トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2022年7月18日
時代に挑む (※舩井勝仁執筆)

 円安の進行が止まりません。詳しく実態を見ていくと、日本の競争力がなくなってきたことが原因の円安というよりも、アメリカの物価上昇が止まらないことで、FRBが大幅値上げをするに違いないという情勢からドル高になっています。EUも利上げの方向に舵を切りたいのですが、ウクライナ問題でエネルギーの供給に問題を抱えていて、それほど激しい引き締めに転じられないという事情があり、金融引き締めにアメリカだけが突き進んでいくことが確実視されることから起こっている現象だと考えられます。

 日本は来年の4月に任期を迎える日銀の黒田総裁は金融緩和政策を継続するということをはっきり宣言しています。輸入企業は黒田後に期待するしかないとあきらめ気味ですが、間もなく140円台に突入しようとしている為替相場はまだ円安傾向が続いていくことが予想されます。こうなってくると、日本でもインフレ傾向がますます進んでいくことをある程度は覚悟する必要があると思います。逆に企業側の立場で言うと、いまは値上げができるかどうかで企業の存続が決まる局面にあると言ってもいいのだと思います。値上げは怖いことです。値上げ分以上の付加価値の向上を伴わなければ大体失敗しますので、しっかりと戦略を練って対処していただければと思います。
 もう一つの怖い要因は、欧米ほどではないと思いますが、インフレ傾向がしばらくは続くことが明らかなので、世の中が賃上げの方向に動くことが予想されるということです。
 原価が上がり、それにも関わらずなかなか値上げができない。それに加えて、賃金まで上がってくるという事態が間もなくやってくる可能性が高いのです。本当に経営者にとっては正念場を迎えているといってもいい状態であることを覚悟していただく必要があるのだと思います。
 話題を為替の話に戻すと、最も信頼している若手の証券関係者は、アベノミクス以降、為替のレンジは100〜120円のレンジで動いてきた。それが、今回のインフレ対策を契機に120〜150円のレンジで動くように変わったと考えていると話してくれました。この見方に感覚的には同意できます。次の大きな節目がいつ来るのかはわかりませんが、それまではこのレンジで為替が動くと見当をつけていきたいと考えています。ただ、一寸先は闇の時代であることを忘れずに、間違っていた場合は、すぐに方針を変更することが大事であるということも忘れずにいたいとは思っています。

 安倍元首相がお亡くなりになって一週間以上が経ちました。
 現場となった近鉄大和西大寺駅周辺は、未だに多くの献花に訪れる方や報道陣で溢れており、事件の影響力の強さを実感させられます。宗教絡み、政治絡み、犯人については様々な噂が錯綜しています。各々の主張、事情はあるのでしょう。背景に何があるにせよ、このような手段を用いるのは間違っており、2度とこのような事態が起こらないことを切に願っています。昭和のはじめの日本ではテロリストの嵐が吹き荒れました。それが、亡国の道に突き進んでいった大きな背景としてあったことを私たちは忘れてはいけないと痛感しています。
 その安倍総理について、改めて知る必要があるのではないかと考え、今回は故・安倍元総理の最新作にして遺作に当たる『安倍晋三 時代に挑む!』(ワック)を取り上げてみます。
 今年の6月に出版されたもので、安倍総理が様々な意見を同じくする著名人と対談した内容が収録されており、専門家の方や、様々な分野で実績を残した方々の意見を交えながら、現在の国際的な問題や今後の日本についての安倍総理のスタンスを知ることができます。
 全7章で構成されており、前半、1・2章では、ウクライナ問題、そしてその先にある中国台湾問題に強い関心を持っていた事が見てとれます。一般的に外交の評価が高い安倍総理だけに、国際的な問題について明確なビジョンを持ち、熱心に取り組もうとしていた事が分かります。その後、自らの後継者として高市早苗政調会長を推した背景、改憲、かねてから安倍総理が掲げていた戦後レジームからの脱却、アベノミクスなどについて、知ることができます。巻末には故・石原慎太郎元都知事、渡部昇一先生への追悼メッセージも掲載されており、その章の書き出しは共に『巨星、墜(お)つ』。まさかこの後に自らが、この表現を使われる立場になるとは、思ってもみなかったでしょう。
 安倍総理は本書のように、自らの主張を言葉にして丁寧に発信していました。最後まで読んでみると、まだ政治家としては旬の60代、今後も精力的に活動をしていくつもりであり、未だに非常に強い影響力を持っていたことを感じ取れます。積極的平和主義を掲げ、保守派として党内に強い影響力を誇っていた安倍総理が亡くなったことで、今後自民党、ひいては日本にどのような影響あるのか。見守っていく必要があるかもしれません。

                          =以上=

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2022.07.25:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】“ほんもの”のリーダーシップ (※佐野浩一執筆)
2022.07.18:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】時代に挑む (※舩井勝仁執筆)
2022.07.11:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】レジリエンスと自己コントロール (※佐野浩一執筆)
2022.07.04:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】宝島 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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