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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2017年3月6日
炎上 (※舩井勝仁執筆)

 3月に入り、日の出の時間も大分早くなってきました。まだまだ寒い日が続きますが、春はもうすぐそこに来ているようです。一足早く春が来たのが世界の株式市場です。  
 ニューヨークダウ平均は史上初めて21,000ドル台を突破しましたし、日経平均も年初来高値に接近し(3月2日現在)、2万円の大台に乗るのも時間の問題だと言われるようになりました。また、世界の株式の時価総額も8,400兆円になったと推計されていて、過去最大にもう一歩というところに迫っているようです。

 市場ではトランプラリー第2幕と言われているそうです。第一幕はアメリカの国債や新興国市場から主にアメリカの株式市場に資金が移動したのですが、今度は株式や国債などの債権、それにREITなどの不動産関係の金融商品にまで資金が流入して金融市場全体のボリュームが大きくなっているようです。この流れに乗り遅れたくないという気分にもなりますが、みんなが安心した時が一番危ないとも言えますので、一体どこまでこの流れが続くのか、見極めなければいけないと思います。

 にんげんクラブのウィークリー・レポート(WR)にも書いたので重複することになりますが、ご縁をいただき、キングコング西野亮廣さん×脚本家旺季志ずかさんの「生き方が仕事になる」in文京シビックホールというトークショーにうかがってきました。会場に行くと、弊社『ザ・フナイ』副編集長の船井かおりが司会をしていて驚きましたが、たいへん盛況な会でした。
 身内の話で恐縮ですが、彼女は司会と言うよりは前説を10分ほどやらせていただき、多くの人の前で話をするはじめての機会だったようです。そんな機会を与えてくれた旺季さんに改めて感謝したいと思います。
 私は、ふだんはテレビを見ませんし、タレントと呼ばれる方との動向はほとんど存じ上げません。SNSなどであがってくるニュースで目にする程度ですが、西野さんに関しては、失礼ながら本業の方ではなく、絵本の売り方、プロモーションに興味がありました。 西野さんの絵本『えんとつ町のプペル』はクラウドファンディングでお金を集めて刊行され、そのあと、WEB上で絵本の中身を無料で全公開したことで話題になりました。その結果、27万部売れたそうです。
 西野さんが「100万分の1の法則で、収入アップを目指す」というお話をされていたのが印象的でした。元ネタは作家であり、 東京都初の民間人校長として杉並区立和田中学校の校長を務められた藤原和博さんの理論です。詳しくはにんげんクラブのWRに書きましたが、西野さんの話は私の文章力ではとても表現できないようなすばらしい内容でした。さすが芸人さん、熱量を感じさせながら、わかりやすく観客をひきつける技術がダントツでした。話芸というか、緩急つけて話をするテクニックが秀逸で素頭の良さを強烈に感じました。

 私が今回、西野さんにお目にかかって1番感じたことは「トランプさんに似ているな」という印象でした。実は、いま私が最も関心のある分野は「サイコパス」についてです。来月発売の『ザ・フナイ』5月号の巻頭ページにもこの話題を書かせていただいたのですが、とても売れに売れている中野信子さんの最新作『サイコパス』(文春文庫)を読み、あわせて、今月の「文藝春秋」で中野さんが寄稿されている「トランプは、サイコパスである」というコラムを読んだのがきっかけでした。
 サイコパスといえば、残虐な殺人や犯罪をなんの良心の呵責もなく遂行したり、他人を利用することに長け、人の痛みなどこれっぽっちも感じない、といった冷酷無比な部分ばかりクローズアップされますが、私、個人的には、社会的に評価を得られて世に出てくる精力的な人の側面だと感じ、研究をしたいと本を読みふけっています。この「サイコパス」については来週も書きたいと思います。

 話を絵本『えんとつ町のプペル』に戻すと、西野さんがよく使う手法らしいのですが、多分わざと自分のブログやSNSを炎上(コメント欄にネガティブな誹謗中傷が大量に集まってしまうこと)させることによって注目度を上げて売り上げを伸ばしていく手法を取られたのだと感じました。通常、炎上すると立ち直れないぐらい大変なことになるのですが、サイコパス的な感性を持っていて精神力が半端ではない西野さんは、逆にそれをエネルギーにしてうまく立ち回り販売部数を伸ばしていくのです。
 普通の人は絶対に真似をしない方がいい手法だと思います。でも、すごいですね。このトークショーには、いまちょっとネガティブな話題で炎上状態になってしまっている安倍昭恵総理夫人もご一緒させていただいたのですが、国会の予算委員会で山本太郎議員が「アッキード事件」と発言されたことに対して、総理が的確に夫人の名誉を傷つけることが目的の発言だと遺憾の意を示されたそうです。
 もしかしたら山本太郎さんのおかげでうまく炎上の方向が変わり、それによってこの問題が不注意で名誉校長に就任してしまったことではなく、国から払い下げられた土地の価格が妥当かどうか、そこに政治家の介入があったかどうかという点にあるということにマスコミの報道が変化するかもしれないなと思っています。素直な心を持ってまったく無防備で誰とでもお付き合いするのがアッキー流ですが、炎上を利用するようなかたちで解決するのは危険すぎるので、応援の意味も込めてこれからは気を付けていただきたいと思います。
                                            =以上=

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