トップが語る、「いま、伝えたいこと」
前回は、アメリカのFRBが利下げを行う可能性が出てきたのではないかということを書かせていただきましたが、FOMC(米連邦公開市場委員会)は利下げの見送りを決定しました。パウエル議長はトランプ大統領の意向には従わずに、マーケットの環境を見てそれに従って判断すると決めたようです。ただ、そうなると逆にトランプ大統領が何を言い出すかわからないリスクを考えるとかたくなに利下げを見送ることも考えられ、年内の利下げはないのではないかという見方も少しずつ増えてきているようです。
予想を外してしまったということになるので謝らなければいけないのですが、市場の常識で言うとそんなことは気にすることではないということになります。予想は外れるものだし、そもそも何が起こるかわからない現状を考えると予想しているというよりもナラティブ(いい加減な物語だが共創構造がある)を作り上げて自分たちに都合のいいように市場を動かしていくためのコンセンサスとして予想を流しているということになると思います。それを迂闊に取り上げて紹介してしまった私のミスですが、市場の情報の扱いになれていくためには自分がどのような投資をしていくか決めることがまず大切だと思います。
私がおすすめするのは、短期的な市場の動向を気にせずに大きなトレンドだけを考えて長期投資をしていくという姿勢です。これなら私を含めて市場関係者が流す雑音的な情報に惑わされることなく大きな金融危機が来ないという予感を持たない限り落ち着いた気持ちで投資を続けて行けばいいということになります。私のマクロな予想(それこそナラティブなので頭から信用しないでください)は、地震に例えると市場はいつマグニチュード7、8クラスの地震が来てもおかしくない状態だが、きっかけになるトリガーを引かないように注意しているので短期的にはまだ大丈夫だろう。ただ、大地震を起こしたいと思っている人たちもいるのでマグニチュード6クラスの被害が比較的少ないものは起こる確率が高いというものです。
一方、デイトレーディングに象徴されるような短期的な投資をやりたい方は、市場の雑音の中から本命的な情報を上手く見つけ出し、できればそれに誰よりも早く反応することに徹すればいいのだと思います。この場合、才能が必須だと思います。昔仲の良かった友人に市場の集合意識が手に取るようにわかる能力を持っている人がいました。その逆に動くと必ず勝てるというのです。
自分の特性によってどのような投資をするのか決めて行けばいいというのが私の結論です。ただ、やめた方がいいのは、よほどの特殊能力がない限りチャートの動きの分析だけで投資判断をするチャーティストになることです。私も30年前にニューヨークにいたときにチャーティストの存在を知ってこれで絶対に儲けられると興奮したことがありましたが、アメリカ人の投資のプロからそんなことを考える奴は絶対に投資をしない方がいいと激しく注意されました。短期投資の場合、チャートは参考程度にしておいてそれよりも情報に反応するのが本筋だと思います。
講師業を生業とする川端知義さんの著書『光も陰も愛』(センジュ出版)を今週は紹介したいと思います。数年前に沖縄でお会いしたことがあるのですが、共通の友人の沖縄での勉強会に私は講師として行ったのですが、彼は頼まれたわけでもないのにその勉強会に参加することが絶対に必要だと思ってそのためだけに来ていました。師匠的な存在の中村文昭先生の「頼まれ事は試され事」という教えを頼まれてもいないのに(多分、雰囲気的に来てくれたらいいなあと感じたのだとは思いますが・・・)実行しての沖縄入りでした。同じように札幌からわざわざ来ていた人も含めて4人で沖縄のホテルでの部屋飲み(コロナ禍でした)で盛り上がりました。
ちょうど彼の出版記念講演会(その時は彼が話すと私は知りませんでした)の日に熱海から講演会に参加するという別の友人を東京の講演会場に車で送って行きました。そして、講演時間にはまだ時間があったので私も挨拶ぐらいしたらと言われて控室に行ったら、彼がいて本をいただいたというシンクロニシティが起こりました。このシンクロを活かすためには紹介するのは神さまからの頼まれごとだと感じたのです。
川端さんは「人の心は何か、愛とは何か」を追求し、『ポジショニング』という独自の心理学的な手法を持っています。ポジショニングは一般的な心理学とは違い、自らの経験を分析し、それに基づいた内容から生み出されたものであり、その独自のアプローチは非常に興味深いもので、本書はそれについて解説しています。
上記のような経緯から、本書は作者の半生を書いたところから始まります。生まれて育ち、スピリチュアル的なモノと出会って現在の活動を始めるようになったのか。心理学やさまざまな先生方の教えを実践しても全てが良い方向へ進むとは限らず、その理由を分析した結果、ポジショニングメソッドは生み出されたようです。普通はそこで違う教えを探すところなので、そのような方向性を取ることができるのは、川端さんの必要なものを理解する感受性の強さを感じます。
ポジショニングですが、既存の心理学とは全く違うもの、というわけでもありません。しかし非常に分かりやすい仕様となっており、誰にでも理解されやすく、実践も容易である内容にまとめたものであるように感じます。イメージを大切にしながらも、その為に自分はどのような立ち位置を取るべきか、最適な場所にいるために必要なアプローチとは何か。心の置き方、ポジションについて特に重要視されているようで、ネガティブな部分を避けるのではなく受け入れるような内容が独自性と言える部分で、自分を愛する、光の部分だけではなく陰の部分も愛するというテーマに繋がっています。
人間関係や生き辛さを感じる人も多い現代社会において、心の整え方は非常に重要なテーマの一つです。川端さんのポジショニング理論は、そんな社会を生きやすくする為の重要なヒントとなり私達を導いてくれる指針となるものかもしれません。
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2025.06.16:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】スローライフ (※舩井勝仁執筆)
2025.06.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】日本発のコンテンツ (※舩井勝仁執筆)
2025.06.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ある日の朝の思索 (※佐野浩一執筆)


舩井 勝仁 (ふない かつひと)
![]() 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち)![]() 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |
