トップが語る、「いま、伝えたいこと」
ついに日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新しました。その翌日、天皇誕生日で休日の日経新聞を見ると、一面をほぼ使って最高値更新に関する記事を載せていました。社会的に34年間、もう日本の復活はあり得ないと感じ続けてきたことの重さを感じます。
私は、舩井幸雄というカリスマを事業としては否定することで企業の存続を図ってきました。父にしかできないビジネスは父が存在しているから成り立つのであって、舩井幸雄がいなくなった時点で変換していかなければならないと感じたのです。正直に書くと、舩井幸雄的なやり方をスピリチュアルな世界でやっていくのは難しいと見切ったのだと思います。そして、舩井幸雄オープンワールドなどのイベントを止めていったのですが、義弟の佐野浩一はいまでも「“ほんもの”未来フォーラム2024」という形に変化させながらもオープンワールド的な最も舩井幸雄らしい在り方を続けようとしてくれています。
ちょっと大げさになりますが、個人投資家が株式市場から離れて日本の株価が34年間も最高値を更新しなかった原因のひとつに父が脱資本主義の世の中になるので、株式などに投資をすることは愚の骨頂だと言い続けたということがあると思っています。バブルの時の日本の政治経済のやり方を続けていたのでは未来がないという意味での警鐘は当たっていたのだと思いますが、日本もやっと変化ができてもう一度世界に貢献できるスタートラインに立てたのだと個人的には感じています。ある意味、生前の父の呪縛から抜け出せた象徴的な出来事が株価の最高値更新だということになるのかなと感じているのです。
でも、経営を考えるときに大事なのは保守と革新のバランスです。平時は保守7割、革新3割ぐらいの割合がちょうどいいのだと思いますが、いまのような非常時は5:5に近いぐらいの割合で世の中は進んでいるように感じます。“ほんもの”未来フォーラムの内容をじっくり見ていると、改めて生前の父の革新性を見事に引き継いでいるのが感じられて、佐野浩一社長は私とは正反対かもしれませんが、父の思いを引き継ぐという意味でいい仕事をしているのだなと気がつきました。株価が最高値を更新して、新しいまさに大峠を越えようとしているからこそ、この内容を感じていただくことが大事なのだと改めて思います。
どちらかというと父のやり方と違う路線で世の中の変革を志向する立場の私が、今回紹介させていただくのはメアリー・C・ブリントン著『縛られる日本人 人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか』(中公新書)です。私なりの結論を書かせてもらうと、制度としては世界で最も進んでいる男性でも育児休暇が取れる日本の制度がまったく機能していない。これが、日本が少子高齢化の呪縛から抜け出せない大きな原因になっている。男性がしっかりと育児や家事に向き合うことで、社会としてより大きな幸福感が感じられるようになり、それによって人口が増えていく社会に転換できるという考察が書かれたものです。
世界の歴史上において類を見ない程に進行してしまった日本の少子高齢化。岸田政権はこの問題の解決に向けて積極的な政策を打ち出しており、今最も関心の高い事柄の一つと言えます。著者のブリントン先生は、アメリカ人ながら日本社会についての専門家で、本書は外から見た現代の日本社会が抱える少子高齢化の原因について、アメリカやスウェーデンとの比較も交えながら検証していくという内容です。
読み進める中でまず目についたのが、冒頭に出てくる若者、特に男性の人生に対しての満足度が低いという結果。少子高齢化社会について語る際、私たちは子供を出産する女性側に目を向けてしまいがちですが、男性側のシステムや社会規範に大きな欠陥を抱えているのではないか、という視点を提示してくれました。それ以上に重要なのは本書でも語られている男性の育児休業取得によって発生するメリットをもっと周知するべきという点です。
伝統的な日本の文化の問題という側面もありますが、本当にそれが有意義だと理解されれば受け入れられる、そのくらいの寛容性は持った社会になっていると、私は感じています。バイアス的な問題も強いという事実もあり、特定のハードルを乗り越えてさえしまえば実現可能だと考えられます。実際に制度自体は他国に比べても整備されており、あとは社会の意識を改善できればその点については解決できるはずです。
また労働環境の点では、男性の長時間労働も問題となるようです。男は長時間働くのが当たり前という仕組みでは、当然女性に負担を強いている形にもなります。制約という意味では、家に入るのが当たり前とされてしまっている女性にも依然として強いものが課せられています。しかし女性はそれでも改善傾向が見られますが、男性は旧時代的なモデルから脱却をさせてもらえない、というのが現状のようです。
少子高齢化だけではなく常々問題になっている働き方の問題。男性だけが稼ぎ手となっている今の社会の仕組みを根本的に変えていき、本書でも提言されているように女性を男性に寄せる今までのやり方ではなく、男性を女性に寄せる新しいジェンダーの平等の形を作っていく。最終章に書かれていたこの視点は非常に新鮮でした。問題は本書内に書かれているものだけではありません。収入、社会保障、問題は山積みですし、そもそも女性の立場について、私はもっと改善していく必要があると考えています。しかしその為には一方だけではなく、男性側にも根強く残っている問題を改善していき、若者が安心して子どもをもうけられる健全な子育て環境を創り出していく。それが少子高齢化社会からの脱却のため、真に必要とされている事なのかもしれません。
男性が育児休暇を取得することが必要などという議論を見ると、父なら目をむいて反対したと思います。昭和をひきずっている私にとっても本書は衝撃の書でした。懺悔になってしまいますが、私は家事も育児もほとんどやりませんでした。でも、佐野社長は実は私たちの年代にしては、かなり積極的に家族を大事にしていて、佐野家の子どもたちの成長を見ているとまさに本書の世界を先取りしたことによって幸福感があふれていることを感じられ、うらやましくいつも思っています。そんな佐野社長がお伝えする、今流にバージョンアップされた舩井幸雄の世界(https://honmono-pro.com/neojapan/)をぜひ実感しに来ていただければと思います。
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2024.02.19:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】「なぜ、アメリカ人は自尊感情が高いのか?」 (※佐野浩一執筆)
2024.02.12:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】天人に還る (※舩井勝仁執筆)
2024.02.05:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】予防医学からみた人とのつながり (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |