トップが語る、「いま、伝えたいこと」
私の実父は、もともと心臓が弱かったわりには、個人事業主であったこともあり、働きすぎで死期を早めた……と今でも思っています。最終的には、脳梗塞を起こし、意識のな
いまま一年を病院で過ごし、天へ召されていきました。
私が、まだ34歳のときでした……。
葬儀場の焼き場で、担当の方が、「こんなに歯がしっかり残っている方は珍しい」と言ってくださいました。そういえば、父は、お漬物やお豆腐、もずくなどが大好きで、よく仕事に疲れて帰ってきて、一杯やりながらつまんでいました。
いわゆる、粗食であったことが、歯や骨を強くしたんだと思います。本人も、よくそんな話をしてくれたものです。
もしかすると、食への関心が強まったのは、父の影響かもしれません。
私も、実は、来年還暦を迎えます。
自分では、もう60年も生きてきたんだ……という自覚はまったくなく、ここに来て、落ち着くつもりも毛頭ありません。まだまだ、年齢には抵抗してやろうと、ある種の野心に満ち満ちています。人生100年時代と言われるようになって久しいですが、できることなら、元気なままで「100歳(以上)生きてやろうじゃないか!」と意気込んでいます。
勝手に食の師匠と尊敬している杏林予防医学研究所、所長の山田豊文先生に、本当に大事な食の知識と実践について習い始めてから、より一層、興味と関心を持つようになりました。もちろん、株式会社本物研究所の社長であるという立場もあって、意欲的に学びを深める日々です。
さて、「食」って本当に大事です。
「私たちの体は、食べたものでできている」とよく言われてきましたが、山田先生は、「それはちがうよ」っておっしゃいます。
「私たちの体が、食べたものが(きちんと)消化されてできている」
はい! こちらが正解です。
ですから、ふだんの食事をほんの少し工夫するだけで、来るべき「老化」も防ぐことができるようです。今回は、食品生化学の第一人者でいらっしゃる佐藤隆一郎先生のご著書、『健康寿命をのばす食べ物の科学』(筑摩書房)等も参考にしながら、書かせていただきますね。
老化速度にはかなり個人差があるようです。老化速度の速い人は見た目も実年齢より老けて見え、不健康に見えたりします。たしかに、高校時代などの同級生と会っても、とんでもなく老けてしまった人もいますし、えらく若い感じの人もいます。この差には、いつもオドロキです。
近年、老化についての研究は大きく進展してきました。そこから新たな概念が次々と提示されています。たとえば加齢に伴い腎臓機能が低下したという場合、それは腎臓を構成する細胞が一様に老化するわけではなく、まず数個の細胞で老化が始まり、さらに周辺に老化細胞が増えていった結果であると考えられるのだそうです。
生命活動に伴い、体内では活性酸素種が産生され、細胞を傷つけます。また紫外線、化学物質などによりDNAが損傷を受けることもあります。これらの機会は年を経るにつれて積み重なっていき、老化細胞数は加齢とともに増えることになります。
老化細胞は活性が低下し、消滅していけばよいのですが、細胞老化関連分泌形質と呼ばれるサイトカイン、ケモカインなどを分泌して周りの細胞に慢性炎症を引き起こします。この刺激が周辺細胞の老化を促すと考えられています。長生きする人たちの炎症値が低いことも確認されているので、なるほどなって思います。
この新しい概念を支持する知見として、ある試験が行われました。ある種の細胞に放射線を照射してDNAを傷つけ、老化細胞を人工的につくりだします。これをマウス体内に注入し、一方でコントロールマウスには放射線を照射していない正常細胞を注入します。
その後の観察により、確かに、老化細胞注入マウスでは歩行速度の鈍化、持久力、筋力の低下が有意に認められ、老化が進行していることがわかったそうです。また、さらに一定期間追跡すると寿命の短縮が観察されると報告されていました。
ということは、老化の火付け役となるのは散在する少数の老化細胞であることがわかります。そして、注目すべきは、同様の試験で老化細胞注入マウスに高脂肪食を長期間与えると、老化速度はさらに早まることがわかりました。つまり、高カロリー食は老化を早めるということなんです。
ということは、老化細胞を駆逐すれば老化の進行を遅らせることができるとも考えられますよね。老化細胞を除去することを「セノリシス」と呼ぶそうです。そして、最近の研究で、これにより老化の進行が抑制されることが明らかにされつつあるんです。
すべての細胞は、細胞内の種々の成分を分解するリソソームという細胞内小器官を持ちます。細胞は自身の活動・増殖のためにタンパク質・脂質を合成しますが、それと同時に不要となった成分をリソソームで消化・分解します。リソソームは要するに「分解工場」なんですね。
ところが、細胞が老化することに伴いリソソーム膜は脆弱となり、リソソームの内容物が漏れ出て細胞質のpHが弱酸性化していきます。老化が進むにつれてリソソームからの漏出が進むと、不必要な細胞内分解も進み、やがて老化細胞自身が死に至ります。老化細胞は自身を保護するため、pHが下がりすぎないよう工夫をします。細胞内にはアミノ酸のグルタミンをグルタミン酸に変換させるグルタミナーゼという酵素が存在し、アンモニアを発生させます。結果として、このアンモニアがpHを上昇させるため、老化細胞内が強酸性に傾かないように働きます。こうして老化細胞は自身の生存のため、グルタミナーゼ発現を上昇させています。
ここから、グルタミナーゼ活性の阻害剤を用いると老化細胞ではpHが低下し続けて細胞死が引き起こされ、セノリシスが実現するということです。このグルタミナーゼ阻害剤を加齢マウスに投与すると、肥満性糖尿病、動脈硬化症、および非アルコール性脂肪肝の症状改善に有効であることもわかってきました。
このようにセノリシスを引き起こす成分をセノリティクスと呼び、老化細胞を除去して抗老化を引き起こすことが期待されています。
ここまで、少々読みづらかったかもしれませんが、ここからがポイントなんです。
ということは、抗老化作用をもつ食品を食べることで、老化は抑制できるということです。 こうして見出されたのが「ダサチニブ」という薬物と玉ねぎなどに含まれる「ケルセチン(フラボノイド類)」を混ぜた合剤、あるいはイチゴなどに含まれる「フィセチン(フラボノイド類)」。これらはいずれも食品由来のフラボノイド類を含んでいるというわけです。
「ケルセチン」は玉ねぎなどに含まれ、日常的な食生活で摂取量の多い食品成分です。セノリシスにより炎症反応が低下し、ウイルス感染により産生された抗体がウイルス駆除能力を高め、結果的に死亡率を下げた……という見解も発表されています。
また、老化細胞を体内に注入したマウスに、ケルセチンを含む合剤を投与すると歩行速度、筋力が有意に改善されたのだそうです。同様に高齢のマウスに4週間、ケルセチンを含む合剤を経口投与したところ歩行速度の上昇、筋力の増加が認められたのです。寿命の延長も確認されているそうです。
もっとも、こういった最新の研究成果から、すぐさま健康寿命が延び、100年人生を期待できるかといえば、それはどうやら正しくないのだそうです。組織的な傷害を負ったとき、実は老化細胞が出現し、治癒の手助けをしてくれます。つまり、治るためには老化細胞の出現が必要であるという事実も紹介されています。
いずれにしても、このフラボノイド類が抗老化の一役を担っていることは事実です。
本物研究所では、「ケルセチン」を含むサプリや、「フィセチン」を含むイチゴのサプリなどもご提案しているので、内心、「判断は間違っていなかった」と安堵しています。
もちろん、第一義的には、日常における食の力を懸命に活用していくということです。
食を通しての体づくり。
ぜひ、意識を高めていけたらと思います。
感謝
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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |