トップが語る、「いま、伝えたいこと」
先々週の円高、先週の円安、そして今週は円高の話題を書いています。まさに目まぐるしく市場は動いていますが、大きく言えば金融政策の正常化というあるべき姿に戻りつつあるのかなと感想を持っています。日本では久しぶりに金利がある世界が戻ってきました。銀行預金の金利が上がってきました。デフレの時代には本音で言うと銀行にとって、預金はお腹いっぱい状態だったのですが、インフレの時代になると資金需要が旺盛になってくるので、原資となる預貯金を集めたいという傾向が顕著になってきました。それでも、まだ銀行預金よりも投資利回りの方がはるかに有利なので、しっかりとトレンドに乗り遅れないようには学びは続けていただきたいと思います。
2期目のトランプ政権が発足してから1カ月が経ちました。私の周りのフィルタリングバブル(自分が好む情報しか入ってこない状態。SNSに情報源を頼っていると起こりがちな傾向)では、トランプ政権はすばらしいということになりますが、冷静に見ると結構無茶苦茶をやっていて、周辺が何とかその現実に合わせようと努力して、いまのところ何とかなっているというところでしょうか。ウクライナ問題をどのように解決するかが、当面の最も大きな課題ですが、この落としどころを見ていると新しい安全保障というか世界秩序がどのようになっていくかが見えてくるのではと思っています。
次の本命の問題は、イスラエルを中心にした中東の問題。ガザをアメリカが統治するという50年以上の和平交渉をぶち壊すような発言をして物議を起こしていますが、ある意味復興して無償でパレスチナに返すのなら、大きく見るとまっとうな案だとも考えられます。第一次大戦、第二次大戦で英仏米などの先進国が、もしかしたらわざと紛争の種を蒔いておいた地域だと考えることも可能だと個人的には思っています。そうだとすると、悲しいことではありますが、力の持っているものしか解決できないし、それができないように手足を縛っていた状態を開放していくのがトランプ大統領であり、プーチン大統領なのかもしれないという思考実験は可能なのかもしれません。
エゴ丸出しにはなりますが、日本のことだけを考えると、トランプ政権のターゲットにしばらくは中国を始めとする東アジアは入らないように感じますので、安全保障という面ではじっくり考えて行動する時間的猶予があるとも考えられると思います。どちらにしても、いままでの常識では測りきれないゼロベースでの行動を起こしていくのがトランプ大統領なので、市場もそれに振り回されることになっていきます。日本の金融当局は、金融政策を金利があり、インフレを抑え込みながらマイルドな状態を何とかキープするという正常な状態に戻していくことに注力しているというマクロな見方をしっかり押さえながら相場を考えていただければいいのではないかと思います。
今週は、富士川碧砂著『幸福の縁切り神社とお寺さん』(さくら舎)をご紹介したいと思います。富士川先生は舩井メールクラブの常連で占星術の超プロですが、声優でもありいろいろな顔を持ちながら活躍されています。縁切りと聞くと、私の世代は、さだまさしさんがグレープ時代に歌っていた「縁切寺」を思い出してしまいます。昭和51(1976)年の歌のようなので、私は小学校6年生の頃で、お酒を飲み過ぎると昨日のことさえ覚えていないこともあるのに50年近く前のことは歌詞までしっかり覚えているのが不思議な感じがします。
もちろん、若い方には通じない世界で、『縁切り』というのは非常に過激で強いイメージを持ち、封建的な古い時代では夫婦間の最終手段、安易に口に出せるものではない、聞かずに済む方が幸せである、そんな言葉なのだと思います。しかし本書に登場する縁切りはややカジュアルなもので、自らにとって不要な部分を断ち切る的な意味で使われています。
人間には様々な種類の縁があります。婚姻だけではありません。過去の自分、苦い思い出、偏ってしまった自分の思想、ネガティブな身の回りの事柄など、これらのマイナスな要素との縁を切っていくという内容には、確かに必要な事であるという説得力があります。スピリチュアルな要素も多く含まれていますが、それを抜きにしても意味がある事の様に感じます。もちろん、それらの問題を解決するための方法についても書かれており、その多くを占めるのが全国の縁切り神社の紹介です。
その中にはスピリチュアル的なものに興味関心のある方なら誰もが知るような有名な神社が多く入っていますが、それらについて知らなかった一面を学ぶ事もでき、非常に面白い内容となっています。それぞれの特色を見ていくと面白く、知らなかった縁切りの世界の深さと多様性を理解する事ができます。単純に神社や寺のガイドとしての一面も持ち合わせている様にも感じられ、伺ったことのない施設については、一度足を運んでみようかなと思わせてくれる部分もありました。
最後に、縁切りに最適な日や、必要な道具についての解説もあります。宗教的な縛りなどはなく、国際的な要素が混ざり合いながら紹介されている事から、フラットであり一定の信頼を持たせる要素となっています。以上のように、本書を読む事で縁切りの有用性について学びましたが、やはり少しハードルが高くも感じます。しかし自らを縛りつけている本当に大きな縁、それらに向き合い完全ではなくても切ろうと試みる。それだけでも心が非常に穏やかになるのかもしれない。いつか試してみよう、そう思わせてくれる一冊でした。
父は「良いと思ったことをすぐやり、悪いと思ったことをすぐやめればいい」という考えを持っていて実行していました。幸いにもいまは変化の激しい時代なので、(大きな意味での)悪縁は切れやすく、良縁はつながりやすい傾向が顕著だと思います。その流れにしっかり乗って行くための参考書としてお使いいただくのもいいのかもしれません。
=以上=

2025.02.17:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】「軽薄な破壊者」との戦い (※舩井勝仁執筆)
2025.02.10:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】大幸運の法則 (※舩井勝仁執筆)
2025.02.03:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】未来から考える新しい生き方 (※舩井勝仁執筆)


舩井 勝仁 (ふない かつひと)
![]() 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち)![]() 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |
