トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2023年3月20日
正解のない時代 (※佐野浩一執筆)

 私たちが生きる時代を捉えるための便利な4文字のアルファベットがあります。
 “VUCA”(ブーカ)です。
 ご存じのように、それぞれのアルファベットは次の意味を表しています。
●Volatile…「変動的な」時代
●Uncertain…「不確実な」時代
●Complex…「複雑な」時代
●Ambiguous…「曖昧な」時代
 いま私たちが生きているのは、まさしく“VUCA”の時代です。デジタル化による既存ビジネスの破壊、SNSが形づくる新たなコミュニティの誕生、エスカレートする大国間の貿易摩擦、未知の感染症の脅威など、10年前にこれらを予見できた人が果たしてどれだけいたでしょうか? 実は、舩井幸雄は読んでいました。混沌とした正解のない時代がもう すぐそこに来ていると……。
 そんな流転する時代の真っただ中に、私たちは生きています。
 では、VUCA時代はそこで生きる私たちにどのような影響を与えるのでしょうか?
 それは端的にいって、過去を参照して将来を考える考え方、すなわち「バックミラー思考」を無効にしたということです。まるで車のバックミラーを見るように過去を見返しても、VUCA時代ではその延長線上に未来はありません。
 そう……、現代は変化が激しく不確実性が高い「正解がない時代」です。過去に結果が出たやり方や、他人の成功パターンはすぐに陳腐化し、通用しなくなります。もちろん、こうした時代だからこそ、「黄金束」や「法則」「ルール」というもの、つまり「原理」「原則」と呼ばれるものは、時代を超え、活用できるものであって、極めて尊いものと感じます。
 コロナ禍が始まってしばらくして、多くの経営者や身近な人たちから、「舩井先生だったら、この時代をどう考え、経営されるでしょうか?」「いまこそ、『舩井流』ですよね。あらためて、『舩井流』の凄さを痛感します」と、多くの声をいただいたことを思い返しています。
 さて、こうした混沌とした時代。そして、どんどん爆発的に新しい考え方や方法論が生まれていく時代。上司や先輩たちが推奨するアイデアですら、環境が変化し、彼らが経験してきた状況とは異なっているので、成功の保証はないと言っても過言ではないと思います。しかし、素直で優秀な人ほど、他人も認める正攻法で、真面目に仕事に向き合っていることも事実です。それはそれでとても大事なことです。尊いことです。ただ、そこから一歩踏み出すことも、これからの時代、どんどん重要性が増してくることが容易に想定されます。
 だからこそ、いまこそ、「自分の頭で考えること」が大切だと思うのです。

 ところが、自分の頭で考えろと言われても、何をどうすればいいかわからず、立ち止まってしまう人が多いのも現実です。とくに、「正解」を求める教育、「正解が1つ」とされる教育を受けてきた世代……、これはいまのいまも変わっていない気もしますが……、にとっては、まさに大きくそびえたつ課題となります。
 この一方で、正解がない時代に圧倒的成果を上げているのが「起業家マインド」を持った人たちです。自ら課題を発見し、独自の解決策でビジネスを成功させるアプローチです。もちろん、「独善的思考」に陥ることをおススメしているわけではありません。でも、様々な情報や智恵に触れつつ、自分の頭で考え、実践を重ねていく人たち、つまり、「起業家」に対する注目度は、ここ数年で急激に高まってきています。いまや、ニュース番組やワイドショーなど、起業家がお茶の間に登場するのも当たり前になりました。ほんの少し前まで、得体の知れない人たちと見られていたことが、信じられないほどです。
起業家であるかどうか、あるいは起業家を目指すかどうかは別として、そんな「起業家マインドを持った思考法」を身につけることが、あらためて、とても大事な選択だと思えて仕方ないのです。
 20年以上にわたって、「舩井流」と「新たに台頭してきた起業家マインドを持った人たちの思考」から学んだこと。それらを整理してみたいと思います。
 課題自体が見えない、隠れているということだったわけです。いまは、そこから考えないといけない時代です。
 ですから、まずはじめは、「@見つける力」です。
 目標を達成するために、解くべき問題を「発見」する力。何が問題なのかを探し、見つけ、特定することです。
 2つ目は、「A別の答えを探す力」。従来の方法論(答え)が通用しないことが増えてきます。だからこそ、「自分らしく」「より優れた」「別の」やり方を組み合わせ、他の 誰も思いつかない「別解」を生む力です。
 3つ目は、「B実行、実現する力」です。別解を絵に描いた餅に終わらせず、「実現」する力。これは、どの時代でも必要とされてきたかもしれませんが、より重要度が増していることに間違いはありません。
 4つ目は「C失敗する力」。少々語弊がありますが、失敗して初めて気づくこと、学ぶこと、別の正解を見つけることがあるもので、行動しないと失敗も生まれません。ですから、まず行動を起こして、壁にぶつかり、そこから立ち上がる力がより重要になってきます。もちろん、その失敗を最小限にとどめるのも力の1つとなります。
 5つ目は「D成長する力」です。ビジネスパーソンとして自らを鍛え「成長」し続ける力のことです。これもある意味当たり前といってもよいことですね。
 さて、このなかでもっとも重要なのは、Aの「別の答えを探す力」だと考えます。繰り返しますが、あえて尖がって、ほかを否定するようなマインドとは一線を画しています。独善的になることでもありません。課題に対し、「他の人が思いつく方法(=正解)」を仮定したうえで、それを上回る「自分らしい打ち手(=別解)」を考える力……と考えるとわかりやすいと思います。
 若い起業家たちと話していると、いかに自身の思考が陳腐化しているか、痛感します。その分、とんでもない学びと発見があります。これから求められていくのは、より魅力的な解決策、さらに面白い打ち手、もっとも新奇性が高いアイデアです。それを語れる起業家ほど興味を持たれ、支持されていきます。彼らの間では、別解を通じて刺激を与え合いながら、さらなる別解を生み出す作業が習慣になっているのです。これは、本当に面白く、ワクワクする瞬間でもあります。
 かといって、特殊な才能やセンスは必要ないと思っています。要するに、「自分自身が陳腐化している可能性がある」ことを自覚すること。ここが一番大事です。気づかないと、先に進めません。解決策もありません。残念ながら、自分自身がすでに陳腐化しつつある……、またはすでに陳腐化している……ことを自覚し、新たなことを学び、新たな視点を吸収し、そこに自分らしい個性を発揮することこそが、組織や社会にイノベーションをもたらす可能性を育むのだと思います。
 そう考えると、この「正解のない時代」はめちゃくちゃスリリングで、面白い時代なんだとワクワクしています。
                        感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
数霊REIWA公式サイト 佐野浩一 本物研究所 本物研究所Next C nano(ネクストシーナノ) 成功塾説法 舩井幸雄動画プレゼント 高島康司先生の「日本と世界の経済、金融を大予測」 メールマガジン登録 舩井メールクラブ 佐野浩一note