トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2021年2月8日
コロナ禍の向こうに見えてくること (※佐野浩一執筆)

 2020年1月頃から世界的に流行し始めた新型コロナウイルス(COVID-19)は、現在も私たちのいのち、暮らしや経済活動に大きな影響を及ぼしてきました。多くの人々は「従来の生活様式」から「新しい生活様式」への変更を余儀なくされてきたと言えます。メディアの報道がすべて正しいとは思えませんが、それでも、多くのいのちが奪われ、多くの悲しみが地球上を覆ったことも事実だと思います。
 しかし、舩井幸雄の教えにしたがい、「すべてを、あるがまま、なるがまま」受け入れ、「前向き」「プラス発想」でマクロにいまを捉えてみると、「新しい未来」への一歩を踏み出し始めた私たちのこれからに目を向けてみることも大事だと思えるのです。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でロックダウンした都市は前例のないレベルで大気汚染が改善しています。外出自粛によって自動車から排出される(PM2.5)が削減され、工場の稼働が停止し、一時的ではあるものの大気環境の状態はかなりの改善が見られたようです。
 スタンフォード大学教授のMarshall Burke氏によると中国の4都市の大気中のPM2.5の濃度の推移を分析した結果、2カ月間にわたり大気汚染レベルが低下したことで、中国では5歳以下の子供4,000人と、70歳以上の高齢者73,000人以上の命が救われた可能性があると発表しました。
 日本においても、中国から飛来する大気汚染物質が劇的に減少しています。福岡工業大環境科学研究所が、昨年末から今春にかけて九州山間部の樹氷に含まれる汚染物質を調査したところ、今年4月は窒素酸化物と硫黄酸化物の比率が2010年以降の最高値に比べて10分の1以下であったと報告しました。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は依然として公衆衛生上の深刻な脅威となっていますが、きれいな空気を、未来の子どもたちに残していくという点では、大きなきっかけとなって欲しいと願っています。
 もちろん、「美しい地球」を子どもたちに残していくためには、「空気汚染」の問題にとどまらないことも事実です。でも、あらためて、「本当に必要なもの」と「必ずしも必要でないもの」の違いに、私たちが気づきはじめたことも事実です。そして、だからこそ、近視眼的にならず、マクロに、私たちが「新しい生活様式」や「新しいスタンダード」を取り入れ、もっともっと「ゆっくり」「豊かで」「心穏やかに」過ごせるためのアクションが必要であることは言うまでもありません。
 欧州では、サスティナブル(持続可能な)社会づくりに向け、市民が政府や企業に圧力をかけるのが常識となっています。市民の9割が環境と社会に責任ある消費行動をしているといいます。
 こうした中、パッケージフリーな小売形態がフランスを中心に拡大しています。バルクで店に運ばれてきた包装されていないオーガニック食品等を、来店客自ら持参する容器に必要な量だけ入れてもらう「量り売り」をする専門店やスーパー内コーナーです。
 仏金融グループBNPパリバ系調査会社が2019年10月に欧州15カ国1万4200人を対象に行った消費者意識調査『CONSO 2020(Observatoire Cetelem)』によりますと、調査対象者の87%が社会と環境に対し何らかの責任ある消費行動をとり、51%がこれを生活上の目的としています。
 このように大多数の欧州市民がサスティナブルな消費行動にシフトする背景には、市民によるの「5つの脱」への意識と行動の高まりがあります。
@脱ゴミ(ゴミを減らす)、
A脱プラ(プラスチック製の商品や包装資材を減らす)、
B脱ロス(食品等の作りすぎや買いすぎによる無駄な廃棄をなくす)、
C脱ケミカル(化学肥料・農薬・添加物を使う食品等を避ける)、
D脱グローバルサプライ(商品のグローバルかつ複雑な輸送・梱包・冷蔵保管等で排出される温室効果ガスやゴミを減らす)です。

 以下がこれらを裏付ける数字であると公表されています。
◆87%が、無駄な消費と廃棄物を減らす
⇒脱ゴミ、脱ロス
◆85%が、プラスチック製の商品や包装等をなるべく避け、82%が、プラスチック包装された商品を買う際に悪い気分がする(常に16%、頻繁に36%、時々30%)
⇒脱ゴミ、脱プラ
◆64%が、非オーガニック商品を買う際に悪い気分がする(常に8%、頻繁に24%、時々32%)
⇒脱ケミカル
◆84%が、地元産、季節もの、オーガニック商品を優先購入する
⇒脱ケミカル、脱グローバルサプライ
◆63%が、大手食品メーカー製品をボイコットするのは正当行為と考える
⇒脱グローバルサプライ
◆59%が、地球環境に配慮された商品サプライチェーンであるか否かを注視し購入する⇒脱グローバルサプライ

 EU統計局によると、EU27カ国におけるパッケージ廃棄物の量(包装用資材)は、2009年以降緩やかに増加し、2017年には住民1人当たり年間173kg、地域全体で7700万トンに及んでいます。素材別内訳では、紙(41%)、プラスチック(19%)、ガラス(18%)、木(17%)、金属(5%)となっています。
 この「5つの脱」への意識の高まりに加え、増える廃棄物に対するこうした危機感が、人々のパッケージフリー消費行動にもつながっていると思われます。
 日本では、やっと「レジ袋」有料化、削減がはじまり、まだそれも意識が高まらない現実……。こうしたEU環境先進国の実践は、もっとメディアに取り上げられ、社会実践に踏み切られていく必要があります。私が経営する「本物研究所」グループ各社でも、様々な実践が可能となるよう進めていく必要があると厳しく受け止めています。
 コロナ禍で、「不要不急」という言葉が頻繁に使われました。私たちの日常の行動自体も、「本当に必要なこと」で「本当に“いま”やるべきこと」なのかを、少し立ち止まって吟味してみることの大切さを学んだ気がします。
 思えば、これまで私たちがつくってきたこの世界は、あったら便利だけど、なくてもやっていける「便利さ」や「効率性」で充満しているようにも思えてきます。
 舩井幸雄は、「自然の摂理」にしたがって生きること、経営することを、私たちに伝え続けました。
 「自然は、競争も、対立も、策略も、搾取も、秘密もない……、そして分離もされていません。そう考えますと、われわれが経験する競争や対立などはやはり間違っているといえるでしょう。競争よりは共生の方がいいし、対立よりも互恵の方がいい、策略よりもあるがままの方がいいし、秘密よりも公開の方がいい、そして分離よりも統合した方がいい……。このように『自然の摂理』から考えたら、今の世の中で起こっていることはいかに自然に反する行為が多いかがわかります。そして、「自然の摂理」に従えば、すべてがうまくいきそうです。」
 あらためて、この舩井のメッセージを最後に記して、コロナ禍の向こうに見えてくることを、皆さんとともに考えて、行動していきたいと思います。
                              感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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