中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2023.05.20(第103回)
子どもに食べてもらいたい理想の食を考えてみました

 オーガニック給食は、単に食材を全部有機に替えればいいのかと言うと、そう単純ではありません。何を食べたら地産地消の食料で、一生元気に自分を発揮して生きられるのか、という理想の食事を一度、みんなで考えてみる必要があると思います。

 何を食べたらいいのかという課題は、古代より国民の幸せを願う為政者の関心事でした。
 紀元前500年くらいの時に、中国では「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」という本がまとめられました。この本は当時の皇帝が、民がいろいろなものを食べて病気になったり死んだりするので、様々な植物の持つ特性を研究させたのです。まず、毒があるのか、ないのか、身体を冷やすのか、温めるのか、などが365の食材について調べられ記載されています。この中に「天が五穀を生ずるのは、人を養うためである。これが得られれば生きられるし、得られなければ死んでしまう。これは、ちょうど天地の気が程よければ、創造主の働きと同じものになる。それ故、他のものと比べて論じてはいけない」と、米や五穀が人にとって特別重要なものであると書かれています。

 次にアメリカでは、レーガン大統領の時に「マクガバン報告」がまとめられました。それは、医学が発達しているのに病気が一向に減らないことに疑問を持った大統領が人間にとってどんな食事が良いのかを研究させたのです。そこではアメリカ人の食事がことごとく問題であることがわかり、鎌倉時代の米中心の一汁一菜の日本食が理想の食事であるという結論になりました。

 次に「第2のマクガバン報告」として知られているコリンキャンベル博士の「チャイはスタディー」があります。中国の指導者がガンになったことをきっかけに、中国全土で大規模な食事の調査を行い、その研究を監修をした博士が自身の研究と合わせてまとめた本です。
 ここでは、動物性のたんぱく質の摂取が多いと、ガンが増殖することがわかりました。特に乳製品のカゼインというたんぱく質が一番の原因のようです。プラントベース(植物性中心)のホールフーズ(一物全体)の食事が理想であり、動物性たんぱく質は全体の5%未満であれば、ガンにはならず寿命を全うできるという結論です。

 日本では、食養の石塚左玄が、歯の構造から、人間に与えられた食事を考えました。人間の歯は、全32本中、犬歯4本、臼歯20本、門歯8本であるので肉や魚が12.5%、穀類が62.5%、野菜や果物が25%の割合になると教えています。そして「人類は穀物を中心に食べる動物である」と結論付けています。
 歯の構造は世界中の人が同じですから、欧米の方も当てはまるのだと思いますが、もう一つ考えなければならないのが、その民族が長い間食べてきた伝統食によって培われた腸内細菌や、遺伝子です。2016年にわかった日本人の遺伝子解析では、欧米人と比べて1000万か所で遺伝子に違いがあったそうです。戦後、食生活の欧米化、多国籍化が進んで来ましたが、日本の伝統食を基本にすることが、大事なのだろうと思います。

 学校給食というのは、日本人が日本の農業や漁業や畜産からの恵みで、伝統和食を組み立て、子どもたちに何を食べたら日本の国土が守れて、最後まで健康に生きられるのかを、教える食育の生きた教材だと思います。これは文部科学省と、日本の知恵者たちが総力を挙げて研究する価値があると思います。神農本草経や、マクガバン報告や、チャイナスタディーの日本版ともいうべき一大事業です。

 こう考えると、オーガニックはそれから先の問題であり、それが当たり前でなければなりません。お米中心食のお米がネオニコチノイドで汚染されてはならないし、少量頂く小麦がグリホサートで汚染されていてはならないし、少量頂く肉や牛乳がホルモン剤や遺伝子組み換えのエサやゲノム編集された家畜であってはならないということです。

 私たちは何を食べたらいいのか、分かっているようでわかっていないのです。もう一度原点に戻って、みんなで研究しましょう! オーガニック給食の活動も、それが必要だと思います。急がば回れです。


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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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