トップが語る、「いま、伝えたいこと」
トランプ政権の誕生以来というか、実はリーマンショックから立ち直ってきた2009年以来、ずっと高値を更新してきたアメリカの株価が踊り場を迎えているように感じられます。米中の貿易摩擦が激しくなるだけでなく、日本やヨーロッパなどの友好国との間でも政治的な背景をまったく考慮することなくアメリカファーストでとにかく貿易赤字の削減に突き進むトランプ大統領の姿勢に対して市場が危惧を感じているようです。
市場は経済や相場に対してトランプ大統領が与えたプラスの面だけに注目して株価を高騰させてきましたが、今度は貿易摩擦の激化というマイナス面がかなり意識される局面に入ってきて、もしかしたらかなり長い調整期間が必要になるのかもしれません。為替もほぼ安定した水準で推移しているので、日本企業は好業績を続けることが予想されているにも関わらず、日本のマーケットもしばらくは調整期間になるのでしょうか。
古い話で恐縮ですが、私がアメリカにいた1990年代初頭は日本の経済対策のメインは輸出ドライブをかけることでした。だから、メインの輸出市場であるアメリカの経済状態が日本の景気にも大きな影響を与えました。基本的にはその状態はいまも変わりませんが、日本企業はすでに円高対策で海外進出が進んでいて昔ほどは影響が出にくくなっているのかもしれません。アメリカやヨーロッパなどの先進国だけではなく、世界中に日本のビジネスマンが行き来をしている昨今、アメリカだけに影響されるわけではないような気もします。
先月に続いて今月もまたイスラエルに行っていたのですが、イスラエルとは直行便がなくどこかでトランジットをしなければなりません。今回はトルコのイスタンブール経由だったのですが、イスタンブール成田便は大体いつも満席に近い状態で混んでいます。日本からの観光客もたくさん乗っていますが、多くの日本人ビジネスマンの姿も目立ち、日本の会社がより広く国際化していることを強く感じます。そろそろ、世界で活躍するビジネスマンも仕事のことだけでなく、政治的なことや現在の世界を形作っている歴史的な背景なども知らなければいけないときが来ているように感じます。
政治評論家の片桐勇治さんがにんげんクラブの連続セミナーに初めて4回にわたって登場してくださいます。 片桐さんとは父の時代からのお付き合いがある選挙のプロである株式会社アノンの野澤一社長からご紹介いただきました。選挙のプロから見て、政治の分野で最も的確な意見を発信している超プロが片桐さんなのです。
私より3つ年下ですが、超プロとしてとても尊敬しているアナリストの1人です。2018年、今年の朝鮮戦争の終結についても早いうちから舌鋒さえわたる筆致で予測されていました。朝鮮戦争は休戦協定が結ばれているだけなので、実はいまでも交戦中なのだというのが公式な見解ですが、シンガポールでの米朝首脳会談などの昨今の情勢でそれが終戦に向かう可能性が出てきたのです。ザ・フナイでも40回近くの連載で、常に読者の人気ランキングで上位常連の人気執筆者です。
片桐さんは、大学は法学部政治学科を卒業されていますが、高校がミッションスクールであったため、高校・大学時代は聖書研究に没頭されていたという面白い経歴の持ち主です。同じく高校時代に糸川英夫博士の『日本はこうなる』(講談社)に出会い、それ以来、糸川氏に心酔、その関係でユダヤ教を研究されていた、というのですから、私が5月6月と二回イスラエルに出かけ、そのナビゲーターが糸川博士の愛弟子、赤塚高仁さんだったというのも面白い引き合わせだと感じています。
私自身もイスラエルに連続して旅に出て、改めて地政学的な視点で国際情勢を見ています。今回の主となるテーマは「一つの時代が終わり、新しい時代へ――何が終わり、何が始まろうとしているのか?」、国際情勢の新しい未来予測だけでなく新しい時代へ向って世界で起きてきたことを、しっかりと振り返りながら一緒に勉強しましょう。
初回は8月23日で、11月まで月1の4回連続の講座です。結構早めの告知ですが、にんげんクラブの今年の超目玉ですので、単発でのお申込みも可能ではありますが、是非連続受講を強くお勧めしたいです。
以下は蛇足になりますが、世界情勢は悪の論理で動いています。ホロコースト等の悲劇を経て奇跡的に建国されたイスラエルですが、いまでもガザ地区では命がけのテロとの戦いが続いています。パレスチナの分離壁の問題が日本のテレビでもクローズアップされていますが、壁がなかったころ頻発する自爆テロに恐怖を感じて、イスラエル人のご主人と結婚して戦争があっても日本に帰りたいとは思わなかったのに、はじめてここに住んでいては精神状態が持たないから日本に帰りたいと切実に感じたことを現地に30年住んでいる日本人ガイドの方が話してくれました。
分離壁を非難するのは簡単ですが、パレスチナ側からの視点でしか日本では報道されていなくて、実際にイスラエルに住んでいる人々が壁のおかげでようやく安眠できる日々を送れるようになったのです。いまでもガザで多くの市民の死者を出しても強硬姿勢を貫くのは、そうしないと一般市民の生活が守られないからであり、テロリストであるガザ地区を支配しているハマスはパレスチナの一般市民を自分たちの盾に使っているから起こる悲劇でもあるということは分かっていた方がいいと感じました。
そこまでしても国を建国しなければいけなかったのは、いまの世界の論理では国がなければ虐殺されても誰も助けてくれないことが身に染みてユダヤ人には分かってしまったからです。自分たちの国がなくても、ホロコーストの悲劇でさすがにしばらくはユダヤ人は世界から大事にされるかもしれません。でも、何十年何百年の時を経たら、やっぱりいつ虐殺されるか分からない。それを防ぐ術は、自分たちの手で主権国家を建国するしかなかったのです。
=以上=
2018.06.18:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】重たい掲示板 (※舩井勝仁執筆)
2018.06.11:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】世界で何が起こっているか (※舩井勝仁執筆)
2018.06.04:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】断捨離 (※舩井勝仁執筆)