トップが語る、「いま、伝えたいこと」
FRBのパウエル議長が2024年以降と言っていた利上げを2023年に前倒しする可能性が高いという発表をしました。株価は多少の調整はしましたが、それほど大きな混乱はなくソフトランディングに向けた政策が始まっていく予感がしています。金融当局のかじ取りが上手くいくと期待していることも波乱がなかった大きな理由ですが、もうひとつ考えられるのは、金融緩和の縮小をしなくても景気の過熱はそれほどおきないのではないかという観測があることです。
先週の金曜日の日経新聞の朝刊に、ワクチン接種が進んでいる英米で感染が再拡大してきているということが報じられていました。今回のウイルスはなかなか手強く完全に抑え込むという対処方法では難しいのかもしれません。それよりもワクチンとの共生を目指してウイズコロナで生きていく方法を模索する方が、早く正常な状態に戻れるのではないかと思います。また、日本が典型的な例ですが、先進国ではものの供給はすでに過剰な状態です。所有にこだわらないライフスタイルも定着してきていて、たとえコロナ禍が収束して景気が回復してきても消費に走ると単純に考えるには無理があるように感じます。
金融緩和の縮小の方向に舵を取ると、短期的に相場は下落します。ソフトランディングというのは、最大2,3割程度の下落を許容して、その代わり例えば日本なら日銀によるETF購入によってかさ上げされている相場を一度理論値に戻してから、徐々に相場の実態に合わせて上昇を目指していく相場の形成を目指すことだというコンセンサスができてきているような気がします。相場ですから、そんなに思い通りにはいかないでしょうが、このシナリオで進むのがベストだと思います。
長期投資の手法で投資している方は、このシナリオで進むのならあわてる必要はありません。相場が下がるといい銘柄を安く買えるようになりますので長期投資にはプラスの効果が表れます。ただ、投機的な相場を好む方は少し要注意のステージに入ってきたと考えられた方がいいと思います。原油価格が上がってきたのが少し気になります。古典的な手法ですが、エネルギー価格をきっかけにしてハードランディングを起こして儲けようという人たちもいるように思いますので、そこは気をつけていただければと思います。
父は存命中、夜遊びがあまり好きではありませんでした。もちろんお付き合いで会食に出かけることは、ほぼ毎日でしたが二次会にはめったに行かないタイプでした。私も血を受け継いでいるのか、宴席が盛り上がっていても、「もう一軒」というのは苦痛になります。父は飲んで帰ってきても、一日の仕事の整理をして秘書や部下への必要な指示を必ずその日のうちに済ませていました。私にはとてもそこまではできませんが、コロナのおかげで少し近づけているのかもしれません。
最近は銀座のクラブに出かけることもめっきりなくなりましたが、「ザ・フナイ 4月号」で銀座のクラブ稲葉のオーナーママである白坂亜紀さんと対談させていただき、いろいろと心の目が開きました。白坂さんは1966年生まれで早稲田大学第一文学部に入学、20歳から日本橋のクラブで勤務、女子大生ママになります。この時ママになった経緯は、オーナーが占いに凝っていて白坂さんが鑑定でどんぴしゃりだったという偶然のものだったらしいですが、やはり運命の適職だったのでしょう、後には4店舗を経営するまでになりました。
「銀座の流儀 ―「クラブ稲葉」ママの心得帖―」、離婚カウンセラーの岡野あつこさんとの共著「セ・ラヴィ これこそ人生!: 亜紀とあつこ「困難な時代の生き方」を語る」(ともに時事通信社)の2冊の著作を読みました。
このコラムを読んでくださっている男性の読者には、銀座のクラブのママのノウハウがどのように役に立つか、ということはイマイチピンとこないと思いますが、私はママが成功したのは「胆力」「優れた距離感の見極め」の2つに尽きると思います。美とか華は天性のものが必要ですし、気配りおもてなしのマインドは生半可なことでは競合店から一歩も二歩も抜きんでることは本当に難しいと予想がつきます。
しかし、土台は先ほど書いた2つに尽きると思います。試練をエネルギーに換えて前に進んでいくあり方は、白坂さんのような抜きん出た胆力を持った人の経験を読むことは、経営者もビジネスパーソンもとても役にたつと思います。褒め方なども、自分には苦手意識が強くてという方こそぜひ参考にしていただきたい、珠玉のヒントが詰まっています。
「ザ・フナイ」の対談でよく覚えているのは、銀座の女性は毎日美容室に行かなければいけないこと。そして、売れっ子であればあるほど独特の高い髪の毛に結うことになっているということです。まるで昔の花魁みたいですねと言うと、江戸の文化をいまに継承しているのが銀座であるということを教えてもらいました。昔から一番文化が成熟するのは男女が出会う所。生きた本物のマーケティングの学びの場として、私もコロナが収束したら、白坂さんのお店を訪れたいと思います。
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2021.06.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】江戸文化の継承 (※舩井勝仁執筆)
2021.06.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】脱炭素社会の実現へ向けて (※佐野浩一執筆)
2021.06.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】縄文生活 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |