トップが語る、「いま、伝えたいこと」
不安、心配、怒り、憎しみ、悲しみ……。
こうした感情とは付き合いたくなくても、致し方なくお付き合いせざるを得ないこともありますよね……。よく、こうした感情を手放せばいい……と言われますが、ここで1つ判断しないといけないことがあるのです。
もし、こうした感情を感じていたいのなら、それは「受け入れている」ということなので、そのときは、むしろ“味わう”ことを選択したほうがいいようです。「受け入れ」というのは、別の表現をすると「許し」と認識できるので、その段階で変容され、もはや禍々(まがまが)しい感情ではなくなっているとも考えられます。
もちろん、やはり「受け入れられず、忘れたいのに感じてしまう」という場合は、手放したほうがいいということになります。
とくに、がんなどの重い病気になったとき、ネガティブな感情が沸き起こってくることは、ある意味、自然なことだと考えられます。それは、ご本人はもちろんのこと、家族、友人にも同じことが言えるでしょう。
いまから15年ほど前、長男が脳腫瘍の宣告を受けたとき、こうした体験をしました。本人はまだ15歳だったので、いまから思えば、どれだけの不安感情が付きまとったのだろう……と思うと、いまでも背筋が寒くなります。その後、また脳梗塞を患い、障がいは残りましたが、電動車いすで仕事にも出かけ、結婚し、一児の父親となりました。あらためて、命の有り難さを痛感します。
親としていろんなことを勉強しました。薬のこと、抗がん剤のこと、そして様々な先端医療のこと、サプリメントのこと、民間療法のこと……。おかげで、ずいぶん知識は増えました。そのなかで、もっとも注目したのは、心理へのアプローチだったのです。
偶然と言ってもよいと思いますが、カール・サイモントン博士の「サイモントン療法」と出会うことになります。
「サイモントン療法」は、米国の放射線腫瘍医で心理社会腫瘍医であるカール・サイモントン博士により開発された、がん患者と家族(または支援者)のための心理療法です。アメリカで、学会認定の放射線腫瘍医として、がん治療の第一線で活躍していたサイモントン博士は、臨床で患者さんの治療を重ねるにつれ、診断と治療が同じでも、成果が出て健康を取り戻す患者さんと、全く成果が出ずに死を迎える患者さんとに分かれるという矛盾に直面したそうです。
ここで、博士は、患者の精神・心理状態、またそれにともなう生きる姿勢が、病気や治癒の過程に影響を与えることを認識されます。希望をもって治療や日常生活に取り組む患者と、絶望感に苛まれながらそうする患者との間に、大きな回復の差を確認されたのです。その後、がんと心の関係に関する研究を行い、そのことを実証していかれます。
(*参考:NPO法人サイモントン療法研究会HP)
ちょうど、その「サイモントン療法」を学べるというので、長男とともに、日本での第一人者である川畑のぶ子先生の門を叩いたのでした。
講座のなかで、最大の“出会い”となったのは、「モルツビーの5つの質問表」というものでした。これによって、「信念」の書き換えを行っていきます。どういうことかと言うと、そのときの感情や考え方が、果たして健全なものと言えるのかどうかを確認して、その思い込みのようなものを書き換えて、健全なメンタルを取り戻していく……というものです。
下記が、その5つの質問です。
1.この信念は事実に基づいていますか?
2.この信念は自分の健康や生命を守るのに役立ちますか?
3.この信念は自分の短期的、長期的目標を達成するのに役立ちますか?
4.この信念は自分の悩みや困難を解決、解消するのに役立ちますか?
5.この信念は望ましい気分をもたらしますか?
がん患者でなくても、いろんな難病を抱える人たちは、つぎのように考えてしまいがちです。もちろん、家族だって、ふと頭をよぎってしまう思考でもあります。
「○○になった私は二度と健康になれないに違いない」
これを、上記、5つの質問で確認しつつ、健全思考に書き換えていくというものです。
NOが3つ以上あると、それは不健全思考ということになります。
1.この信念は事実に基づいていますか?
⇒NO。事実とは言えない。いまはそうでも、健康になる可能性はあるはず……。
2.この信念は自分の健康や生命を守るのに役立ちますか?
⇒NO。決して、役立たない。
3.この信念は自分の短期的、長期的目標を達成するのに役立ちますか?
⇒NO。短期的にも、長期的にも役立たない。
4.この信念は自分の悩みや困難を解決、解消するのに役立ちますか?
⇒NO。解決、解消してくれるどころか、余計に大きくしてしまう。
5.この信念は望ましい気分をもたらしますか?
⇒NO。より不安で悲しくさせてしまう……。
こうして、5つともNOとなり、上記の思考は不健全なものであることを確認します。
そこから、
「がんになっても、健康を取り戻せる可能性がある」
「がんになったけれど、治る可能性を信じる選択はある」
「がんになったけれど、ネガティブにとらえることはマイナスにつながる」
というように書き換えることができると気づいていきます。
事実、私たちもそうでした。治らない可能性を考えるより、治る可能性を考えた方がはるかに思考も生活も健全なものに近づいていくからです。
プラス発想やポジティブ思考をいつも、どんなときも持てるに越したことはないのですが、現実的には、そうできない状況や場面をあると思います。そんなときに、この「信念の書き換え=ビリーフ・ワーク」は大いに役立つと思います。
近年では、こうした難病の克服のためのワークとしてだけでなく、ストレスに起因するさまざまな病気に対してサイモントン先生のプログラムが提供されているようです。
日常で、たとえば「自分はダメだなあ」と感じることってありませんか?
私は、あります。
そんなとき、少しだけ立ち止まって、思考や感情を整理、整頓します。「自分はダメだ」の考えを、自身にとって自然な考えに「捉え直す=書き直す」のです。こうした「全否定」的なものは、とってもやりやすいんですよ!かつて英語の授業で習った、あの「部分否定」に書き直すだけです。つまり、「〜だとは限らない」「必ずしも〜というわけではない」というふうに……。
「自分はダメだ」(全否定)
→「すべてがダメだとは限らない。ダメなところも確かにあるけれど、すべてダメなわけではない。」(部分否定)
→「よいところだってある。」((部分)肯定)
こうして、2段階の書き換えを行うと、「全否定」が「肯定」に変わるのです。実際には「そう簡単にはいかないんじゃないの?」って懐疑的にとらえる方もいらっしゃると思います。それもそうかもしれません。でも、繰り返しおやりになってみてください。ご自身の変化にきっと気づいていかれるはずです。
今の時代、「なんとなく」未来に不安を持たれている方も少なくないようです。だからこそ、ここで、その「信念」の書き換えをおススメしたいと思うのです。
「これからの世の中はもっと悪くなるかも……」
→「果たしてこれは事実と言えるのか? そうかもしれないし、そうでないかもしれない。ひどいことにならないように具体的な対策を考えてみたほうが建設的だ!」
現代ではさまざまな科学的研究により、精神・心理面、感情面が人間の免疫機能に大きな影響を及ぼしていることが証明されるようになりました。健康で幸せ……を求めることはもちろん大事なことです。ただ、その前に、「健全」であることを目指すことが大事だと考えています。心の持ち方次第で、すべての見方、見え方が変わってくるのですから……。
感謝
2024.12.16:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】イスラエル (※舩井勝仁執筆)
2024.12.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】健全思考でネガティブを手放す! (※佐野浩一執筆)
2024.12.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】SFから考えるAIが浸透した社会 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |