トップが語る、「いま、伝えたいこと」
オミクロン型という新型コロナウイルスの新しい変異型が見つかって、年末にかけて高値が期待されていた相場に激震が走りました。日米両国の株価も一時はかなり下げがきつかったのですが、この原稿を執筆時点では少し落ち着きを取り戻してアメリカ株で半値戻しぐらいになった段階です。いい影響もあって、かなり相場の上げがきつくて政府が補助金を検討したり石油の国家備蓄を放出したりと、冬の需要期に向けて値段が上がることが懸念されていた原油の値段が落ち着いてきました。
オミクロン型はアメリカでも感染者が発見されましたし、日本でも2人目の感染者が確認されました。ただ、この原稿執筆時点ではいずれも、海外からの入国者であり、市中感染は確認されていません。デルタ株に関しては急速に拡大が止まった状態は続いていて、私も出張などが増えてきたのですが、飛行機や新幹線に乗っていると満席というわけではありませんが、隣に人が座ってこられることもあるぐらいの混み方になってきました。
先日、6時前という早朝の羽田空港に行く電車がかなり混んでいて師走ということもあるのかもしれませんが、人の動きもだんだん回復してきたようです。
オミクロン型が第6派になるのかどうかが気になりますが、苦しかった第5派の教訓を活かして何があっても大丈夫な体制を取っていただければありがたいと思います。
政治の方は、岸田総理の就任と野党の立憲民主党の方も新しい党首や執行部の体制が固まりました。結果論ですが、総選挙や与野党の幹部の交替が、感染が落ち着いている時でよかったと思います。私もちょっと期待していた年内に日経平均株価が3万円に到達するということは難しくなったとは思いますが、大きな流れとしては、まだ投資に対しては強気でいいのだと思います。
政治から経済への流れでちょっと危惧されるのは、増税の議論が始まること。岸田内閣は官僚といい関係で仕事ができる内閣になるのではと感じています。特に最強の官庁である財務省との相性がいいということなので、さすがに来年夏の参議院選挙までは増税の話は出てこないと思いますが、それを過ぎると消費税のアップも含めて増税論議が始まって来るのではと思います。オミクロン型以前のアメリカのように、景気の過熱状態があきらかな場合はそれも必要な議論ですが、デフレ状態からの脱却も見えない日本の現状で増税に走るのは間違っていると思います。
ブランドとは、もともと牛の胴体に押した焼印が語源だそうです。品質とランクを示すためのタグ。昔は、ブランディングは老舗や銘店に見られるように、時間をかけて、認知され、売り上げの実績を積んでその歴史に認められるものでした。しかし、最近はスピード感の中に、ブランドの質が求められるようになってきました。地方の一人でやっているスモールビジネスのサービスや商品が、一気にブランド力をつけ、都心の一流店に並んで人気を博す。そのようなことも珍しくありません。
中堅および中小企業や商店が、ゆっくりと認知を受身で待つのではなく、戦略的に動かないといけない時代になりました。株式会社イマジナの関野吉記さんは、3000社近いブランドコンサルティングを手がけられ、著作はシリーズ累計25万部を超えておられるブランドのプロです。
「ブランド〜STORY設計とは〜」(プレジデント社)をいただき、とても面白かったので、「『好き』の設計図 ブランディングの原理原則」(クロスメディアパブリッシング)も続いて読みました。
私は、若い頃船井総研でコンサルタントをしていましたので、マーケティングについては24時間365日考えていた時期が続きました。当たり前のことですが、経営者は自社の商品やサービスに想いを乗せ、日夜必死に開発をしています。その想いの詰まったものをどの市場価値で勝ち取るか、長く生き残るにはどうしたらいいか。それがコンサルタントの大事な仕事の1つです。
企業の根幹から取り組む作業ですが、関野さんは、経営者の「想い」を組織内に落とし込み、社外にも浸透させることを一気通貫で実施すること以外に方法はないと書きます。社内外から「共感」を呼び寄せ、企業存続の力とする「ブランドストーリー」を構築することに心血をそそぐ方法を大変わかりやすく書いておられます。
昔、私は、「ブランディング」とは、ショートケーキに例えるなら、イチゴやクリームなどトッピングの見栄えにこだわるより、スポンジケーキのクオリティが大事ということを考えていましたが、関野さんはまさに、スポンジを焼く前の粉をふるうところから示唆されています。
それでこそ、社内外からの「好き」「この会社を応援したい」という共感、感情移入のスイッチが入るのだと。ブランディングの分野において、ここまで情緒的な観点(経営者の心構え)から、機能的価値(売り上げ、認知度アップ)に実戦的に導く良書はなかなかないと思います。ご自身のビジネスの勢いに伸び悩んでおられる方にはオススメの1冊です。
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2021.12.20:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】舩井幸雄が一番伝えたかった事 (※舩井勝仁執筆)
2021.12.13:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】オキシトシンは幸せ感の特効薬! (※佐野浩一執筆)
2021.12.06:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ブランディング (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |