トップが語る、「いま、伝えたいこと」
日本が黄金週間を楽しんでいる間、世界の相場も落ち着いた動きに終始しました。アメリカはようやく2%のインフレ目標を達成して、緩やかな金利の上昇を続けて行くようです。金融緩和の出口政策を採った当初から予想されたことですが、長期金利が節目の3%前後に落ち着いてきて、ここから先の金融政策は難しさが予想されます。トランプ政権という予測不可能な政権に翻弄されることを考えればいつ何が起こってもおかしくはありませんが、それでも、しばらくは相場の乱高下はあっても中期的なトレンドは上げ基調だと感じています。
個人的にはゴールデンウィークを堪能させていただきました。だからというわけではありませんが、「舩井フォーラム ザ・ファイナル」の続きは来週以降に書かせてもらいたいと思っていますので、ご了解ください。
まず、小川雅弘さんの「世界144000人平和の祈り」の仙台講演会にサポートに行きました。懇親会でついつい美味しいお酒を飲み過ぎてしまい、翌日の大阪に行く飛行機に乗り遅れてしまいました。約束があったのが午後からだったので事なきを得たのですが、東北はお酒が美味しいので気を付けなければなりません。大阪では、『神社ノート』(SBクリエイティブ)の羽賀ヒカルさんと『いのちのごはん』(青春出版社)のちこさんとの「ザ・フナイ」の鼎談をさせていただきました。
二人は大学受験塾ミスターステップアップの同窓生です。ミスターステップアップには伝説の北極老人(南極老人と名乗るときもあるようです)という先生がいて、勉強しろとはまったく言われずに羽賀さんは占いや神さまについて、ちこさんは料理について学びました。それでもちゃんと進学した二人が大学と短大を卒業した時に受験塾だけではなく、飲食店の経営やセミナー・コンサルティング事業も行うグレイトティーチャー株式会社を設立して、いまに至るのです。
個人的には羽賀さんの占いのコンサルティングを受けたことが何度かあり、ちこさんが店長をする「御食事ゆにわ」の美味しいご飯も何度も味わったことがあります。そして、ちょうど受験生の子どもを持つお母さんにミスターステップアップの教材を紹介したこともあり、数学の成績が劇的に上がったという話も聞いています。そんな風にお二人とはとても仲良くさせていただいているので、楽しい鼎談になりました。
彼らの拠点は京阪沿線の樟葉(くずは)駅(特急は停まりますが、ちょうど大阪と京都の中間であまり便利な場所とは言えません)にあるのですが、この塾で勉強するためにわざわざ近くのワンルームマンションに越してくる浪人生や、ちこさんのご飯が食べたいために樟葉に越して来た熱烈なファンまでいるそうです。
仙台と大阪に行った以外は、読書三昧の日々を送らせていただきました。連休しか読めないような本を読んでいます。やっと読めたのが鈴木大拙著『日本的霊性 完全版』(角川ソフィア文庫)です。昭和19(1944)年に書かれた歴史的な名著で、欧米に日本や東洋のスピリチュアルブームを巻き起こした鈴木大拙を代表する本ですが、時代性を感じさせない面白さでした。
そして、なんといっても面白かったのが與那覇潤著『中国化する日本 増補版』(文芸春秋)でした。著者のことはまったく知りませんでした。でも、この本があまりにも面白かったので、新著『知性は死なない 平成の鬱をこえて』(文芸春秋)も買いました。こちらはまだ少ししか読んでいないのですが、著者自身が躁鬱病(双極性障害)を患い大学を辞めることになった経緯も書いているようです。
頭が良すぎるのも大変なんだと変な感想を持ちましたが、『中国化する日本』では、中国で1000年前の宋の時代にすでに近世を迎えていたにも関わらず、日本はいまだに江戸時代の封建制度から脱出できていない。平清盛など同時代にすでに中国化の動きを何度も試みたが、いつの間にか江戸時代的な日本的封建制に戻っていく。それを徹底するのならまだしも、中途半端な江戸化と中国化の折衷案であるブリン(ブドウとメロンをかけあわせたもので、双方の悪いところが残ってしまって失敗した試み)状態に陥り、大混乱を何度もきたしてきたという著者の主張が展開されています。
その勢いでというわけではありませんが、副島隆彦先生の11冊目の中国本になる『今の巨大中国は日本が作った』(ビジネス社)を一気に読んでしまいました。副島先生の意ではないかもしれませんが、中国論に関しては他の評論家はすべてまず副島先生に負けましたと謝ってから評論を再開した方がいいのではないかと思うぐらいの切れ味で中国の将来を的確に予言されています。
3年ぐらい前の舩井塾の講演の時にすでにおっしゃっていたことですが、習近平は3期15年は政権を維持するが、2期10年で支配体制を固めて、3期目は民主化に舵を切る。そして、引退するときには普通選挙と複数政党制を実現させるのがミッションだという話を今回は的確に予言されています。そして、それが実現すればアメリカを抑えて中国が世界のヘゲモニーを握ることも可能になるという道筋が明確に示されているのです。
副島先生の意見に賛同できるのは、日本は世界の大国にはなれないし目指すべきではない。アメリカ、中国、ロシアなどの大国の狭間でクレバーにどのように生き残りを図るかを真剣に考えなければならない立場にあるということをいつも忘れないことだと思っています。もう一度、副島中国本を熟読して、中国との付き合い方を考えるのが日本の為政者にとって一番大事なことではないかと感じています。
ケ小平は偉かった。そして、習近平は毛沢東ではなく、ケ小平になることを目指しているということが、よく分かったのが、私がこの本を読んだ最大の収穫でした。副島先生、いつも的確な教えをありがとうございます。
=以上=
2018.05.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】黄金のエルサレム (※舩井勝仁執筆)
2018.05.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】矢山利彦先生 (※舩井勝仁執筆)
2018.05.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】副島先生の中国本 (※舩井勝仁執筆)