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このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2017年4月10日
オバマ前大統領との違い (※舩井勝仁執筆)

 アメリカはシリア政府が反体制派に対してサリンとみられる化学兵器を使った空爆をしたことに対して、巡航ミサイル、トマホークによる60発の攻撃をしました。2013年にオバマ前大統領もシリア政府が化学兵器を使ったことに対して、一度はレッドラインを超えたということで攻撃をすることを決めたのですが、結局、攻撃には踏み切れなかったことがあります。これが、オバマ前大統領が世界政治の中でほとんど影響力をなくしてしまった大きな原因であり、トランプ大統領はシリアやその背後にいるロシアとの親密な関係があるにも関わらず、一線を越えたことに迅速に対応したことになります。

 翻って考えなければいけないのは、トランプ大統領が挑発を繰り返す北朝鮮に対しても強気の措置を行うことを明言していることです。ちょうどこのタイミングで、北朝鮮対策で鍵を握っている中国の習近平国家主席がアメリカを訪れており、会談の内容が気になるところです。中国はアメリカとの対等な「新型大国関係」を築きたいとの思惑があります。副島先生に教えてもらったのは、東南アジアを含む太平洋アジアの統治は中国の権益と認めて直接的にはアメリカは口を出さないようになる可能性が高いということですが、安倍政権にとってそれは悪夢です。
 ビジネスマンであるトランプ大統領にとっては、中国からアジアについての権益を任せて欲しいという「新型大国関係」という申し出に対しての試金石になるのが北朝鮮に対する対応です。いままでと同様、中国が北朝鮮への制裁に非協力的な態度を崩さなかった場合、トランプ大統領はアメリカの単独攻撃も辞さずという態度を表明していますが、迅速なシリアへの攻撃を見ていると必ずしも口だけで脅かしているようではないようです。現実問題として、中東と東アジアの両方で軍事作戦を展開するのはアメリカにとっても負担が大きいので普通の政権であれば、これで北朝鮮問題はしばらく棚上げだということになるのですが、トランプ大統領の行動は読めないので、ある意味では危機が高まったのかもしれません。
 北朝鮮の問題に関しては、このブログの最後に紹介している舩井メールクラブで、じっくりと解説してみたいと思っていますが、かなり大きな危機が迫っている可能性が高いと感じています。オバマ前大統領は常識的な範囲でしか行動しませんでしたが、トランプ大統領は有利な関係でディールを進めるためにはリスクを取ることも厭いません。いままでのように、平和ボケでどうせ何も起こらないとは思わないことが大事になってきているのは間違いありません。

 昨年のトランプ大統領の当選から、毎週のようにこの欄でアメリカとトランプについて書かせていただいております。先週ご紹介した『大統領の風水』(小林照弘著 音羽出版)でも、トランプ大統領の強運の秘密を紐解く1冊として大変反響がありました。
 日々、いろいろなところにお話をしにいくと、にんげんクラブの会員さまからも「舩井さん、トランプという人は本当のところ、どういう人なんですかね」とか、「彼の政治でアメリカはどこに向かっていくのでしょうか」などと質問をされることが増えました。トランプ政権を読み解く1冊として個人的におすすめしている本があります。『アメリカで感じる静かな「パープル革命」の進行とトランプ大統領誕生の理由』ジュンコ・グッドイヤー著(シャスタインターナショナル)です。本屋さんでなにげに手に取った1冊ですが、これは結構当たりでした。
 著者のジュンコ・グッドイヤーさんは、アメリカ人の旦那さんを持ち、アメリカ18州をご主人の仕事で転々とした元・日本国籍の女性です。アメリカ国籍を得たジュンコさんがトランプ大統領の立候補から、リアルタイムでトランプVSヒラリーの一騎打ちを、どのようにみて感じたのか、市民目線でわかりやすく書いた本です。ジュンコさんはもともと民主党を(積極的ではないものの)支持していましたが、最終的にはトランプ大統領を支持されたそうです。ご自分の政治信条のみならず、政権交代を見守る市民の動きを淡々と書かれていて、マスコミでは報じられていない、アメリカ市民のスタンスを本書でリアルに感じることができました。
 アメリカの極端な格差社会と政官の癒着が、トランプ政権の期待へとつながったとジュンコさんは分析します。ジュンコさんの問題意識は、トランプに対するマスコミの極端な偏向報道にあります。平凡な、といっては失礼かもしれませんが、一般的な熟年女性が、偏向報道に疑問を持ち、いろいろな情報や知識を偏りなく集め、自分なりに考察を深めていくさまを読み進めていくと、読者は「無防備で傲慢そのもののトランプ像」と一味違うものを見出すことができます。たいへん読みやすく、日本人の感性にあった1冊だと思いますので、是非ご一読ください。

 舩井メールクラブ(FMC)で私は、今月は「トランプ相場の行方」という原稿を書かせていただきました。こちらでは、毎月金融・経済・国際情勢の超プロの先生方と意見交換をしながら、最新の情報をお伝えしています。購読に関するお問い合わせはコチラまでお願いします。
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