トップが語る、「いま、伝えたいこと」

　8月6日にトヨタが4〜6月の四半期決算を発表し、前年同期比74％減ではありますが、1588億円の最終黒字を確保しました。世界各国の自動車メーカーが軒並み赤字決算を発表する中というか、大半の製造業が赤字なのに強さを見せつけた感があります。要因はまず、中国での販売回復です。いろいろ問題も指摘されていますが、経済的な側面から見ると中国のコロナ禍からの回復ぶりは見事で、それをトヨタは真っ先に取り込んだようです。また、トヨタ伝統の原価削減も功を奏していて、モノづくりを代表する日本企業が気を吐いたことになります。
　その他にも、金曜日の日経新聞を見ていると、貨物の伸びで大韓航空が黒字を確保しているという記事や、丸井グループ、メルカリが黒字、それに「集まれ　どうぶつの森」が好調な任天堂が前年同期比3.4倍の1447億円、スクウェア・エニックス・ホールディングスが前年同期比3.3倍の4〜6月期としてはそれぞれ最高益を達成しています。トヨタや丸井等、伝統的な業種でも圧倒的な勝ち組と、任天堂やスクエアなど、巣籠もり消費の恩恵を受けているところの好調さを反映しているようです。大韓航空は少し意外ですが、それ以外は納得感がある決算発表だと思います。
　それにしても世界中の大手自動車会社が軒並み大きな赤字を出している中で黒字を確保したトヨタの底力には改めてすごいなと感心しました。いまだに創業家出身の社長が経営していることに対する拒否感もよく聞くようになりましたが、しっかりと結果を出しているのはすばらしいことだと思います。そう言えば、軒並み大苦戦している流通業中で黒字を出した丸井も創業家出身の社長なので、実力があるのなら世間の声には反しますが、創業家ならではの強さはあるのだと思います。
　片山修著「豊田章男」（東洋経済新報社）や上場会社ではありませんが、やはりカリスマ社長の後を継いだ2代目が大成功を収めているジャパネットたかたの高田旭人社長の「ジャパネットの経営 東大卒2代目の僕がカリスマ社長の後を継ぎ大事にしてきたこと」（日経BP社）等を読んで同族経営の強さの秘密を考えてみるのもいいのかもしれません。いまは、非常時なのでリスクを取りにくいサラリーマン社長よりも、リスクを取れる同族出身の社長の時代になるのかもしれません。

　ザ・フナイの8月号で対談させていただいた道幸龍現先生の紹介で、未来歯科の川邊研二先生にご縁をいただきました。先生に、「未来歯科とは変わったネーミングですね」とお伝えしたら、老若男女様々な患者さんはいらっしゃるけれど、最も多い来院者の層は子どもで、かわべ式メソッドで子どもの健やかな成長を見守り、見届けるということでした。
　小児歯科をうたっていらっしゃるドクターは全国津々浦々にいらっしゃるでしょうが、ほとんど治療をせずに、クリニックに来る子どもたちは踊ったり、雑巾がけをしたり自由に楽しんで遊んでいるということ。私が子どもの頃などは、歯医者さんが苦手で待合室にいる時から冷や汗をかいたものです。ますます興味が湧きました。そんな川邊先生が書かれた、「かわべ式 子育てスイッチ 〜生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣」（エッセンシャル出版社）を拝読しました。
　前書きにある「食べ物が少しくらい良くなかったとしても実は健康な人はいっぱいいます。でも、呼吸の仕方が悪くて健康な人は一人もいないのです。今日本人の多くが、この呼吸の問題によって、睡眠、体調、五感、内臓機能の問題から、肉体、意識、精神的な問題まで起こしています」という箇所にハッとしました。少し話はずれますが、私は瞑想をライフワークとしていて、ある程度の熟練者だと思うのですが、瞑想も呼吸が全てだと思うからです。瞑想の呼吸についてはまた別の機会に書きますが、特有の呼吸を体得してしまえば歩きながらでも仕事をしながらでも、目をつむったりすることなく、メディテーションに入れるからです。
　しっかりと呼吸のことを乳幼児の時から親が意識して子育てしてあげれば、なるほど、集中力があり、地に足のついた心身共健康な子どもに成長していくだろうなぁ、と本編を読む前から深く納得しました。鼻呼吸でのびのびと大の字に寝られるというところから、物心ついて親と一緒に問題解決する方法まで、しっかりと月齢に応じた育児の実践本になっていて、すでに子どもが成人した父親としても興味深く読み終えることができました。
　最終章にあった「子どもはお父さんとお母さんがそもそも幸せな生活をしているところに、新たに仲間入りしてきた存在と考えましょう」、シンプルながらとても深いメッセージだと感じました。これから子を持つ親になる人には必ずプレゼントしてあげたい１冊になりました。
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