トップが語る、「いま、伝えたいこと」
株価は方向感が定まらない地合いになっています。前回、書かせていただいたように、AI半導体関連の株価の混乱は、世界的に中国の新興AI企業が格安でアメリカの最先端のものとそん色ないものを発表したことがトリガーになっています。この流れは、まだまだ続くと思うのですが、最近の相場の動きで日本にとって最も大事なことは、日米の協調介入によって強制的に円相場が円高に振れたことと、それ以上に高市政権がやろうとしているバラ色の経済政策に対するアメリカからの警告がなされることになったことだと思います。
今年は熊本での大地震による大きな被害が出たことや、それに追い打ちをかけるような酷暑が話題になっていますが、耐えられないような夏が毎年続くようになって、日本の大企業、その中でも特に金融セクターは早々に夏休みをとって長期休暇に入る傾向が見られます。市場は閑散期に入っていることになり、財政当局から見ると介入に踏み切るのには最適のタイミングがやってきているということになります。政府が何も対策を打たなければ、ますます円安が避けられないということが確実視されていた中で、まさに的確なタイミングでアメリカも巻き込んだ協調介入という強烈なカードを切りました。
アメリカのベッセント財務長官は日本政府のマクロ経済政策の持続性に対してモノ申していると解説してくれているのが、『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』(文春新書)という衝撃の書でデビューした、ベッセント長官がヘッジファンド時代に巨額の利益につながるアドバイスを受けたコンサルタントである齋藤ジン氏です。文春ムック『文春マネー 超インフレ時代を生き抜くための新・投資入門』(3月31日発売)に寄稿されている記事で3兎を追っている高市政権の経済政策に無理があることをベッセント長官は適切に読み切っていることを伝えてくれています。
簡単にまとめると高市政権が同時に手に入れようとしている3つの果実が、構造的に両立しないという、より実践的な話です。
@高い名目成長(インフレ税収がもたらす税収拡大の恩恵)
A低金利(利払い負担を抑えたい)
B為替の安定(円安が行き過ぎるとインフレ・国民生活への打撃)
このうち@とAを同時に追い求めれば、通常はB(為替安定)が犠牲になります。低金利のまま高成長・高インフレを維持しようとすれば、内外金利差が開き、円は売られ続けるからです。逆にBを守ろうとすれば、A(低金利)を手放して利上げするしかなく、そうなれば政府の利払い負担が急増し、@(高成長のうまみ)も削がれていきます。
つまり、行き過ぎた円安を避けるためには名目成長率を犠牲にするか日銀の利上げを許容するしかなく、現実的にはAの低金利を犠牲にするのが、日本がとるべき政策だというまっとうな意見を日本に示して実行することを代償として協調介入に踏み切ったと読めばいいことになります。つまり次回9月17〜18日の日銀金融政策決定会合で利上げが行われる流れが確実になれば為替は緩やかに円高に向かっていく可能性が高くなると考えればいいということになるのだと思います。
今週紹介するのは船井本社関係でいつも的確な情報を発信してくださっている政治経済学者の植草一秀先生が発売されたばかりの新刊『日本経済の終宴 絶頂株価後の最強投資戦略』(ビジネス社)です。私の個人的な意見ですが、私が知っているエコノミストの先生で一番当て続けているのは植草先生だと思っています。大きな流れで言うと、アベノミクス以降の株価高騰の流れを年毎の細かいタイミングまで含めて的確に当て続けていて、いま植草先生は大局的に市場をどのように見ておられるか知っておくことは投資をされる方にとっては必須の情報だと思います。
まったくの新刊なので、中身について細かい情報を紹介するのは止めておきます。ぜひ購入して一読していただくのがいいと思います。巻末には投資を考えるべき具体的な銘柄をあげられていますので、投資は自己責任で行うことを前提に参考にしていただければと思います。基本的な流れは、前述の3月末に齋藤氏が寄稿された内容と同じことを言われています。第3章は黄昏の米国という見出しがついていますが、斎藤氏のアメリカのスタンスの変化をより過激に直接的に遠慮なく表現されていると言えば「中(あた)らずと雖(いえど)も遠からず」、という感じになると思います。
ベッセント長官が結果的に円高に誘導しようとしていることも、円安によって日本の資産を大量に安く保有しているヘッジファンドの出口戦略として円高に誘導して利益を多くするというより具体的な目的を書かれています。アメリカの国力の源泉になっているヘッジファンドが大きな利益を出すことが、アメリカの国益に適っていて財務長官としての職責としてそのような誘導を試みているのではないかと読みたいと思います。もちろん、日本側から見れば国益の損失につながるので由々しき事態です。ただ、無理を早めに切り上げる利上げをすることは理に適っているので、植草先生も日銀の早期利上げの必要性を強調しておられます。
暦にも詳しい植草先生は今年が丙午の年であり陽が極まる年であることに注目しています。つまり、株価はいまがピークであり、これから下がっていくか少なくとも踊り場にあることを示唆されているのです。そして、投資指標でみても日本株式の割安感はなくなっているという事実と合わせてより真実味を感じさせてくれる内容になっています。
一方、3月末に発売された『文春マネー』にも「日経平均10万円の時代へ 日本株展望」という特集が組まれていて、おなじみの朝倉慶先生や朝倉先生との共著『生き延びるために株を買えーインフレはどうなるのか?』(かや書房)という共著を出された武者陵司先生等が寄稿されています。私もインフレがこのまま続くと考えると表面的な株価は10万円に向かっていく可能性があるのかなという意見を持っています。植草先生もご著書の中で、政府や大企業などに搾取された分を取り戻すために株式投資の必要性を説かれています。ただし、無条件に上がる時代ではなくなったこともふまえ、投資とお金の勉強をして混迷の時代を賢く過ごしていくことを目指していきたいと思っています。
=以上=
2026.08.03:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】「災害大国・日本の未来を考える」 ―恐れるのではなく、備え、創造する国へ― (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長 株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他 1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。 大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。 2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。 講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















