トップが語る、「いま、伝えたいこと」
1月25日にアメリカ商務省が発表した10〜12月四半期のアメリカのGDP の成長率は速報で3.3%増になり、市場予想の2%を大幅に上回りました。FRBの金利が高い水準で据え置かれている中で景気の後退が懸念されていましたが、とりあえずはそれを跳ね返した発表になりました。要因は堅調な個人消費ということですが、どうも数字をみているとアメリカのインフレとの戦いはソフトランディングに成功しつつあるようです。この発表を受けて、ニューヨークのダウ平均は史上最高値を更新しました。アメリカの株価は相対的にはかなり高い水準にあると言われ続けていますが、結果としては世界の株価をリードする存在になっています。
日銀は先週開催した金融政策決定会合の結果を受けて予想通り金融政策の維持を発表しました。一部にはマイナス金利政策の解除が行われるのではないかという観測もありましたが、甚大な被害をもたらした能登半島地震の復興に向けて金融の引き締めを実施する時期ではないという事前の見通しが的中した形になっています。賃上げを伴うインフレ傾向が日本でも定着しつつあるようなので、4月の会合ではマイナス金利政策は解除されるだろうという見方が優勢ですが、それでも急に短期金利を欧米のようなペースで上げていく政策はとらないと思われます。FRBの利下げの行方と相まって、株式や為替市場がどのように推移していくのか、予想するのは難しい状態が続くのだと思います。
日本の株式市場は日経平均で一時的には37,000円を見据える水準にまで上がりましたが、現在は36,000円前後の値固めを行っている状態なのだと思います。いまの株高はどうもなかなか本当に日本株が上がるかどうか疑心暗鬼になっている国内投資家に対して、本格的に日本買いに舵を切った海外投資家が上げを引っ張っている形になっているような気がします。証券業界の方の話を聞くと、彼らは年前半での38,915円という史上最高値の更新は織り込み済みで、後半にどこまで上げていくかを為替や金利などの要因がどうなるかを含めてじっと見守っている状態のように感じます。
そんな中で今回は宮崎正弘著『2025年トランプ劇場2.0!世界は大激変』(ビジネス社)を紹介させていただきたいと思います。宮崎先生は「宮崎正弘の国際情勢解題」という無料メルマガをほぼ毎日配信されています。私も毎日拝読していて、出典を明らかにすれば、転載自由ということで、そのままメルマガなどに載せさせていただいたことも何度かあります。中国に対してかなり厳しい見方をずっと発信し続けられていて、その他には歴史や考古学にも造詣が深く、一度「ザ・フナイ」の巻頭対談にもご登場いただいたことがあります。その論評の姿勢は徹底的に現地に出向いて直接取材をするというもので、世界中、日本中どこにでも出かけていかれています。
今回の本は、世界情勢の中でも最も関心の高いアメリカ大統領選挙に関する本で、トランプ再選が確実という立場から、その後の世界情勢についてまとめていただいています。共和党の予備選で日々勝利を伝えられるトランプ氏。ヘイリー氏を除く多くの候補が早々に撤退を決めるなど有利な情勢が続いています。現在でも、共和党の候補者に指名される事がほぼ確実になり、現在のバイデン政権の不人気な状態を考えると、トランプ大統領復活が現実的な話となってきました。
本書によると、ウクライナ問題や外交姿勢など、様々な理由で鬱憤を溜めたアメリカ人の一部がトランプ支持派へ移行しているようです。現政権の失策が続き、ネガティヴな情勢である場合は変化を求めるのは日本でもよく見られる状態ですが、現在の圧倒的なトランプ支持は、元々一定数の支持層を抱えている事実を考えれば、決して不思議なものではありません。大衆向けのロジックを完成させて再び支持を集め始めたトランプ氏。再選された場合、アメリカはどのように動いていくのか。通貨問題などの動きも考えられますが、最も気になるのは外交面。慎重派のバイデン大統領に比べ、トランプ氏は派手に動く可能性があります
大衆の意見を反映したウクライナ支援の縮小、イスラエル問題も自分ならばある程度解決策を持っているとするのも、一定の説得力はあるので実現するかもしれません。本書内にもあるように、中国やロシアに対しても何かしらの現実的な動きを見せてくるでしょう。そうなった場合は、日本にどのような影響を及ぼすのか。そもそも日本に直接的な何かを仕掛けてくるのか。一般的な政治家の枠を外れた彼の動きを予測するのは難しいですが、明るい近未来が感じられるような気もします。
ディープステート(DS)から一定の距離を保ち、自分のことや、自分を支持してくれる大衆の利益を誰よりもストレートに考えるであろうトランプ氏ならば、現実的な線で、紛争の解決を図るのだろうと思います。ウクライナからはロシアとの停戦を取り付けて現状の状態で撤退し、中東情勢に関しては、鍵を握るイランとの交渉で方向性を見出すのだと思います。そして、中国との対決は国益という面でストレートに向き合うので、日本は自立を迫られるのも含めてある意味、アメリカからの真の意味での独立を果たすチャンスにしなければいけないという文脈で考えていければいいのかなというのが読後感でした。
トランプ大統領アゲインという(不都合な?)真実をそろそろしっかり受け入れて、それをどう前向きにとらえられるかどうか、大事なタイミングが来ているのかもしれません。
=以上=
2024.01.22:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】寛容さを取り戻す (※佐野浩一執筆)
2024.01.15:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】断末魔の資本主義 (※舩井勝仁執筆)
2024.01.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ウェルビーイングと幸せ (※佐野浩一執筆)
2024.01.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】好転する思考法 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |