トップが語る、「いま、伝えたいこと」
世界の株式市場はオミクロン株の影響やインフレ懸念の高まりによる利上げの動きを巡って思惑が交錯して乱高下を繰り返すようになってきました。先日、講演会で来年とはいいませんが、近い将来に債券市場が崩れるようなことがあるとハイパーインフレが起こる可能性があり、預貯金を含む現金が一番のリスク資産になるかもしれないというお話しをさせていただいたことがあります。出典は副島隆彦先生の「コロナ対策経済で大不況に突入する世界」(祥伝社)ですので、興味がある方はぜひお読みください。
昭和世代である私は資金繰りの難しさが身に染みているので、資産の50%を預貯金を含む現金、30%を投資、10%を金(ゴールド)、10%を世のため人のための譲るお金に使うことを推奨しています。しかし、若い女性フィナンシャルプランナーで「元証券ウーマンが不動産投資で7億円」(ダイヤモンド社)の著者である八木エミリーさんと話しをしていると現金は生活費の3か月分で十分だという意見を持っていました。現金がリスク資産だとすると彼女の言うことも一理あることになります。
先の講演会の中で参加していた若い女性に投資をしているかどうかを聞いてみると、特に勉強したわけではないがやっている。彼女の場合は現金の割合は生活費の半年分だと話していました。どんな株を買っているのかと聞いてみると全部アメリカの株か投資信託で日本の銘柄には興味がない。若い女性が自分の投資のポートフォリオをネット上で公開していたりするらしく、それに影響を受けて自然と投資ができるようになって、いまのところ負けたことがないと言っていました。
私のようなおじさんがとやかく言わなくても、若い人は自然にこれから何をしていかなければいけないかが分かっているようです。いみじくも講演会に参加してくれていた女性が言っていたように、いま株の世界はアメリカが中心で動いていて日本株は見向きもされないか、せいぜいヘッジの意味で分散投資のひとつとして扱われているに過ぎません。それに無駄な抵抗をするよりも、素直にそのトレンドに乗ればいいのだと最近は感じるようになりました。そして、アメリカの金利が来年上がっていくのは確実な状況になってくるとアメリカ株が上がり続けるというトレンドに変化が現れるようになってくるのだと思います。
ハイパーインフレが起こると現金や債券などは紙くずになります。それに比べて株式を含む実物資産の価値は上がります。私の父方の祖父は私の生まれる前に亡くなっているのですが、父の話では、戦前に保険や国債で資産を運用して、何代にもわたって舩井家は安泰であるといわれるぐらいの資産を築いたそうです。しかし、戦争に負けてそれによって起こったハイパーインフレですべてを失い戦後は失意の日々を送ったそうです。お酒を浴びるように飲んで50歳代で亡くなったのですが、あれだけ飲んだのだから幸せな人生だったと村の人に言われるようなそれなりの人格者だったようです。
幸いにも祖母が働き者で、父と叔父の二人の男の子を大学進学までさせるだけの経済力をストックではなくフローで稼ぎ出していたようですが、週末になると農作業の仕事を子どもたちにいっぱいさせていたようで、父や叔父は農業の合間に勉強をしたり働いたりしていたと嘆いていたぐらい仕事に精を出していたようです。また、しっかりもので父が高校生の時に、夜電気をつけて勉強しているともったいないと怒られたようです。仕方がないので、6キロメートル離れた最寄りの駅まで自転車で行って駅の電灯の下で毎日勉強していたというエピソードを聞いたことがあります。
「大変だったのですね」と父に言うと、「そんな奴はいっぱいおったから辛いとも思わなかった」とこともなげに話してくれました。そんな先人の努力でいまの豊かな生活があるのだということは忘れないようにしなければならないと思っています。父がコンサルタントとして成功したのは、大学に行けたことと、かつ庶民の暮らしもしっかりと知っていたことで現場に行けば生活の実態が分かり、それで適切にアドバイスができたからだと思っていますが、まさにそんな父を育て上げる環境が自然とできあがっていたのだと思います。
この辺りのエピソードはちょうど父が亡くなったぐらいの時に出版させていただいた「にんげんクラブからのメッセージ 舩井幸雄が一番伝えたかった事」(きれい・ねっと)に詳しく書きましたので、読んでいただければ幸いです。船井総研の当時の常務から会長のことを社員に伝えるのに一番参考になる本だとほめてもらったことがあります。そして、この本のもう一つのテーマは愛です。父なりに私たちがエゴで作った資本主義社会の後に来るのは愛の世界だということをわかってもらいたいと思ってにんげんクラブを作ったことを書かせてもらっています。
父の死後8年が経って、愛のことが私の中の大きなテーマになってきました。おじさんには大変難しいテーマですが、エゴを脱出してすべてを受け入れるだけの度量がつけば愛が分かるのかなということに気が付き始めました。お母さんは、子どもを育てるときに無償の愛を自然に与えます。それが何時でも誰に対してもできるようになれば愛溢れる社会になっていくのかなと分かってきました。遅ればせながら、そんなことを来年から挑戦してみたいと思っています。
=以上=
2021.12.20:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】舩井幸雄が一番伝えたかった事 (※舩井勝仁執筆)
2021.12.13:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】オキシトシンは幸せ感の特効薬! (※佐野浩一執筆)
2021.12.06:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ブランディング (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |