トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2024年3月11日
ユダヤの成り立ち (※舩井勝仁執筆)

 大きなトレンドとしては、株価が史上最高値を34年ぶりに更新した後も、日本の株式市場は上向きに推移しています。年初から20%以上の上げだということで、少しスピード違反気味なので、ところどころに大きな調整の波はやってきますが、金融つまりお金が自己増殖をしようとする世界においては、いま日本株は買いだということになるのだと思います。2週間前に少し振り返ったように、父が一番活躍していた時期である1990年代後半から2000年代にかけては、日本は売られる対象でした。その流れを敏感に発信し続けてきたので、いまでもありがたいことに舩井幸雄ファンの皆さまは、どちらかというと天井が高ければたかいほど谷底は深いと感じている方が多いような気がします。
 そうかもしれませんが、1989年の株式市場のバブル崩壊からは、1世代経過してバブルの怖さを実感していない人たちがマーケットの第一線で仕事をするようになりました。若い人と話をしていると、舩井幸雄の呪縛というわけではないですが、我々の世代があのトラウマを乗り越えられないで、必ず市場は暴落して金融恐慌が来るに違いないということをどこかで待ち望んでいるのが、そもそも間違っているのかもしれないなと感じ始めています。父は投資やましてや投機の世界で稼ぐことに否定的な意見を持っていました。何をもって実体経済から離れているのかを感じるのは難しいところがあると思うのですが、いまや先進国の経済を支えている多くの活動は虚業に属するのだとも感じます。
 日本各地で半導体産業を中心に製造業が注目を集めるようになってきて、場所によっては明らかにバブルのような様相を示している地域もあるようです。30年間の失われた日本を取り戻すいい流れだとは思いますが、バブル前と違って、製造業が経済例えばGNPに占める割合はそれほど多くないのが実情です。少子高齢化による人手不足も相まって、何を持って経済を立て直していくかは、よく考える必要があるのだと思います。厳しい面で日本は世界の最先端を走っているのかもしれません。この少子高齢化で人口がドンドン減っていってしまう社会にどう対処するか、世界は固唾を飲んで日本を見守っているのかもしれません。
 それに対する答えを示していくのが、本当に日本がいま求められていることで、福祉や医療の分野等、それに対する答えが見え始めている分野もあると感じます。ある意味、日本民族は他民族とかなり違っているという自覚から始めることが大事なのかなとも感じています。

 今回紹介するのはイスラエルの大学でユダヤ史学の博士課程を学ばれた立教大学教授である長谷川修一先生の『世界史リテラシー ユダヤ人はいつユダヤ人になったのか バビロニア捕囚』(NHK出版)です。日本人が特殊な民族だとすると、同様にというか大局的に特殊なのがユダヤ民族です。現在、大きな関心を集めるイスラエルとパレスチナ問題。未だに終わらないジェノサイドとも呼ばれているガザでの戦闘。あまりにも惨たらしい状況が日々伝わり、心を痛める日々です。休戦交渉もなかなか上手く進まず、解決の見通しはなかなか見えてきません。
 どうしてイスラエル、ユダヤ人は世界から多くの非難を集めながらもこの一方的な戦闘を進めるのか。その背景を理解するためには、彼らの歴史に迫る必要があり、本書はそのヒントになり得る存在です。あまり長くもなく読みやすい、NHKの関連の出版社らしく学びの助けになってくれる本でもあります。近年の迫害の歴史や、経済界での存在感、ユダヤ人(ユダヤ教)の成り立ちの部分はあまり関心を持たれていません。近年の出来事のインパクトがあまりにも強く、そちらばかりに目が向いてしまいがちなのは、仕方のない事だとは思います。
 一般的に習う内容よりもう少し踏み込み、ズレが生じがちな部分について認識を改め、バビロニア捕囚という悲劇的な出来事について改めて知ることができる内容。本書内にはパレスチナ(南レヴァント表記)についての記述も当然出てきますから、そこを改めて浚(さら)いたい方にも勧められる内容かもしれません。本書を読み進めると、未だにユダヤ人が約2500年前のバビロニア捕囚を忘れず、それ自体をアイデンティティとして強く持ち続けていること。それと同時に現在では若い世代を中心に過去ほどそれが強固なものでは無くなっており、内部からも批判的な意見が出る一因である事が理解できます。
 アブラハムが神から啓示を受けてユダヤ民族を率いるようになり、モーセが出現してエジプトで奴隷になっていたユダヤ民族をカナンの地に脱出させ、ダビデやソロモンという名君がイスラエルを統治するようになったという神話がこのバビロン捕囚の間に完成し、それ以降、基本的に国を失って流浪の民になる運命を享受しながらも、いまに至るまで世界の歴史の中で例えば金融業という宗教的には忌み嫌われていながらも、社会に対して大きなインパクトのある業を担い続けてきているというユダヤ民族の特殊性の原点を歴史的に教えてくれる入門書のように感じます。
 そして、その特殊な立場を守るために、聖書の内容をずっと教義として刻み続けてきたからこそ、私のように特定の宗教に傾倒しない立場からすれば完全に理解はできませんが、今のような行為に走っている。宗教が持つ複雑性、それによって起こってしまう事。
 考えさせられる一冊でありました。ユダヤ民族が特殊なように、どうも日本民族も特殊であるということを自覚するための第一歩としてここに立ち返ってみることは、復活しつつある日本経済の行く末を考える上でも大事なことだと思います。
                          =以上=

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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