トップが語る、「いま、伝えたいこと」
「わー、長嶋さんだ!」
カメラが長嶋茂雄さんをとらえた瞬間、涙が溢れました。
感動!
とにかく感動しました!
吉田沙保里さん、野村忠宏さんのお二人からトーチを受け継ぎ、愛弟子の松井秀喜さんにエスコートされ、盟友の王貞治さんとともに、夢の聖地を踏みしめていらっしゃいました。王さんと松井さんのお優しい眼差しと気遣いに、また、涙が込み上げてきました……。
ゆっくり、
ゆっくり、
静かに、
確かに……、歩みを進める長嶋さん。
聖火台に灯った灯をみつめる長嶋さんの目にも、涙がうつっていたように思いました。
17年前、長嶋茂雄さんは、日本代表監督として、アテネの舞台に立つはずでした。でも、その直前に脳梗塞を発症され、一時は命も危ぶまれる状況だったそうです。寝たきりになるかもしれないと告げられた後も、アテネへの思いをさらに強くされていたと聞きます。結果として現場での指揮は取れず、銅メダルに終わりました。
長嶋さんは、右手と右足にまひが残り、発語にも影響が出ていました。それでも現場復帰への思いは強く、常人では不可能ともいえる厳しいリハビリに取り組まれてきたそうです。
「1ミリでも動くようになりたい!」
そんな自らの強い思いが、奇跡的な回復を引き寄せられたのだと確信します。
ただ、もし昨年、東京オリンピックが予定通り行われていたら、この勇姿はみられなかったのです。ちょうどその頃は体調を崩され療養中でした。コロナ禍で1年延期となったことで、回復後、リハビリを再開。マシンで歩行練習を繰り返し、この日を迎えられたといいます。
東京オリンピックは、準備段階からゴタゴタの連続。開催数日前という段階まで、それらは繰り返されました。そもそも、このコロナ禍で、しかも開催地の東京を中心にコロナ感染者数が激増する中での開催。否定的な見解も飛び交いました。
ここで、その議論に加わるつもりは毛頭ありません。
舩井幸雄は、「世の中に起きるすべてのことは、必然で必要。だから、ベストにしよう」と伝え続けました。「すべてのことには、意味があるんだ」とも申しました。「素直であることが一番だよ」と繰り返しました。
私は、ただただ、舩井の教えに沿うつもりです。
一生懸命な姿。
それに勝る「美」はないと思っています。
長嶋茂雄さんは、ずっと挑戦してこられました。
選手、監督として、そしていま人生のなかで……。
「なぜそこまでおやりになれるのか?」と問われた際、つぎのようにお答えになったそうです。
「あきらめた人生なんて面白くないじゃないですか!」と。
あの一歩、一歩に、その思いがギュッと込められていたのですね!
たくさんの方に勇気と感動を与えてくださった、もっというなら「生きる勇気」を示してくださった、東京オリンピック関係者と長嶋茂雄さんに今一度、心から、心の底から感謝を伝えたいと思います。
「ありがとうございます!」
さて、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのメジャーリーガー・大谷翔平選手。
彼もまた、別の意味であきらめず、挑戦を続けてきたプロ中のプロです。日本でも、アメリカでも絶えず物議を醸してきた「二刀流」。でも、いまや、そのこと自体をどうこう言える人なんていないんじゃないかと思うほどの大活躍です。
その彼を支えてきたのが、「大谷マンダラチャート」と呼ばれる、いわゆる目標達成シートの存在です。
母校である花巻東高校の佐々木監督が1年生部員に作らせていて、大谷選手が作成したシートはネット上でも公開されています。
これが、やはり秀逸でした。
マンダラチャートは9×9の81個のマスでできていて、その中心に「達成したい目標」を書きます。大谷選手は「ドラ1、8球団」と書きました。プロ野球8球団からドラフト1位指名を受けることを目標としたわけです。
さらに、「ドラ1、8球団」と書いたマスを取り囲む8つのマスに「そのために必要なこと」を記入します。そこには、「体づくり」「コントロール」「キレ」「スピード160km/h」「変化球」「メンタル」「人間性」「運」とあります。これが、8つの「大項目」となります。そして、それぞれの大項目ごとに、8つの「そのために必要なこと」をあげていきます。
一般的には、「運」とは「その人の意思や努力ではどうしようもない巡りあわせ」という意味です。しかし、大谷選手の「運」のとらえ方は、まったく違っています。彼は、「運」にとって必要なことの要素を、「あいさつ」「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「道具を大事に使う」「審判さんへの態度」「本を読む」「応援される人間になる」「プラス思考」としています。
つまり、「運」は努力によって引き寄せることができるものだと考えているのです。「運」は偶然ではなく、必然の産物だと言っています。これを、高校一年で書いたと思うと、驚愕します。
そして、彼は実際にそのように行動をしています。
試合が始まる前に、相手チームの日本選手に駆け寄って「あいさつ」をしています。また、グランドに落ちているゴミをポケットに入れる姿は日常です。審判に対する態度もリスペクトに満ちています。その他の「要素」は、ご本人の近くにいないとわからないことなのですが、きっと実行されているのでしょう。「本」もいっぱい読んでいることでしょう。ちなみに、彼の愛読書は、日本ハム・ファイターズの栗山英樹監督に勧められた「論語と算盤」だと聞いたことがあります。そうした振る舞いからも「応援される人間に」なっていますね。また、あの笑顔をみれば、「プラス思考」であることは間違いありません。だからこそ、「運」に恵まれてきたのです。決して偶然ではありません。
先ごろ、大谷選手は、メジャーリーグ初の「二刀流」でオールスターゲームに出場し、160キロのボールを連発し、勝利投手となりました。残念ながらヒットは出ませんでしたが……。
おそらく、その際も、グランドのゴミ拾いを行ったのでしょうね……。小さい子どもたちがその姿を見て、「かっこいい」と思い、マネしてくれたらスゴイと思います。ただモノでないことはもちろんですが、少なくとも「運」の捉え方は、私たちも学ぶべきところが山ほどあるように思います。
この新旧のスーパースターのお二人。
質や内容、求めるターゲットのちがいはあれど、「挑戦を続ける」姿はどちらも同じ!尊敬と称賛以外のなにものでもありません。
多くの人たちに影響を与えつつ、自らはあくなき挑戦を続けていく……。
素直にその思いを受け止め、その教訓を、自らの人生や仕事に活かしていきたいと願う今日この頃。
「人は感動でしか、自らを変えられない」と言いますが、まさにその通りですね。
「人生をどう生きるか?」と問われたら、私も真っ先に「挑戦」と答えます。
「挑戦」と「感動」。
人生を生ききる2つの重要なキーワードだと確信します。
感謝
2021.07.19:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】勝手に良くなる (※舩井勝仁執筆)
2021.07.12:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】サスティナブルとエシカル消費 (※佐野浩一執筆)
2021.07.05:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】1日で完結する命 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |