“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2019.7
ここまできた顔認証技術

 「財布もいらない、スマホもいらない、顔だけでOK」 今や極めて便利な時代の到来が迫っているようです。現在日本でも電子マネーが急速に普及しつつあり、多くの人が財布を持たないでも暮らせる体制が整ってきています。それでもコンビニの決済には電子マネーが、ビルの入退室ではパスが必要です。手ぶらではさすがになにもできません。
 ところが顔認証が完璧な形でできるようになると、コンビニで何を購入しても、顔パスで支払い完了、またビルの入退室も顔パスでOKということになるわけです。単純に考えてそのような日が来るとは想像できる人も多いでしょうが、反面、自分の顔で何でもできてしまう世界は自分が何処で何をしているのか100%把握されてしまう世界であり、究極の管理社会となりそうで怖いような気もします。それでも技術の進歩が非常に早く、数年先に訪れそうな<全て顔パスでOK>の全盛時代がやってくる流れは必然でしょう。

●目覚ましく躍進中の中国のAI技術
 かような顔パスの時代をいち早く到来させているのが中国です。現在のAIを使った先端技術の開発競争においてもこの顔認証の世界は米中を巻き込んでのAI競争の最前線、まさに熾烈な技術開発の真ただ中にあるわけです。考えてみれば人間の顔は<究極の身分証明のツール>です。これ以上完璧な証明手段はありません。これが幅広く使われるようになれば、プライバシーの問題をすみにおけば、極めて便利な世界が訪れることは疑いありません。
 顔パスの世界になれば面倒臭いことは一切なくなります。すべての取引の決済は顔パスで終了するわけです。コンビニやデパートでの買い物もレジなし、電車も飛行機も手間をかけずに乗り降りすることができます。ビルの入退室も問題なし、最も注意を要する金融取引の決済、インターネットでの物の購入や、銀行とのオンライン融資、などすべての手間が瞬時に省けるようになるわけです。最もかような技術が政府に使われると人々は終始監視されますし、常に自分が誰かに見られているという脅迫感に四六時中悩まされるようになるかもしれません。
 事の善悪はともかくとして、かような世界が迫っていることと、現実に中国において想像を超えたスピードでかような顔パスの世界が実現しつつあることは事実です。
 昨年秋、中国の最先端のスーパー、アリババが経営するフーマーフレッシュに視察に行ってきたのですが、その便利さや最先端の技術や手法には驚かされました。フーマーフレッシュは普通のスーパーであり、尚且つ、インターネットを使った注文ができるネットスーパーであり、尚且つ店内で食事ができるレストランでもあります。尚且つフーマーフレッシュ全体巨大な物流倉庫でもあるわけです。店内にはインターネットで注文した顧客の品物が店員によって素早くコンベア(店内至るところの天井付近にコンベアが設置されて物が流れている)に搭載され、倉庫に自動的に運ばれて、待機しているバイクの配達員によって注文したお客様の元の届けられるという仕組みです。そして、こうしたインターネットでの注文は半径5キロ以内であれば30分以内に届けられるのです。生鮮食品や魚やエビ、出来立ての料理など瞬時に届けられるのです、途切れることのないバイクの発進と手際のいい無駄のないシステムに感心しました(ちなみにこの様子はユーチューブ朝倉慶チャンネル、『中国経済の最新情報! 朝倉慶のフーマーフレッシュ視察報告』にて掲載中)。
 このフーマーフレッシュは我々が視察した半年後には更に進化、現在では完全な顔認証システムによって顔パスで決済できる体制ができたようです。驚くべき進化のスピードです。
 中国のAI技術の発展はすでに米国を超えたとも言われています。昨今のAI技術の発展はディープラーニングというデータの膨大な量を学習することで発展してきています。
 この場合、求められるのは圧倒的なデータの量です。日本は人口1億2000万ですが、中国はその10倍超の14億人、しかも政府はそのデータを使い放題です。日本や欧米であればプライバシーの問題とか個人情報の漏洩とかで厳しく使用法が制限されるわけですが、中国ではそもそも人々がプライバシーの問題に無関心で、自らの個人情報を使われることにほとんど違和感を持っていません。この辺の土壌も今回のAI技術の発展にとって、中国が圧倒的に有利なところにある要因です。民主主義と違って中国のような強権、一党支配は最近のようなAI技術の発展を考えると、技術の発展と政治体制が抜群に相性がいいわけです。

●AI技術の発展に伴い、過剰に進む監視社会
 中国のAI技術を支えているのは若い才能です。フーマーフレッシュの顔パスの技術を裏で支えているのはFace++(ファイスプラスプラス)という顔認証で世界最大のプラットフォームです。人間より遥かに優れたAIの目が14億人の顔を瞬時に識別するわけです。
 このFace++を作ったのはメグビーという中国を代表するユニコーン企業(時価総額10億ドル超、日本円で約1100億円超の企業を言う)です。中国の若い才能が先端技術で爆発的に開花してきています。
 創業者の3人は中国のトップ大学、清華大学の出身で、中でも最高技術責任者(CTO)、タン・ウェンビン氏は清華大学に無試験で入学したという天才で、幼少時からすば抜けた才能をみせ、中学、高校を飛び級で通過したということです。そしてやがて世界的な情報五輪の金メダリストとなり、画像認証のコンテストでフェイスブックのチームに勝利したということです。
 メグビーは2011年に設立されてわずか2年で世界一になりました、今では中国の顔認証技術を支え、けん引しています。メグビーとはMega(強大な)、Vision(画像)を合わせた言葉で、<巨大な視覚の世界>を構築するというわけです。人間や生物の進化の歴史をみると、これら人間を含めた生物は「目」、物を見えるようになってそれを判別できるようになって急速な進化を遂げたと言われています。メグビーはAIに完璧な目を提供することによって、AIの劇的な進化を支援しているとも言えるでしょう。
 すでにメグビーの現在の時価総額は5000億円を超えるとみられています、そして中国では数学や物理学やプログラミングの世界的なコンテストで金メダルを取るような天才たちが続々とメグビーに入社してくるということです。社員数は2000人を超えてきました。
 メグビーの技術によって監視カメラが中国全土でくまなく展開しています。それらが正確に機能し、その結果5000人以上の犯罪容疑者が逮捕されるに至ったということです。
 一方、こうした完璧な監視社会の出現に戸惑いもあるようです。
 これらの監視システムを使って中国の杭州市の高校では更に驚愕の実験が行われています。実験対象となった高校生一人一人を登下校から学内の行動まで徹底的に全て監視し続けるわけです。その結果、各々の高校生の表情の変化や行動の記録から、その生徒がどこで何をしていたかに留まらず、どの生徒と仲がいいのか、話し方の表情の変化などから、どの生徒に親近感を感じているのか、好きか嫌いか、どの程度近い関係か、など表情の微妙な変化を追っていきます。そしてその生徒の人間関係や内なる気持ちまでも、考察できるようになってきているというのです。また食べている姿からその生徒の好き嫌いと偏食ぶりも観察、最終的に生徒の食生活までもアドバイスできるということです。恐ろしいようで、究極の監視世界を想像させます。
 今や中国では顔認証においては完璧なシステムが出来つつあります。かようなメグビーの技術には米国政府も脅威を感じているようです。
 現在ファーウェイをはじめ、米国政府は中国のハイテク企業5社を制裁対象として取引の制限を課していますが、次はこのメグビーが制裁対象となってくるという見方があります。便利なような空恐ろしい監視社会、便利や快適さを選ぶのか、それともプライバシーを重視するのか、様々な議論はあるでしょうが、はっきり言えることは、このような技術の進歩は止めようもなく、我々の社会は早かれ遅かれ、AI革命の波に飲み込まれていくということです。

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バックナンバー
19/07

ここまできた顔認証技術

19/06

動き出した金相場

19/05

ドローンの脅威

19/04

株式投資に目を向けよう

19/03

現代金融理論(MMT)

19/02

米国を襲う<反資本主義>の波

19/01

ユヴァル・ハラリ氏の警告

18/12

欧州混乱から見える世界の潮流

18/11

中国の危険な挑発

18/10

米中間選挙(衰えぬトランプ人気)

18/09

輝き失った金相場

18/08

急進化する米国政治

18/07

衰えぬトランプ人気

18/06

米中対立とトランプ劇場

18/05

監視社会

18/04

イラン攻撃はあるか?

18/03

強権、独裁化の時代

18/02

新著『株の暴騰が始まった!』まえがき

18/01

イアン・ブレマーの警鐘

17/12

ビットコイン相場は終了へ

17/11

年金が大黒字

17/10

株式市場の<びっくり現象>

17/09

中国 止まらぬネット企業の勢い

17/08

好調な日本経済と外部情勢

17/07

仕事はなくなるのか?

17/06

イスラエルとサイバー技術

17/05

欧州危機は去ったか?

17/04

加速する人手不足と日本の将来

17/03

民主主義の危機

17/02

止まらない米国株の上昇

17/01

迫りくる戦争の危機

16/12

日本人と株式投資

16/11

トランプ勝利をもたらしたもの

16/10

新著『暴走する日銀相場』まえがき

16/09

AI技術者に殺到するヘッジファンド

16/08

止まらないデフレの行く末

16/07

ウーバーライゼーション

16/06

衝撃的な英国の離脱派勝利

16/05

衣食住がただ、お金のいらない世界に!?

16/04

熊本地震とヘリコプターマネー

16/03

トランプ旋風が写すもの

16/02

新著『世界経済のトレンドが変わった!』まえがき

16/01

波乱で始まった2016年

15/12

2016年の展望

15/11

中国の結婚事情

15/10

郵政上場

15/09

現れ始めた高齢化社会のひずみ

15/08

荒れた株式市場の先行きは?

15/07

異常気象の連鎖

15/06

値上げラッシュ

15/05

新刊『株、株、株! もう買うしかない』まえがき

15/04

日米同盟強化の恩恵

15/03

アベノミクス その光と影

15/02

ギリシアの悲哀

15/01

止まらない<株売却ブーム>

14/12

アベノミクス

14/11

バンザイノミクス

14/10

新刊『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(舩井勝仁との共著)まえがきより(※目次、舩井勝仁のあとがきも含む)

14/09

加速する物価高

14/08

新冷戦という脅威

14/07

新刊『株は再び急騰、国債は暴落へ』まえがき より

14/06

深刻化する人手不足

14/05

何故ドルなのか

14/04

株高は終わったのか?

14/03

ウクライナを巡る暗闘

14/02

中国ショック

14/01

ハッピー倒産ラッシュ

13/12

インフレに向かう日本

13/11

株式投資に舵を切る年金基金

13/10

金相場のたそがれ

13/09

新刊『2014年 インフレに向かう世界』まえがき より

13/08

崩壊に向かう新興国経済

13/07

ドルが復権する世界

13/06

激動前夜

13/05

株 売却ブーム

13/04

異次元の世界

13/03

日本の行く末

13/02

株バブル勃発、円は大暴落(新刊まえがき)

13/01

「アベノミクス」がもたらすもの

12/12

浜田教授のリフレ政策

12/11

円を売る時がきた!

12/10

チャイナリスク

12/09

大恐慌か超インフレだ!(新刊「あとがき」より)

12/08

中東情勢の泥沼化

12/07

食糧危機の足音

12/06

ユーロ崩壊へのカウントダウン

12/05

新刊『2013年 株式市場に答えがある』まえがき

12/04

ぶり返すユーロ危機

12/03

円安が始まった

12/02

株式投資の勧め

12/01

上昇転換した株価とその背景

11/12

大波乱の幕開け(最新著『もうこれは世界大恐慌』序章)

11/11

ギリシア救済というトリック

11/10

崩壊に向かう資本主義

11/09

欧州危機と錬金術

11/08

ユーロ崩壊

11/07

逆ニクソンショック(金本位制への回帰)

11/06

2012年、日本経済は大崩壊する!(はじめに)

11/05

スーパーマリオ

11/04

インフレの到来

11/03

今後の経済と生き方

11/02

液状化する世界

11/01

始まった食料高騰

10/12

迫りくる大増税

10/11

物価高騰に備えよ

10/10

まえがき(新著『2011年 本当の危機が始まる!』より)

10/09

中国の謀略

10/08

ニューノーマル

10/07

焼け太ったFRB

10/06

金(ゴールド)相場の映すものは?

10/05

ギリシア問題の末路

10/04

ゴールドマン・ショック

10/03

郵政改革の裏

10/02

金融問題公聴会

10/01

グーグルVS中国

09/12

新興衰退国

09/11

デフレとインフレ

09/10

円高で、為替仕組み債が破裂(破綻続出へ)

09/09

悲惨なアイスランド

09/08

不発弾(米住宅問題)が爆発するとき

09/07

秋に向け、鳴りをひそめている危機

09/06

今後の行く末は?

09/05

ゆっくり進むドル危機

09/04

上昇、やがて、壊死する株式市場

09/03

アメリカン・エキスプレスのキャンペーン

09/02

リーマンと山一證券

09/01

ゲート条項

08/12

ドバイの落日

08/11

ターミネーター


暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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