トップが語る、「いま、伝えたいこと」
お金の専門家でベストセラー作家である本田健先生の2024年はどんな年になるかというYouTubeを拝見しました。簡単に言うと、世界的というかアメリカや中国が今年は大変厳しい年になることを的確にまとめて教えてくれています。少し前まで世界経済はインフレに苦しんでいたのですが、どうも米中やヨーロッパなどの豊かな国は年後半からデフレに悩まされるのではないかというのです。
少しだけ触れておられましたが、それでも株価だけはどうも上がっていきそうな雰囲気があります。1月11日に米労働省から発表になった12月の消費者物価指数(CPI)は市場予想や前月比を上回る3.4%の上昇率になりました。これで、FRBの利下げは少し遠のくのではないかと言われていますし、日銀も来週に開催される金融政策決定会合でマイナス金利の解除政策をすることは、能登半島地震の被害が広がる中で難しいのではないかと言われています。日米ともに大きな金融政策の変更がすぐには起こらないことが予想され、市場にとっては現状維持で大きな流れから言えば「貯蓄から投資へ」というトレンドは不変なのだろうということが確認されることになりそうです。
ただ、本田健先生のおっしゃる通り、欧米中はデフレ傾向が年後半になると確認されるようになり、利下げが始まることになっていくと思います。金融当局として頭が痛いのは、そうすると株価が上がっていくことになり、そこから一部の層にしか恩恵を与えないインフレが進んでいく結果にもつながってしまうので、利下げは慎重に進めていくというトレンドになりそうです。そして、そんな中で注目(つまり資金)が集まりそうなのが日本市場ではないかと思います。アメリカの利下げで多少は円高になることが予想されますし、企業業績も企業統治体制も欧米の基準から見ても納得できる水準に改善されてきているのだから、割安に放置されていると考えると上がって当然なのだと思います。
先々週書かせていただいたように、今年は日経平均が史上最高値に挑戦する年ですし、12日の日経新聞の電子版には、上海市場を抜いてアジアでは東証の時価総額が最大に返り咲いたという記事が載っていて象徴的な出来事に思います。もちろん、投資は自己責任なので、しっかりとご自分で調べて納得されてから行動に移された方がいいと思いますが、日本だけはインフレ傾向が続きそうな気もするので、貯蓄だけでは資産が目減りしていくことになるので、投資の勉強もしていっていただければいいのかなと思います。
そんな話を受けて、今回紹介する本は植草一秀著『資本主義の断末魔』(ビジネス社)です。出版社は違いますが2002年の父の本に『断末魔の資本主義』(徳間書店)という本があり、どこか既視感を覚えるタイトルではあります。
植草先生がどこまで意識されているのかはわかりませんが、21年前に父が感じていたような社会のトレンドが改めて再現してきたということになるのかもしれません。
2024年の経済を予測するという内容の本なので、内容的にはもちろん父の本とは別物です。植草先生は父も親しくしていただいていて、例えば昨年は株価が大幅に上がっていくだろうという予想を見事に当てておられて、私は予想を参考にするのならいま最も頼りになる先生のお一人だと思っています。本書の内容ですが、アメリカの存在による影響が全体的に多く書かれ、国際的な部分から日銀の動き、日本のあまり好ましいとは言えない現状の部分などが論理的に的確に書かれているので、なるほど確かにこれらを予測できていれば大きな利益をあげられる、と言った内容がズラリと並んでいます。
一見、過激な内容に思えますが、植草先生のエコノミストとしての予測は実際に当たっているものも多く、実際に投資をする際の参考になる点も多くありそうです。実際に日経平均は高騰を続けていますし、自分の考えと一致する部分があれば、植草先生の予測に全面的に乗ってみる、というのも一考かもしれません。実際面白いなと感じる部分も多くはありました。もちろん、資本主義が断末魔の叫びをあげるという事で、大きな変動があるという予測が正しいのであれば、リスクを負ってまでの投資は個人的に控えるべきなのかな、とも思います。
繰り返しになりますが、投資はあくまでも自己責任です。銘柄などの記載もありますが、上がる株でもタイミングを見誤れば損をします。安易に書いてある内容のものを買ってみようではなく、きちんと知識を身につけた上で取り組む必要もあるなと、改めて考えました。植草先生はドルコスト平均法ではなくアクティブ投資を勧めておられて、確かにこれから本田健先生のおっしゃるようなトレンドになるのなら、一理あるなとも思います。大事なのは、私や紹介した先生方の話をそのまま信じるのではなく、自分でも考えていただいて独自のナラティブ(共創構造を持った物語、論理的である必要は重要ではない)を作り上げることだと思っています。
変化が大きいということを楽しめるように、クレバーにたくましく乗り切っていきたいと思います。
=以上=
2024.01.22:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】寛容さを取り戻す (※佐野浩一執筆)
2024.01.15:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】断末魔の資本主義 (※舩井勝仁執筆)
2024.01.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ウェルビーイングと幸せ (※佐野浩一執筆)
2024.01.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】好転する思考法 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |