“超プロ”K氏の金融講座
このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。
「コメはじめとする食料品の値上がりは基本的には一時的な供給ショックと思われる」
3月19日、日銀の植田総裁は金融政策会合後に行われた記者会見で昨今の食料品の値上がりについての見解を示しました。その上でこれら食料品の上昇がもたらす「国民生活へのマイナスの影響を強く意識している」とのことです。
朝倉は自身で行っている朝倉慶チャンネルの中でも指摘したのですが、このコメをはじめとする食料品全般の予想を超える上昇について、日銀の見方は甘すぎると思います。そもそもコメのような日本の主食が何故、たった1年間で倍になるような値上がりをするのでしょうか?
●なぜコメは急に値上がりしたのか?
コメは本来日本中で生産過剰であり余っているはずではなかったのでしょうか。日本政府はコメの減反政策を1970年代から続けてきました。ところがここにきていきなりコメの価格が急騰して慌て出しています。そのような中、一般的にはコメの急騰は一時的な供給問題が発生したにすぎず、やがて値段は落ち着くはずとの見方が大勢なのです。日銀の見方もそのような見方です。しかし朝倉はコメの急騰は日本経済が抱える深刻な問題をあぶり出していると思います。
コメ問題に迫ってみます。
「日本が抱える深刻な問題」とは何でしょうか? 様々な問題はあるものの誰でも知っているのが少子高齢化です。若者が少なくなって高齢者ばかりが増えすぎているわけです。こうなると高齢者は年を取るにつれて働けなくなっていきます。一方でそれを補うには若者の労働力が必要です。しかし若者の数は減る一方です。こうなるとあらゆる意味で日本は人手不足、労働力不足となっていくわけです。ですから日本は将来移民が必要と言われ続けてきました。しかし日本社会は移民を受け入れるだけの社会的なコンセンサスができていません。将来、多くの高齢者が介護する人の不足に困るような状況に陥ることは明らかです。
一般的には少子高齢化の問題として介護など人手不足が深刻化することが議論されていますし、かような少子高齢化がもたらす連想は誰でも簡単に思い描くところでもあります。
ところが一方で今の日本の足元の深刻な人手不足に対して、あまりに日本全体が鈍感なのです。実はこの少子高齢化問題こそがこのコメ問題の根本なのです。
と言うのも、現在の日本のコメ農家の数は69万9000戸なのですが、これはこの10年で何と40%も減っているのです。40%ですよ!10年でおよそ半減です!しかも現在のコメ農家の6割は70歳以上の人が従事しています。そしてそのコメ農家の7割までもが後継者がいないのです。考えてみてください、これでは後10年したらコメ農家で働く人は80歳以上となります。そして後継者がいない、こんな産業は消滅してしまうではないですか!日本のコメ農家にはかような重大な問題があるわけです。そしてかような重大な問題の走りがここで顕在化してきたのは今回のコメ不足なのです。コメを作る人は高齢者ばかり、そして誰も後を継がない、そんなコメ農家の急激な供給力低下があれば、供給に問題が生じて値段が急騰するのは当然ではないですか!
そしてこの深刻な現実がここにきていきなり人びとの目の前に現れてきたとみるべきです。今回のコメの高騰の理由として確かにインバウンド消費の拡大とか、気候変動による不作とかいう面はあったでしょう。しかしながら根本は日本の少子高齢化によってコメ農家の労働力が著しく不足状態になりつつあり、ましてや競争力のない高齢者だけの従事でも続けられてきたあまりに甘すぎた日本のコメ農政のツケとして今回のような極端な供給不足が突如現れてきたとみるべきです。
コメ価格が1年で倍になったわけですが、実は現在日本全体でコメの購入量は全く減っていません。減っているどころかコメの購入量は増えているのです。
日本の世帯のコメの購入量は1月時点で前年同月を7%上回っています。買い控えは生じていないのです。1月の世帯の詳細なデータをみると2人以上の世帯でコメの購入量は3.8キログラムと前年同月の3.5キログラムを1割弱上回りました、そのため値段が上がっている関係でコメの支出は1世帯当たり2388円となり、これは前年同月比で1.7倍です。大幅な値上がりにもかかわらず、日本人のコメ購入の意欲は衰えていません。結局、コメに対しての支出はコメの値上がりと同じく倍近い伸びとなっているのです。これでは家計が感じる物価上昇のインパクトが計り知れないと思います。
そしてこの計り知れない物価上昇のインパクトは今後、日本の諸物価全般に伝播していくことでしょう。
だって考えてみてください。コメが急騰しても日本人のほとんどはコメを買い続けているわけです。そのまま物価高騰の現実を受け入れるしかありません。こうなれば人々は生活が苦しいので、給料の引き上げを求めるのは当たり前です。ところが給与の引き上げは今年の春闘でも5%程度です。コメが1年で2倍になるような情勢下なのに、給与の上昇率がたった5%でいいのでしょうか?
現在のほとんどの日本人は、日銀の見解と同じく今回のコメの高騰は供給の問題が引き起こした一時的な現象であり、日本政府が備蓄米を放出したことで、今後はコメの価格高騰は収まるはずと考えています。ところがコメ急騰の真実は朝倉の指摘しているように、日本の少子高齢化が引き起こした構造的な労働不足という現実によってコメの価格が1年で倍になった可能性が高い。そしてこれは構造的な問題なので、今後もコメ価格は下がらない、コメ価格が下がらないどころか、この労働力不足という問題は日本全体の縮図なので、広がっていく可能性が高いのです。価格急騰はコメが始まりに過ぎず、あらゆる食料品や品物に広がっていくと想像したらどうでしょうか?
朝倉は一貫して今後、日本全体でインフレが加速していくと警鐘を鳴らし続けてきました。そしてこれら歴史的な流れに対処するためには預金などやめて投資するしかない、株や土地や金相場や海外投資など投資を行うしか生き残る道はないと言い続けてきました。そして現実は朝倉の指摘通りの展開になりつつあります。コメの高騰は日本の諸物価の高騰の始まりを告げる号砲だと思います。そして我々はいよいよ始まってきた日本の止まらないインフレ到来に備えて覚悟を決めるしかないのです。
★朝倉慶さんの最新刊『トランプ・インフレが世界を襲う』(2024年12月 ビジネス社)大好評発売中!
■□-----------------------------------------------------------------□■
★「ASAKURA経済セミナー」
音声ダウンロード、CD、DVDを販売中!
ご自宅にいながらセミナーを受講。
お好きなときに、お好きな場所でお聴きいただけます。
●収録時間 約3時間
●価 格
【DVD版】16,000円(税込)
【CD版】13,000円(税込)
【音声ダウンロード版】13,000円(税込)
※音声ダウンロードはEメールでお届けするので、一番早くお届けできます◆
→https://www.ask1-jp.com/shopping/study/seminar_media.html
★ASAKURA経済セミナー2025年 !★
【東京】
5月17日(土)・7月12日(土)
・9月20日(土)・11月15日(土)
→ https://www.ask1-jp.com/shopping/seminar/live-tokyo.html
※参加者全員に復習用の動画をお届けいたしますので、当日参加が難しくても大丈夫です。
復習用動画は次のセミナー前日まで視聴可能です。
■□-----------------------------------------------------------------□■

25/03 | |
25/02 | |
25/01 | |
24/12 | |
24/11 | |
24/10 | |
24/09 | |
24/08 | |
24/07 | |
24/06 | |
24/05 | |
24/04 | |
24/03 | |
24/02 | |
24/01 | |
過去年 | |

★『大恐慌入門』
(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』
(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』
(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』
(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』
(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』
(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』
(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』
(徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』
(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』
(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』
(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』
(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』
(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』
(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』
を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』
(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』
(2016年10月 徳間書店刊)がある。
★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/
経済アナリスト。
株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。
実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。
著書『大恐慌入門』
(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』
(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』
(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』
(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』
(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』
(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』
(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』
(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』
(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』
(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』
(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』
(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』
(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』
(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』
、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』
(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』
(2016年10月 徳間書店刊)がある。
★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/