トップが語る、「いま、伝えたいこと」
過日(1月15日)、NHKで観た「あしたが変わるトリセツショー」で、効果的な体操やトレーニングについて特集されていました。メニューとしては、「片足立ち」や「スクワット」のように、基本ではあるけれど、いろんな筋肉が動かせてその分効果も出やすいものばかりでした。ただ、やはり一番問題になるのは、いいとわかっていても継続できるかどうか……。私も、3日坊主を繰り返しています。番組内では、大切なことは、「まずは、一カ月続けること」と伝えていました。しんどい日は休んでもいいから、まずは一カ月。さあ、続くかどうか自信はありませんが、トライしてみます。
さて、「脳トレ」という言葉を耳にするようになって久しいですが、こちらも「時間を決めて、特別なことをやらなければならない」と思われている方が少なくないと思います。実は、脳のトレーニングは筋トレとは違い、わざわざ時間を確保しなくてもできたりします。日常生活の中で、ほんの少し意識を変えるだけで、脳の神経ネットワークは作り替えられ、より豊かになっていきます。だったら、やらない手はありません。
心理学を学んでいると、必ずぶつかるのが、「ワクワクできているか」なんです。最近、心が弾むような瞬間はあったでしょうか。毎日が同じことの繰り返しで、特に変化も刺激もない、と感じていないでしょうか。ここが、脳トレとの接点となります。
実は、決まった作業を淡々とこなすだけの生活を続けていると、脳の中で「前頭前野」という重要な部分の働きが低下してしまいます。前頭前野は、考える力や判断力、意欲に関わる中枢です。慣れきった作業をしているとき、この部分はほとんど活動していないことがわかっています。「いつも通り」「面倒だからやらない」を優先する生活は、前頭前野を使わない生活でもあります。その結果、脳は少しずつ老化していってしまうのです。
さらに問題なのは、「やる気」を生み出す「線条体」という部位も使われなくなることです。線条体は、行動を始める力、続ける力、そして「楽しい」「やってよかった」という感覚をつくる中心的な役割を担っています。ここが働かなくなると、意欲そのものが湧きにくくなり、ワクワクを感じにくくなる悪循環に陥ってしまいます。
私たちがドキドキしたり、楽しみにしていたりするとき、線条体は活発に働き、ドーパミンという物質が分泌されます。ドーパミンは「快感のホルモン」として知られていますが、それだけでなく、実は記憶を良くしたり、スキルの上達を助けたり、脳のつながりを強める働きもしています。
面白いことに、ドーパミンは「実際に良いことが起きたとき」よりも、「これから良いことが起こりそうだ」と予測したときのほうが、より強く出ることがわかっています。つまり、「楽しみだな」「終わったら気持ちよさそうだな」と思うこと自体が、脳にとって大きな刺激になるのです。
たとえば、「ジョギングをしたらチョコを一粒食べる」と決めて続けていると、やがて「走ろう」と思っただけで気分が上がり、やる気が出てきます。これは、行動と快感が脳の中で結びついた結果です。仕事や家事も同じで、「これをやれば、ちょっと気分が良くなる」と思いながら取り組むだけで、脳は活性化します。
とはいえ、やる気がまったく出ない日もありますよね。そんなときは、やるべきことをできるだけ小さく分けてやるといいようです。「5分だけやる」「資料を開くだけ」といった具合です。線条体は、行動を始めると活発になる性質があるため、とにかく始めてしまえば、意外と続いてしまうことが多いのです。
また、「バリバリ片付ける」「サッと座ってガッと始める」といったオノマトペを口に出すのも効果的です。勢いのある言葉を使うと、脳は「やる気がある」と錯覚し、線条体が刺激されやすくなります。「まず始める」というのは大事なことなんですね!
ただ、結果が思ったほど出なかったとき、気を付けてください!「自分責め」ではなく「自分褒め」です!「始めただけでもえらい」「今日はここまでできた」と認めることで、脳は報酬を得たと判断し、次の行動への意欲が生まれます。
2つ目は、「予習と復習」、そしてイメージトレーニングです。失敗したとき、「ああ、またやってしまった」と落ち込むのではなく、「次はこうしよう」と具体的にイメージすることが重要です。間違えたと強く意識すると、脳の中で自分の行動を振り返る部分が活性化し、その後の学習が進みやすくなることがわかっています。
買い物を忘れてしまったなら、「次はメモを右ポケットに入れて、途中で確認する」と、動作を頭の中で再生してみるんです。実際に体を動かさなくても、イメージするだけで、脳の神経のつながりは強化されます。
一流のアスリートが練習後に日記を書くのも、復習とイメージトレーニングを兼ねているからだと言われています。大人になってからも、この習慣は大いに役立ちますよね。
3つ目は、「人に話す・教える」ことです。脳には「アウトプットしようとすると記憶が定着しやすくなる」という性質があります。頭の中で覚えようとするだけより、誰かに話したり、書いたりするほうが、脳の情報ネットワークは強く広がります。
今日見たニュース、心に残った出来事、本や映画の感想などを、ぜひ人に話してみてください。文章を書くときも、「誰かに説明するつもり」で書くと、理解も記憶も深まります。人との会話は、認知機能を守るうえでも大切な刺激になります。コミュニケーション機会が増えることは、いわゆる認知症対策にも有効です。
最後に少し蛇足を書こうと思います。「AIとの付き合い方」についてです。これまた「脳トレ」に有効です。ChatGPTの登場で、AIがとても身近になりました。ただ、シンプルに一問一答のように、答えを受け取るだけの使い方では、脳はあまり働きません。大切なのは、まず自分で考え、その上でAIを使うこと、そして返ってきた答えにさらに質問を重ねていくことです。つまり、AIと言葉のキャッチボールをすることです。先述した、「人に話す・教える」ことにも通じます。AIを思考の代わりに使うのではなく、思考を深める相棒として使う……。この姿勢が、これからの時代には欠かせないように思います。
日常の中で、ワクワクすること、小さく始めること、振り返ること、人に伝えること、そして能動的にAIを使うこと。これらを少し意識するだけで、脳は確実に元気を取り戻していくように思います。
脳はずっと休みなく動いてくれています。ならば、その脳にも気持ちよく、働いてもらったほうがいいですよね!
新しい一年を、脳にとっても「成長の年」にしたいですね!
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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















