
トップが語る、「いま、伝えたいこと」

「イスラエルに旅すると、聖書がわかる、聖書がわかると古事記がわかりますよ」と、赤塚高仁さんにイスラエルツアーの企画案をいただいたのは1月のことでした。あれよあれよと言う間に、36人の仲間が集まり、「聖書に学ぶやまとこころの旅」というテーマで9日間、イスラエルを旅することになりました。
世界一のエスティシャン今野華都子さん、人気ブロガーで、いま目に見えない世界で起こっていることをとても分かりやすく書いてくれることで定評があり、10月17日、18日の「舩井フォーラム2015」にも出演してくださる天下泰平こと滝沢泰平さん、そして「これは一生の覚悟で参加しました」という小さいお子さんをお持ちの主婦の方まで、たいへん濃いメンバーで行って来ました。
今週から、数回にわたってイスラエル旅行で受け取った気づきを記したいと思いますが、まずその前に、キリスト教の教えの核心である『愛』についてまとめてみたいと思います。
「アガペー(無償の愛)」というキリスト教の『愛』が意味する考え方の底流には、一体どんな事実があるのでしょうか。
キリスト教の開祖イエス・キリストは、ユダヤ人でありユダヤ教を信仰していました。 ユダヤ教は神に救われるための条件が「戒律を守ること」とされています。即ち、ユダヤ教は『戒律の宗教』なのです。
ユダヤ教の経典である「旧約聖書」には、「律法(りっぽう)」と呼ばれる規則がいっぱいあります。当然信者はこの「律法」を守らなければいけません。
しかしその当時のユダヤ人の社会では、社会の上層部にいるエリート層はこの規則をしっかりと守っていました。しかし、毎日の生活を維持するだけ、食べることに精いっぱいの貧しい人々は、「旧約聖書」の細かな規則まで守る余裕はなかったのです。
例えば、“安息日には労働をしてはならない”と決められていても、働いて食事にありつくしかなかったのです。このような規則を破る者を「罪人(つみびと)」と呼ばれて蔑視、軽蔑せれていました。
ここで登場したのがイエス・キリストです。“規則を守ることができず、神に救われない人”を救いたいと考えたのです。『神に救われるための条件は戒律にあるのではなく“愛である”』、としたのです。
イエス・キリストが唱えた『愛』には、二つのカテゴリーがあると思います。
その一つは『神に対する愛』であり、二つは『隣人愛』でしょう。
またこの二つの愛は、両方の愛が一体となってはじめて意味を為すものと思います。そしてこの二つの定義はすでにユダヤ教の経典のなかにあったのです。(レビ記19章18)
イエス・キリストの教えを収めた「新約聖書」はギリシャ語で書かれていますが、ギリシャ語には『愛』を表する言葉が4つあります。
☆「エロス(男女の愛)」☆「フィリア(友情)」☆「ストルゲー(親子愛)」
☆「アガペー(無償の愛)」
このなかで「エロス」「フィリア」「ストルゲー」の三つの愛は誰でも納得のいく相互の愛であって、この両者の関係は相手も愛してくれるから愛することができるのです。
しかしイエス・キリストは言っています。“自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたにどんな報いがあるだろか(マタイ5章46)”。イエス・キリストが求めているのは、“・・・・だから”、という、愛する条件がなくとも、“愛しなさい”という『無条件の愛(無償の愛)』なのです。恋人や友人や家族でなくても、知らない人でも、知らない国の人でも愛しなさいということです。
さらに、イエス・キリストは『敵のことも愛せ』と言っています。“敵を愛し、あなたがたを憎む者にも親切にしなさい。悪口を言う者にも祝福を祈り、あなたがたを侮辱する者のために祈りなさい(ルカ6章27〜28)。
イエス・キリストは、自分を憎み、迫害する人々のことさえも愛したのです。この「無償の愛・アガペー」を実践してみせたのです。
愛と憎しみは、人それぞれの交わりの中で、必ず出会う出来事でしょう。民族の間にも。それは宗教の教えに導かれる尊さもありましょうが、しかし生きものとして人間として生き様の根底には、「無償の愛・アガペー」の境地に向けた実践的努力が人間としての土台と軸ではないでしょうか。
昨年に続いて今回の旅もガイドをしてくださったバラさんこと榊原茂さんは、すべてを捨ててやってきたイスラエルで神秘体験をしました。
日本のクリスチャンとして将来を約束される立場にあったのに、そこにバラさんにとっての真実がないことに気づいたバラさんは、神の啓示を受けて単身イスラエルに旅立ちました。
そして、どん底まで落ちて職も食べるものも住む家さえなくなった時に、エルサレムの教会でいままでどれほど乞い願ったかも分からないキリストに出会ったのです。
感激のあまり、「私は一体あなたに対して何をさせていただいたらよろしいでしょうか」と尋ねたバラさんに対して、キリストは「それは不可能だ。私の愛は一方的に与えるものだから」とお答えになりました。これが神や神の子が実践しているアガペーなのだと、私でも感じることができました。
すでににんげんクラブのWEBのほうでも、この旅について書かせていただき、これから発行される『ザ・フナイ』『にんげんクラブ』会報誌にもいくつかのトピックを取り上げました。ぜひご覧ください。
=以上=

2015.05.18:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】無償の愛 (※舩井勝仁執筆)
2015.05.11:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】アスペルガーとして楽しく生きる (※舩井勝仁執筆)
2015.05.04:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】日本の伝統芸能 (※舩井勝仁執筆)

ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』

