トップが語る、「いま、伝えたいこと」
9月6日の午後、私のところにつぎのようなメールが知人の主婦からとびこんできました。
船井先生へ
ところで、ただいま、下記のような情報がとびこんできました。
(すでにご承知かもしれませんが……)
[ACTA=Anti-Counterfeiting Trade Agreement(仮名:模造品海賊版拡散防止条約法案)]が今日9月6日(木)衆院本会議でステルス(国民に全く知らされず)強行採決される模様です。
ACTA法案とは、“政府,政権,官僚,財界,大企業,東電,マスコミ,多国籍企業群,等々”に批判的なデータ,写真,情報,論評,等を掲載したブログは、検閲され賠償請求されることになる法案だそうです。
2ヶ月ほど前、21才の息子が「ブログがもうかけなくなるんだぜ」と申していましたが、このことだったのですね……!!
(一主婦より)(転載ここまで)
21才の息子さんの話題といい、そのお母さんの関心といい、私はびっくりしたのです。
そういえば今年3月21日付けの中日新聞の社説に「情報国家統制許すな」という「なるほど」と思った文章が載っていたことを思い出しました。
私がコピーをとり、ファイルしていたくらいですから、私も最近の日本国家の姿勢をあまり快く思っていないということのようです。少し我慢なりません。
【社 説】(2012.3.21)
情報の国家統制許すな 〜秘密保全法案〜
政府が検討してきた秘密保全法案の本質は、情報の国家統制である。国民の「知る権利」と衝突する恐れが極めて強い。法制定には問題点が多すぎる。
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福島第一原発の事故では、政府が多くの情報を隠蔽(いんぺい)してきた。放射能の拡散予測システム(SPEDI)の情報は、長く国民に知らされなかった。原発が炉心溶融(メルトダウン)していたことを正式に認めたのも、事故から1ヵ月もたってからのことだった。
原発情報は秘密なのか
原発がテロ組織のターゲットになるという論法を用いると、原発情報は「特別秘密」として扱われ、政府による合理的な情報隠しが可能になるかもしれない。
そんな懸念を喚起させるのが、秘密保全法案である。政府が作成作業を進めてきたが、今国会提出は見送り方針と報じられた。同法案は「国の安全」「外交」「公共の安全および秩序の維持」の三分野が対象である。原発情報はどの分野にも当てはまりそうだ。
この法案のいちばんの問題は、特別秘密と指定される行政機関の重要な秘密とは何かが、不明確である点だ。
政府の有識者会議では「別表で具体的に列挙する」としているものの、具体的に記すほど機密事項の在りかが明らかになる矛盾をはらむ。逆に抽象的かつ網羅的な内容になるのではなかろうか。実際に自衛隊法で定める防衛秘密は「一、自衛隊の運用または見積もり、もしくは計画、もしくは研究」などと、極めて曖昧な列挙方法を採用している。
何が特別秘密に該当するのか、この核心部分が曖昧では、政府や行政機関が多くの情報を秘密の対象とする恐れがある。
形式的な秘密ではなく、実質的な秘密を要件としているが、そもそも特別秘密を指定するのが、行政機関であるから、恣意が入り込む余地は十分にある。
議事録は作成されず
要するには都合の悪い情報に「特別秘密」というワッペンを貼れば、国民が情報公開などを求めても封じ込められることになるわけだ。「知る権利」への脅威となるのは間違いない。
対象が公務員だけでなく、事実委託を受けた独立行政法人や民間事業者、大学までも適用対象となる。これだけ広範囲に投網をかける法案が、曖昧な規定であっては、重要情報はすべて国家統制下に置かれるのと同然ではないだろうか。強い懸念を持つ。
しかも、有識者会議の議事録が作成されていなかったことが発覚した。法令の制定過程の文書化を義務づけた公文書管理会の趣旨に反するのは明らかだ。
特別秘密を故意に漏えいすると、懲役十年以下の厳罰を科す可能性がある。そもそも、罰則規定の伴う法律は、行政の恣意が働かないよう、あらかじめ何が違反行為になるのか明示されていなければならない。特別秘密の規定が不明確であっては、法の基本原理からも逸脱する。
国会内に秘密保全に関する委員会を設ける案も浮上している。ここでは特別秘密の事案を審査するとみられる。しかも国会議員に守秘義務が課せられ、漏えいした場合は罰則も伴うという。
同委員会の議員は、そのテーマについて国会で追及できない。議員の自由な言論活動の制約になろう。憲法は国会議員の演説や討議について、国会外で責任は問われないと定めており、憲法上も問題があるのではないだろうか。
日本新聞協会などは、この法案に対し、「反対」の意見書を出している。行政機関の情報隠しや情報漏えいの罰則強化により、情報公開の姿勢を過度に萎縮させてしまうからだ。
取材活動も制限を受けることになろう。秘密を探る手段について、「特定取得行為」と名付け、そそのかしを意味する「教唆」や「扇動」「共謀」として処罰の対象とするからである。
「社会通念上是認できない手段」という極めて漠然とした表現で処罰するのは、いくらでも拡大解釈を許す可能性がある。ジャーナリズムの手足を縛れば、ますます情報規制は進むばかりだ。
秘密保全法案の発端は一昨年、尖閣諸島沖で起きた中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事件である。海上保安官が衝突映像をインターネット上で流したことで、法案化が動きだした。こうした事実を秘匿しようという狙いが透けて見える法案なのだ。
情報公開こそ進めよ
原発事故の失政さえ、きちんと検証されず、議事録も作られていない。「国民の生命・財産を守る」を口実にして、情報を閉ざす姿勢に対し、国民の不信感は高まるのだ。政府の進むべき方向は、情報統制ではなく、情報公開なのだと強調したい。(転載ここまで)
考えてみますと、理想社会というのは法律も規制もなるべくしない社会のはずです。
ところが最近の日本では、つぎつぎに窮屈になっていくように思います。国民をしばりすぎです。
条令や規則、法律がありすぎ、それがどんどんと増えていることはまちがいないでしょう。わずらわしいことです。
私は言論人ですから、気をつけてコトバをえらんで話したり、書いたりしていますが、この法律が施行されますと、ふつうの方は厳密にいえば毎日必ず公けには言ってはいけないことを言っているような気もします。
これは、そのような時流になったのか、政治家や役人が自らのために、そんなに不便な世の中にしているのかは別として、決して芳しいことではありません。
一日も早く、自由に好きなことができ、好きなことが言える世の中をみんなでつくろうではありませんか?
このままでは決してよい世の中などはできないように思います。世界一自由な国、日本を守りたいので、あえて一言私見を申しました。よろしく。
=以上=
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