トップが語る、「いま、伝えたいこと」
正直言って、トランプさんの勝利に相当なショックを受けています。いつもなら、本稿は金曜日に書き上げるのですが、まったく原稿を書く気になれず、週末の出張先の長野のホテルで、ようやく書き始めました。
マーケットを見てみると、トランプショックを受けたのは直後の日本のマーケットだけで、ヨーロッパやアメリカのマーケットはすぐにプラスに反応し、日本株も金曜日には前日の下げを取り戻して余りある1,000円以上の高騰になりました。為替もいったんは101円台まで行ってから、翌日には106円台後半と1日で5円も下がるという荒い値動きになりました。
実はこの辺りの動きは、10月の「舩井フォーラム2016」の時に、講師控室で塚澤健二先生のおっしゃっていた通りの展開で、副島隆彦先生や塚澤先生のような周囲の専門家の先生方の中にも、トランプ勝利を明言していた先生がたくさんいらっしゃったにもかかわらず、それを受け止められなかった自分の許容量のなさを反省しています。
一緒にすると怒られてしまいそうですが、超能力者の友人たちにしても、ほとんどの人が勝つのはトランプだと言っていました。しかし、経済のことが少し分かってきた私は、そんな常軌を逸したことをとても信じることができず、そういった意見にまったく耳を貸すことができませんでした。
後付けの講釈を書いても詮無いことなのですが、トランプが勝つということは破壊の方向に舵を切るということであり、私はそれに納得することができずに、なんとか問題の先送りができないかという思いが強かったのです。
ついでに変なことを書くと、トランプさんは私たちと同じように陰謀論的なことをよくご存じなのかもしれません。選挙が不正であるというようなことを言ったりしているので、それは私がFacebookなどで読む投稿の内容に通じるところがあります。私にはそれについての真偽は分かりませんが、もしそれが事実なら私たちはすでにとんでもない世界に住んでいることになります。
この腐敗した世界はいったん壊さなければならない。トランプが勝ったのは選挙制度の不正が暴かれそうになったからであり、今後は世の中の裏側に隠されていたことが次々に表に出てきて、いまの支配勢力はどんどん力を失っていき、いまの社会が根本的に破壊されていく。そして、意識の高い人たちによる新しい社会が築かれる確実な一歩がBrexitやトランプ勝利で確実なものになってきている、という意見の人が読者の皆様の中にも多くいらっしゃるのではないかと思います。
たしかにそのとおりかもしれませんが、私はその未来をストレートには選択したくないと思っています。大きな破壊を経ることなく陰謀と策略の世界を終わらせ、みんなが仲良くできる世界を創りたいのです。トランプさんの本当の腹心は娘婿のジャレット・クシュナー氏だと言われています。クシュナー家はNYのユダヤ教徒の中でも強い力があり、副島先生の『トランプ大統領とアメリカの真実』(日本文芸社)の中で、彼が仲介してヘンリー・キッシンジャー氏との会談が実現し、それでトランプ大統領が確実になったということを書かれています。つまり、未だに政治の世界を牛耳っているのは93歳のキッシンジャー氏であり、それを支えているのはユダヤ人たちであるということになるのです。
もういい加減にこんな世界は卒業したいと思います。そして、そのためには、彼らと対立していてはだめだと思うのです。クリントン候補が大統領になって、私が選択したいと思っていた常識的な世界の中で問題先送りを続けながら、集合意識の底上げをはかっていくという可能性はほとんどなくなってしまいました。変革というよりも変容と言った方が適切かもしれませんが、世界は確実に動き始めています。大きなゴールは変わりませんが、これから辿るであろう道筋は、私たちのいまの集合意識がどんな未来を選択するのかによって大きく変わってくるのだと強く感じています。
塚澤先生のシナリオ通りにいけば、例えば日本の株価は19,000円台になってから、今度は12,000円台に大暴落します。上が高くなれば下は低くなると思うので、いまの勢いを見ていると19,000円台では収まらないかもしれないとも感じますが、そうなったら暴落もさらにひどいことになるでしょう。おそらく、その暴落のタイミングは来年の夏から秋にかけてだと思いますが、もしこの暴落がリーマンショック型だった場合には、世界経済は本当に大変なことになります。
そして多分、その時に浮上してくるのが、日本のヘリコプターマネー政策です。ここで詳しい解説はしませんが、バーナンキ前FRB議長がわざわざ日本に来て、ヘリマネ政策について安倍総理などにレクチャーをして帰りました。リーマンショックが再来した時に考えられる有効な政策は、もはや日本のヘリマネ政策ぐらいしかないように思うので、この確率はかなり高いのではないでしょうか。でも、それをやってしまうと日本が世界のどこよりも先に、信じられないぐらいのひどい目に遭うことになると感じるのです。
その時に日本が取るべき政策は、エコノミストの増田悦佐先生が説かれている、アメリカや中国が勝手に転落してくれるのをじっと待つという政策です。日本はもうすでに何も作る必要がないほど豊かな社会を築いていますし、幸いこれからは確実に人口減少の社会になります。
トランプ大統領の政策でどんどんおかしくなっていくことが確実な資本主義の行方を、指をくわえて黙って見ていれば、やがて日本ほどは成熟していない他国がどんどんおかしくなってきて、日本が名実ともに先頭ランナーを走っていることが無理なく明らかになるのではないでしょうか。
だからできれば、リーマンショックが再来する前に解散選挙をして、安倍政権がしっかりとした長期政権となる体制を作っておき、この数年間をじっと耐えていく政策を取れるだけの準備をしていけばいいのではないかと思います。一見後ろ向きなようですが、世界が成長から成熟の段階に入った時にとるべき戦略を試すことこそが、「もしトラ」(もしドラを文字っています。「もしトランプが大統領になったら」の略)が「まじトラ」(「まじにトランプが勝ってしまった」の略)になったいま、私たちが真剣に考えるべき政策だというのは、私のトランプショックからくる妄想だとばかりは言えないのではないでしょうか。
=以上=
2016.11.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】お金との新しい付き合い方 (※舩井勝仁執筆)
2016.11.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】まじトラ (※舩井勝仁執筆)
2016.11.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】法則 (※舩井勝仁執筆)