トップが語る、「いま、伝えたいこと」

(前編からの続き)

　私のところへは、８月３１日に東さんにびっくりさせられたようなことが、年間で５０〜１００くらい集まってきます。私自身が体験させられるのです。それらの大半は拙著などで紹介してきましたが、それらはみんな現実におこったことです。私はびっくり現象と、それらの解明が大好きなのです。だから集ってくるのでしょう。
　しかし、その結果として、いま私は、近い将来、「近代」という人間のエゴをもっとも大事にした時代は終るだろうと思わざるを得なくなったのです。まちがいなく世の中はこれから２０年くらいで大きく変るでしょう。「近代」が産んだ究極のシステムといっていい資本主義は、いま矛盾にあえいでいますが、２０２０年までに必ず崩壊すると思うのです。いま、おこっている各種のびっくり現象からみてこれをストップさせることはできないと断言できそうです。
　しかし、当然のことですが、上手に崩壊させねばならないこともわかります。それらについては、私の近著をご覧ください。何冊かに詳述しています。
　では、これからどうするべきか？・・・いろいろ考えました。ここ１０年くらい、余暇時間には、このことばかり考えていたといっていいくらいです。
　その一つの手法が、日本人が企業経営を通じて新しい経営体の方向を示すこと、具体的なやり方を示すことだといえそうなのです。これが、もっとも大事な手法の一つだと思うのです。
　わかりやすくいえば、日本企業が「本物の経営」をすることです。なぜかは、本書内に書きました。
　それを応援するかのように、十年ほど前から日本では「エゴ的経営」は、つまづきはじめました。有名な企業がどんどんつぶれ、いまもおかしくなっています。その逆に本物の人、本物の経営者にひきいられた本物企業が、業績を急伸させはじめています。

　本書では、実践談として私と親しい本物企業の六社を例にとりあげ、その経営法を裸かにし、私の解説とともに紹介することにしました。みな、有名な企業なので読者もご存知だと思います。

　本書によって経営の世界の現状を知り、時流を把み、本物経営という対処法に、企業人も、またそれ以外の人もぜひ目覺めてほしいのです。

　おそくともわれわれは、２０２０年までに、すばらしいつぎの時代の仕組みをつくらねばなりません。そのために、ぜひ本書を参考にしてください。そして考え、行動してほしいのです。
　なお本書の内容の取材のために、私の友人の桜庭雅文さん(（株）エディックス社長)と、彼のスタッフに、いろいろお世話になりました。
　そのことを読者に報告し、本書「まえがき」のペンをおきます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００４年９月６日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　熱海市西山町の自宅書斎で
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　船井幸雄

　以上のとおりです。
（ぜひ本書『本物の経営』をお読みください。）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＝以上＝