トップが語る、「いま、伝えたいこと」
トーションフィールドとは、「ねじれ(トーション)」をもつエネルギー場、あるいは情報場が存在するという仮説的な概念です。もともとはロシアの一部の研究者によって提唱され、物質や電磁気力とは別に、“スピン(回転)”に由来する場が存在し、それが情報を伝達するのではないか、と考えられました。
通常、物理的な力には、重力・電磁気力・強い力・弱い力という4つの基本相互作用があります。トーションフィールドは、それらとは異なる「第5の場」のようなものとして説明されることがあります。ただし、現在の主流物理学ではこの存在は確認されておらず、科学的に確立した理論とは言えません。そのため、疑似科学と見なされることもあります。
一方で、支持する立場の人たちは、次のように説明します。
・人や物には固有の“回転情報”がある
・その回転情報が空間に影響を与える
・意識や感情も場として作用する
・物理的接触がなくても情報が伝わる可能性がある
こうした考え方は、「場の雰囲気」「気配」「エネルギーが合う・合わない」といった日常感覚を説明するモデルとして語られることが多いのです。
しかし概念としては、「目に見えない情報的影響が存在するかもしれない」という視点を与えてくれます。たとえば、心理学では感情が伝染することが確認されていますし、医療ではプラセボ効果が知られています。これらはトーションフィールドを使わなくても説明できますが、「見えない影響が現実を動かす」という点では共通しています。
人は日常生活の中で、言葉では説明しきれない直感や場の空気、雰囲気の変化を感じ取り、実はそれによって判断や行動を変えています。たとえば、同じ内容の話でも、語る人によって説得力がまったく違って感じられることがあります。ある場所に入った瞬間に安心感を覚えることもあれば、理由はわからないのに居心地の悪さを感じることもあります。こうした現象を単なる偶然や気分の問題として片づけることもできますが、一方で「人や場が発する何らかの情報的影響が存在するのではないか」という仮説的視点から理解しようとする考え方が、トーションフィールド概念の背景にあります。
もちろん、この概念をいまの科学では物理的実体として断定していません。ただし、ここで重要なのは、その存在を証明すること自体よりも、「見えない要素が現実に影響する可能性」を前提に物事を捉える視点です。近年の科学研究でも、人間の意識状態や感情が身体反応や意思決定に影響を与えることは広く確認されており、心理学・神経科学・社会科学など多くの分野で、非物質的要因が現実を動かすメカニズムが解明されつつあります。つまり、トーションフィールドという名称そのものは仮説的であっても、「見えない影響の場」という考え方自体は認知されるべきものだということです。
この視点は、舩井幸雄が提唱した「包み込み」という原理と深く重なります。舩井は、対立を制するのではなく、異質なものを受け入れて調和させる姿勢こそが、本当の意味での強さだと説きました。「包み込み」とは単なる道徳的理想ではなく、現実を好転させる実践的な法則と捉えていました。相手を否定するのではなく、その存在を認め、尊重し、受け止めることで、関係性の質が変わり、結果として状況そのものが変化する。この考え方をトーションフィールド的視点で捉え直すなら、「包み込み」とは「場の見えない構造を整える行為」であり、人間の内面状態が周囲の情報環境を変化させるプロセスだと理解することができます。
具体的な例を挙げてみます。ひとつ目は対話の質の変化があります。議論が対立的になった瞬間、空気が硬直し、建設的な意見が出にくくなることは誰もが経験しています。逆に、誰かが全体を受容する姿勢を示すと、場の緊張がほどけ、発言しやすい雰囲気が生まれます。これは心理学的には安心感が前頭前野の働きを活性化させるためと説明されますが、トーションフィールド的な表現を用いるなら「場の情報状態が調和方向へ変化した」と言えるでしょう。包み込む人が一人いるだけで、その場の性質そのものが変わるという現象です。
第二に、教育や指導の場面です。生徒を評価や比較で動かそうとする教師のもとでは短期的成果は出ても主体性は育ちにくくなります。一方、存在そのものを認める教師のもとでは学習意欲が自然に高まる傾向があります。これは自己決定理論などの心理学でも裏づけられている現象ですが、見えない影響場という観点から見ると、指導者の内面状態が学習環境全体の質を変化させているとも解釈できます。包み込みの姿勢は、生徒の能力を引き出す「場の設計技術」として機能していると考えられます。
第三に、組織経営の領域があります。企業文化は制度よりも雰囲気によって形成されると言われます。トップが不安や猜疑心に支配されている組織では情報共有が滞り、挑戦が減り、停滞が起きやすくなります。反対に、信頼と尊重を基盤にした組織では挑戦や創意工夫が生まれやすくなります。舩井が伝えた「優位の波動は劣位の波動をコントロールする」という言葉を現代的に解釈すれば、情緒的に安定し視野の広い人物ほど周囲の心理状態を整える影響力を持つという意味になります。これは統計的にも、心理的安全性の高いチームほど成果が高いという研究結果と一致します。
第四に、医療や癒やしの分野です。医療現場では、治療法が同じでも医師と患者の信頼関係によって回復速度が変わることが知られています。プラセボ効果はその代表例であり、期待や安心が免疫機能やホルモン分泌に影響を与えることが確認されています。ここでも包み込みの姿勢、すなわち相手を全体として受け入れる態度が、患者の内面状態を変化させ、その結果として身体反応が変わる可能性があります。もしトーションフィールドという概念を採用するなら、この過程は「人の意識状態が相手の生理状態に影響する現象」と表現できるでしょう。
さらに社会全体の視点で見ると、分断が強まる社会では対立の情報環境が増幅し、問題解決が難しくなると考えられます。反対に、多様な価値観を排除せず統合しようとする文化がある社会では、新しい発想や協働が生まれやすくなると考えてよいと思います。つまり包み込みとは理想論ではなく、持続可能性を高める進化戦略でもあると言ってよいでしょう。
重要なのは、トーションフィールドを信じるか否かではありません。それよりも、この概念が示唆している「自分の在り方が周囲の現実に影響する」という視点を持つことです。人は往々にして行動だけが結果を生むと思いがちですが、実際には思考・感情・態度といった内面状態が行動の質を決定し、その行動が環境を変え、環境が結果を生みます。つまり現実を変える最も根源的な要素は、外側の操作ではなく内側の状態なのです。
これからの時代は、物質的豊かさだけで価値が測られる社会から、関係性の質や意味の深さが重視される社会へと移行していくと考えられます。その転換期において必要になるのは、競争や排除ではなく、統合と共鳴の発想です。トーションフィールドという仮説的概念と、舩井幸雄の包み込み思想は、その方向性を象徴的に示しています。見えないものを軽視せず、むしろそこにこそ現実を動かす鍵があると捉える人が増えたとき、社会の質は静かに、しかし確実に変わり始めるでしょう。未来とは外部の技術がつくるものではなく、人間の意識の総和が形づくるものだと思うのです。
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















