中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2023.04.20(第102回)
フードテック、代替母乳、細胞培養って知っていますか?

 4月中旬、OKシードプロジェクトの共同代表として私は、京都府宮津市長と市議会議長宛に、ゲノム編集トラフグの食品としての安全性が確認されるまでふるさと納税の返礼品から削除してほしいということや、天橋立周辺の海を養殖場からの排水が汚染していないかの確認をしてほしいなどの要望書を渡してきました。事業主体である、リージョナルフィッシュも訪問しましたが、お留守だったので、代表に要望書を送りました。そして、ゲノム編集トラフグを養殖している場所の外からの見学をしてきました。
 中がどうなっているのか気になるところですが、全面的に賛成している宮津市の議員さんでさえ、見学を申し入れても断られているのです。事業主体は、リージョナルフィッシュという会社で、経営陣に名を連ねている京大の木下教授は、ゲノム編集マダイ、トラフグ、バナメイエビなどの研究をしています。当然、ゲノム編集に反対の立場を取っている私たちは、見学をさせてもらえませんでした。
 宮津市は、ゲノム編集は国が進めている事業なので、安全であり環境汚染も起きるはずはないという立場です。京都府もフードテックを推進する考えですので、一致しています。

 そもそもフードテックというのは何でしょうか。私たちのフードを最新のテクノロジーで作っていくことです。その根底には、2050年までに世界の人口は100億人になり、食肉の生産は不可能になるので、肉食は持続可能でない、という予想に基づいています。そのために考えられているのは、今のところ3つで、@植物性の代替タンパク、A昆虫食、B細胞培養ミルクや培養肉などです。
 @の代替肉とは、今までもありましたが、大豆、えんどう豆が原料で、肉の色や風味をつけるため、ヘム鉄や、ビーツなどで赤色にし、その他たくさんの特許技術を使って添加物いっぱいで作られています。作っている企業は、アメリカのインポッシブルフーズや、ビヨンドミートです。その他に、生マグロの代替や、植物由来のマヨネーズ、スクランブルエッグ、メレンゲなどが開発されています。
 Aの昆虫食ですが、EUではビーガンが増えているため、ミールワームという甲虫の幼虫を新規食品として承認しており、仏のインセクト社が作っています。日本では丸紅が養殖魚の飼料として扱っています。またコオロギは現在、ゲノム編集技術で養殖されており、徳島のグリラスで作られ、すでに徳島の学校給食に1回提供されています。
 Bの細胞培養肉はまだ実験の段階で、実用化はこれからです。バイオリアクターという牛の胎児の血清で培養されるので、コストも莫大にかかり、大量生産にはまだ時間がかかります。細胞培養ミルクですが、これは哺乳類の乳腺細胞を使って母乳に近いミルクを目指しています。母親の免疫を運ぶラクトフェリンに成功したようです。目標は、人ラクトフェリンで、最終目標は、個人のカスタマイズ母乳を開発することです。
 しかし、これらの技術には、問題があります。母乳にしても生物的には同等ではなく、製造の過程で微生物を使うので、想定外の物質を作る可能性があります。

 フードテックの問題点はどこにあるのでしょう。
 それは、@知的財産権だけで出来ていること。1つの特許で25年間の収入が保証されます。A遺伝子組み換え技術で出来ていること、Bゲノム編集技術で出来ていること、C規制する制度がないこと などです。

 フードテックを推進しているのは誰なのでしょう。
 それは、世界経済フォーラム、ダボス会議と呼ばれているものです。今の経済システムが行き詰まり、これ以上の利益が見込めそうもないので、新たな儲け口を作り出すため、グレートリセットを打ち出しているのです。この中には、EATフォーラムがあり、肉の消費の90%の削減を目指し、人工的に作られる食品を使った食事に移行させる計画です。農薬ハイテク企業などが主体になり、FAO(国連食糧農業機関)という本来世界の食料の80%を生産している小規模家族農業を推進していた機関をからめとり、邁進しています。

 日本はどういう対応をしているでしょう。
 日本発のフードテックビジネスを育成しています。冒頭で紹介したゲノム編集の魚類は世界で手掛けているのは日本だけで、突出しています。日本政府はこれで世界のトップを取るつもりでいます。フードテック官民協議会、昆虫ビジネス研究開発プラットフォームなどが推進している機関です。

 皆さんどう思いましたか? 世界の動きがどうであれ、日本がこれに乗る理由が全くわかりません。そもそも日本の伝統食は肉をあまり食べないし、お米中心の一汁三菜、少々の野菜と海藻があれば、健康に生きていけます。マクガバン報告でも、コリンキャンベルさんのチャイナスタディーでも、日本の鎌倉時代の食事が理想であるとされています。母乳は母親の乳房から赤ちゃんが吸うものであり、お乳は肉や牛乳を食べない方がよく出ます。江戸時代の飛脚の身体能力に感心した外国の方が、肉を食べさせたらもっと走れるだろうと思って食べさせたところ、これを「食べると疲れて走れないので、止めてもいいか」と言われたことが書物に残っています。

 前回のテーマでもありましたが、頭でっかちの男性どもを目覚めさせなければなりません。日本の女子たちよ!せめて日本の男たちに、今やっていることがとてもヘンなことに気付かせてあげましょう!


バックナンバー
23/05

子どもに食べてもらいたい理想の食を考えてみました

23/04

フードテック、代替母乳、細胞培養って知っていますか?

23/03

女性のみなさん!泣きましょう!男の本性を目覚めさせるために

23/02

「大地の再生」実践マニュアル

23/01

1/18日本の有機農業技術大集合で感じたこと、わかったこと

22/12

オーガニック給食のオーガニックという言葉に込める意味

22/11

オーガニック給食を支える有機農業技術大集合

22/10

正義は勝つこともある

22/09

子どもたちのために立ち上がったカッコイイ首長さん紹介

22/08

有機給食にトップダウンの時代がやってきた!

22/07

田んぼカフェでもシードライブラリー始めました。

22/05

食料危機が来ることは悪くない

22/04

食品表示をさせない問題について考える

22/03

最近気が付いた黒焼きの正体

22/02

子どもを元気にする「生命尊重食」=有機給食をいまこそ文科省にお願いしましょう!

22/01

有機給食へのはじめの一歩

21/12

国が推進するゲノム編集の進捗状況とOKシードプロジェクトの中間報告

21/11

私の炭生活

21/10

導かれて炭に目覚めた私の炭遍歴

21/09

秋にこそ楽しむマコモの浄化力

21/08

今は亡き稲葉光國先生の功績に感謝して

21/07

映画「食の安全を守る人々」

21/06

OKシードマークをご紹介します。

21/05

有機給食を支える技術と政策、育てる心

21/04

野菜の栄養価をみえる化したら…有機給食が実現する

21/03

ゲノム編集トマトの苗分け始まってしまいます!

21/02

こんな町に住みたい 元気な子が育つ自治体調べてみました。

21/01

有機給食と有機農業の素晴らしい関係が始まりました

20/12

日本人の遺伝子配列が教えてくれる伝統和食

20/11

種苗法改正案の慎重審議をお願いする活動に協力してください。

20/10

種苗法改正は11月強行採決の予定。反対の声を#で届けましょう!

20/09

有機給食全国集会のご報告

20/08

食べ物を変えたいママプロジェクト 一人から始めるママたち

20/07

そうだったのか種苗法改正

20/06

私のナウシカプロジェクト 自然再生葬編

20/05

種苗法改正って何? 賛否両論の理由と、どうしてもわからない大きな矛盾

20/04

WorldShift 不安から慈愛へ 〜コロナが教えてくれたShift〜

20/03

私の安上がりシンプルライフ

20/02

こんなに元気な子が育つ有機の和食給食

20/01

みんな母親たちの味方です。敵はいません。頼りにしましょう!

19/12

自家増殖原則禁止とは(種苗法改正が次の国会で通ってしまうと大変です)

19/11

私の一番の味方でいてくれた母を偲んで

19/10

2019年12月2日〜12月12日 アメリカを変えたママがやって来る!日本のお母さんたちも、アメリカのママたちに続こう!

19/09

ゲノム編集について知っていてほしいこと

19/08

今一番の緊急課題。それは子どもの食を有機にすること!

19/07

人も自然も健康を取り戻すのはとても簡単です。

19/06

韓国の有機栽培面積が日本の18倍になっているのはなぜ?

19/05

不調の原因が一つ明らかになりました。小麦とパンを変えましょう!

19/04

やっぱり、人間の腸能力はすごい!

19/03

今年も醤油を搾って、来年のもろみを仕込みました。

19/02

種子法廃止後、最新状況をご報告します。

19/01

田の草フォーラムに来てもう一つの国を生み出す仲間になって!

18/12

第8回田の草フォーラムin東京 草と向き合う田んぼの達人が集合します!

18/11

千葉県いすみ市で全市で有機米給食が始まりました。

18/10

原発と自然エネルギーと火力発電や水力発電の関係

18/09

40年前、子どもの命を支える食に立ちあがった人たち
―高取保育園、麦っこ畑保育園のお話―

18/08

ガン細胞のエサを解明したコリン・キャンベル博士の研究

18/07

私のナウシカプロジェクト

18/06

食と農に大異変

18/05

家族の健康を守るためにできること

18/04

種子法廃止とTPPとISD条項の関係を知っていますか?

18/03

本当に恐ろしいのは大自然の逆襲です

18/02

改めて農薬の害を知ろう!

18/01

最近感動したことと考えたこと。

17/12

ダーチャを知っていますか? 種播く土地を持つ人間は最強です。

17/11

知ることは力になる 知っている国民になろう!

17/10

衆議院選挙の当選者に5つのお願いを出しました。

17/09

もう一つの国づくりと裏の世界

17/08

8月2日種子法学習会の報告とまとめと見えてきた方向

17/07

怒涛のように崩壊する日本の食の安全

17/06

拝啓 安倍晋三内閣総理大臣殿

17/05

種子法廃止につづいて品種の多様性と種子情報が奪われる!

17/04

日本の種と自家採種の権利が大変なことになっています!

17/03

野草の季節が始まりました。なぜ野草なのか。

17/02

自家採種を守っている農家たち

17/01

お米の優位性10項目

16/12

恐るべき田んぼの生産力

16/11

「食は命」を知っている料理人

16/10

田の草フォーラムのことで頭がいっぱい

16/09

米飴を作ってみてわかったこと

16/08

知恵と技を極めているじいちゃんばあちゃん(ご先祖様)のあとに続け!

16/07

炭の研究開始に当たり、3人の炭焼き名人に会ってきました。

16/06

炭の力を体験しました。

16/05

生きものいっぱいの田んぼへ行こう!(メダカのがっこう紹介)

16/04

野草を愛する人は自然を理解してほしい。

16/03

もし逆表示でなかったら農産物はどういう表示になるのか
―遺伝子組み換えの表示が消されていく―

16/02

遺伝子組み換え作物に対するメダカのがっこうの考え

16/01

塩で本当に心配しなければならないこと

15/12

日本人の乳酸菌の宝庫、たくあん・ぬか漬けは自分で作ろう。

15/11

梅干しは日本人の食養生の基本

15/10

砂糖や甘味料が自給自足生活と相容れない理由(わけ)

15/09

これぞ現代の最強サプリメントだ!
〜米・味噌・梅干し・黒焼きという高機能食品の恩恵に浴そう〜

15/08

日本人は昔から味噌という高機能サプリを持っている

15/07

自家採種できる種を子孫に残すオイルプロジェクト

15/06

赤峰勝人は現代の食医だ!――アトピーが治らないわけ

15/05

今こそ、本物の米、味噌、梅干し、黒焼きが必要なわけ 

15/04

新潟県阿賀町に元氣な糀ばあちゃんあり(山崎京子さんの場合)

15/03

醤油造りのご先祖様

15/02

次世代のために「なんでもやるじゃん」メダカのがっこうの理事Mさん紹介

15/01

子育て介護を終えて、地球とみんなの元気のために生きる

14/12

東京から移住、田舎で子育てをするホームページビルダー

14/11

「自給自足くらぶ」でどんどん幸せに

14/10

都会にいても自給自足生活のおすすめ

Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

数霊REIWA公式サイト 佐野浩一 本物研究所 本物漢方堂 ほんものワイン原産地ジョージア 成功塾説法 舩井幸雄動画プレゼント 高島康司先生の「日本と世界の経済、金融を大予測」 メールマガジン登録 舩井メールクラブ 佐野浩一note