直面しながら、夢を描くことをやめませんでした。
 1937年に公開された長編アニメーション映画『白雪姫』も、当時としては大きな挑戦でした。多くの人々が成功を疑う中、ウォルトは新しい表現の可能性を信じ、作品を完成させたのです。
 彼はまた、こんな言葉も残しています。
 「不可能なことに挑戦するのは、ちょっと楽しいものだ」
 なんともウォルトらしい言葉ですね……。普通の人なら不可能だと思って諦めてしまうことに、むしろ面白さを見いだす。そこには、失敗を恐れるよりも、未知の可能性に挑戦することを楽しむ精神があります。
 さらに、彼は好奇心を大切にしました。
 「好奇心を持っていれば、面白いことがたくさん見つかる」
 好奇心こそが、新しい発想を生み出し、人間を成長させる原動力なのです。
 ウォルトは、単に夢を語る人ではありませんでした。夢を実現するために新しい技術を取り入れ、多くの才能を集め、挑戦を続けた実践者だったのです。その彼が晩年に取り組んでいた大きな構想の一つが、フロリダでの未来都市づくりでした。EPCOTと呼ばれるその構想は、単なるテーマパークではなく、新しい技術や都市計画を取り入れ、人々の暮らしをより良くするための実験的な都市を目指したものでした。
 ウォルトは1966年、その完成を見ることなく亡くなりました。
 現在のEPCOTは、当初の未来都市構想とは異なるテーマパークとして発展しています。しかし、そこには人間の創造力によって社会をより良くできるという、彼の未来への希望が受け継がれています。
 ウォルトの偉大さは、娯楽産業の成功者だったことだけではないと思います。人間の可能性を信じ、想像力と技術によって、未来そのものを変えていこうとしたことにあります。AIなどの技術が急速に発展する現代だからこそ、その考え方は一層重要になっているように感じます。技術はあくまで道具です。何のために使うのか、誰を幸せにしたいのか。その目的があって初めて、人々の心を動かす力になるのでしょう。
 ウォルト・ディズニーが残した言葉の中で、私がもっとも好きなのは、次の言葉です。
 「ディズニーランドは永遠に完成しない。この世界に想像力が残っている限り、成長し続ける」
 普通、何かをつくるとき、私たちは完成を目指します。しかしウォルトは、最初から完成しないことを宣言していたのです。彼はディズニーランドを、絶えず新しいアイデアを加え、成長させていくことのできる、生きた存在として考えていました。完成しないということは、未完成でよいという意味ではありません。常に新しい夢を描き、より素晴らしいものを生み出し、人々の期待を超え続けること。そのためには、変化することを恐れてはいけないということなのでしょう。
 私は、この哲学には企業経営だけでなく、私たち自身の人生にも通じる深い意味があると思います。人間は何歳になっても新しい夢を描くことができます。昨日までの自分を超え、より良い明日をつくることができます。完成してしまえば、そこで成長は止まってしまうかもしれません。しかし、完成しないからこそ、未来への可能性は無限に広がっていくのです。
 ウォルト・ディズニーが亡くなってから60年。彼が生きていた時代には想像もできなかったほど、ディズニーの世界は大きく広がりました。それでも、夢の国の中心にあるものは変わっていないように思います。それは、人間の想像力への信頼と、人々を幸せにしたいという純粋な思いです。ディズニーが私たちに見せてくれる本当の夢とは、華やかなパレードや壮大なアトラクションだけではないのでしょう。
 人間には、夢を描き、それを現実に変えていく力がある……。そのことを信じさせてくれるところに、ディズニーの本当の魅力があるのだと思います。
 永遠に完成しない夢の国。
 それは、ウォルト・ディズニーが未来の人々に託した、終わることのない希望の物語なのかもしれません。
 これからもなお、難病を患う子どもたちだけでなく、すべての子どもたちの夢の国として、さらなる発展をしていくことだと思います。そして、私たち大人も、人生そのものを、完成することのない夢物語として、丁寧に力強く描き続けていくことが大切なのだと思うのです。
                        感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役会長
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長
株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他
1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。
大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。
2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。
講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。
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