トップが語る、「いま、伝えたいこと」
私の本は400冊強もあります。
しかし、ここ20年くらいの本は著者として心底からは気に入っておりません。少しずつ書き足りないのです。
90年代は売れっ子だったので、出版社に急(せ)かされて重複するようなところもある内容の本を出しつづけました。反省しています。
2000年以降は、テープにふきこんで、ライターにテープアップして原稿をつくってもらったり、対談書だったりで、どうしても手間をかけた心のこもった本が少なかったと思うのです。それでも毎年10冊くらいふえていきました。
今月に入って、本当に心のこもった本を出そうと考えて、原稿を書く時にとことん推敲(すいこう)して、ゆっくり書くべきだ、しかも引用などはほとんどしないで、その時点での考え方を吟味して原稿を書こうと思いはじめました。「1年や2年に1冊でもよい。本物の本をつくれ」と良心が言うのです。
どうすればよいか1月はじめから考えこみました。
そこで得た結論は400字詰めの原稿用紙にペン書き、それも昔のように縦書きで原稿を書こうというものです。40年以上前の私の最初のころの著書5〜10冊は、そのようにして書いたものです。
もちろん原稿が読みにくいでしょうから、出版社にはワープロで整理した原稿を渡しますが、私の自筆で書いたものは、記念として私宅に残しておこうと思っています。
今回、原稿用紙で縦書きに書いてみていろいろ分りました。少し分ったことを書きます。
まず、日本字というのは漢字もひらがなもカタカナも縦に書くようにできているということです。
私の字もヨコに書くと下手な字ですが、タテに書くと上手に見えます。味が出てきます。
二つめはワープロのおかげでいつのまにか漢字を本当に忘れていることに気づきました。語彙(ごい)も忘れています。びっくりしました。これでは良い日本語、正しい日本語が書けなくなりそうです。これらの点でワープロは「問題あり」ですね。
三つめは、これが一番大事ですが、1〜3行(60字)書くたびに読み返し、文章を訂正したり、付加したりしたくなるのです。今回は、散々やりました。原稿用紙1枚で600〜800字にふえたページが多くあります。
あまりそれらが多くある故に、ワープロで整理しなおして出版社に渡すことにしたのですが、これが私の場合、昔からのクセか良い文章を上手に書く決め手のように思いました。
このようにして、時間をゆっくりかけて、きょうようやくほとんど1冊の本の原稿を原稿用紙にタテ書きでペンで書いてしまいました。
400字詰め用紙で約300枚くらい、12万字くらいを約20日で書いたことになります。
1日6,000字、約15枚くらい書きましたが、これからワープロで整理したものをチェックし、出版社に送ります。
題名は『包みこもう』で行くか『包みこもう、そして活かそう』で行くかはまだ決めていません。ただ、サブタイトルは「大変革時(2011年〜2020年)の正しい生き方」にする予定です。
私はいつも早朝に原稿を書くくせがあるのですが、まだ体調が完全でなく寒い折なので、今度の本の原稿は書斎に日光がよく入る朝9時から午後4時ころまでに過半を書きました。
ただ、やはりアタマの冴えている早朝の方が、私の場合は、文章の中身を吟味できるようです。体調がよくなりますと、年内にもう1冊、早朝3時ころから7時半ころまでに原稿を書く、書き下しの本をつくってみたいなと思っています。
なお書きあげた原稿を本にしてもらう出版社は、徳間書店に決めました。おそらく3月中には出来上った本が書店に並ぶのではないかと思っています。
この本は全文原稿用紙でペンでタテ書きに書き下しただけに手間がかかりました。いまは体調がまだ完全でない時だけに、生みの苦しみがかなりありました。
それだけに愛おしく、すばらしい本だなと思う自分にあきれています。
去年ビジネス社から出した『本音で生きよう』も90%ぐらいは書き下しです。
よい本になりました。書き下しのよさが、やはり一貫性と勢いとして出るのです。
そういう意味では、100%書き下しの本書の原稿には、一気に書いた時に出る勢いがあります。書いた私にも分ります。
どんな本になるのか、いまからたのしみにしています。
ともかくゆっくり吟味し、手間をかけるのはよいことのようです。これからはどんなことにも吟味と手間をかけて生きようと思っております。よろしく。
なお本書では一切というほど引用をしなかったのですが、「あとがき」の中にこのHPの文を引用して入れたい……と思っています。一冊の本でわずか一ヵ所の引用なので、これだけは御了承ください。
=以上=
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