トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2022年1月24日
自分を活かす人間学 (※佐野浩一執筆)

 私が代表理事を務める「公益財団法人舩井幸雄記念館」では、故舩井幸雄の思想、生き方哲学などをお伝えするため、年間4回、熱海・レンタルスペースイヤシロチにて講演会を開催しています。
 1月16日は17回目の開催となりました。舩井幸雄の誕生日が1月10日、命日が19日ですので、何やら感慨深いものがあります。同日は、ゲストに株式会社アビリティトレーニング・社長の木下晴弘さんをお迎えし、たいへん熱のこもったお話に、お客さまは心底感動されているご様子でした。こちらのまとめは、財団HPにてお伝えしていますので、ぜひご覧ください。
 さて、毎回、舩井幸雄の著書から一冊を選び、講演会のテーマとしています。今回選んだのは、「自分を活かす人間学」。昭和64年から平成元年へと移っていった年。ちょうど自らが創業した株式会社船井総合研究所が 大阪証券取引所第2部に上場を果たしてまだ間もないころ……。舩井幸雄自身もそれまでに経験してきた様々な苦労も含め、いろいろと大きく自己変革していく様子がありありと伝わってくる一冊です。
 舩井幸雄の人生の命題は、きっと「人間としてどう上手に生きるか?」であったのだろうと思います。そのことをうかがい知れる部分を引用してみます。舩井の赤裸々な“告白”と言ってもよいかと思いました。

「ともあれ、いま、むつかしい仕事が毎日押しよせてくる。よく失敗もする。しかし結果としてその失敗も活かすことができるようになった。人一倍健康だし、楽しく毎日を送っている。自分を上手に活かしてもいる。人相もかなりよくなった。
 自分の活かし方が皆目わからず、下手な生き方の代表選手のようであった私が、このように上手に生きられるようになったのをみても、だれもが上手に生きられるといってよいだろう。
 このことは一人私だけのことではない。私が毎日つきあっている人々、特に成功者といってよい一流の経営者や有名人といわれる人々も、「つき」の悪い時期を必ずといってよいほど経験されているようである。これらの事実からも、だれでも上手に生きられるということがわかるのである。
 それらの人々がいまのように上手に生きられるようになったのは、人生のルールを知り、それを守り、活かすこつをおぼえ、実行されたからといってもよさそうである。それらの例は、ざらにあるし、どこにでもある。」

 このころ、まだテレビ番組に出演していて、毎回、舩井自らが選んだ著名人と対談をしていました。同書には、そのなかから印象に残った何名もの著名な方のエピソードが散りばめられています。だから、とても説得力があります!
 面白かったのは、昭和60年に舩井は大きな気づきを得て、3つの決心をしたと言うのです。これが、のちの「舩井流」と呼ばれる黄金則の一つになっていくわけですから、ワクワクします。まさに、往年の舩井幸雄の「夜明け前」であったということです。

★昭和60年にした「3つの決心」
1)自分からはどんなことがあっても、喧嘩を売ったり、人の足を引っ張るような言動はやめよう。それだけでなく、争いごとも、あるレベルまではできるだけ穏便に処理しよう。
⇒「他者オール肯定」の決心

2)過去に起こったことは、どんなことであれ、あれは私にとっては必要で必然だったのだ。すべての人にとっても同様であるはずだ。なぜなら、この世の生存物は、日々生成発展中だし、どのようなできごとも必要で必然だからです。したがって、過去にあったことで、それをふりかえり、くよくよすることはやめよう。現在進行中のことも同様である。
⇒「過去オール善」の決心

3)どんなことも楽しもうと決めたこと。
⇒「オール楽しみ」の決心

 日々大事な経験をし、そこから何かに気付き、さらには何かの決心をして自己変革する……。私たちも、そんな日々を送っていけたらいいですね!

 さてさて、舩井幸雄は、こうして様々なこつやルール、法則を、書物や講演で伝え続けてきたのですが、それらを一言でまとめると、「本質から考える」ということだと思うのです。
 今回ご講演いただいた木下晴弘先生が、極めて興味深いことをお話くださいました。
 「私の体」って言いますよね。この「の」は一般的には、「所有している」という意味で使われます。もし、「私」と「体」が同じものならば、「私は体」と表現するはずです。でも、私たちは何の迷いもなく「の」を使って伝えます。ここに、すでに無意識的に、私たちは、「私(=魂)」が「体」を持って生まれてくることを意識、自覚しているということだと話されたのです。
 明解です。ストンと腑に落ちました。
 舩井は、人間の本質は超意識体であると定義しています。だからこそ、本質体に感謝して喜んでもらうことが大事で、進行形か現在完了形に希望をおきかえ、実現したいことを依頼するとよいと伝えています。
 そして、できることなら、いつも感謝したほうがよいと……。
 「私の本質体よ。あなたは毎日、私を健康に楽しく幸せに生かせてくれています。ありがとうございます。感謝しています。」
 このメッセージをいつもつぶやいていたそうです。
 「思いは実現する」と言いますが、それにもカンタンなこつがあります。ただし、「こつ」にも正しいこつと正しくないこつがあるので気をつけないといけません。正しいこつは、天地自然の理にしたがっています。さらに、「正しいよりよいコツ」というのもあって、単純、明快で、誰もが納得でき、しかも万能で、卓効があり、その上、実践者の人相がよくなり、明るくなり、「つき」がついてくるものを指します。
 そう考えると、思いの実現のためには、「感謝とともに自分の本質(体)に頼むことだ」ということになります。人はだれでもよくなりたいと思っているので、この「思い」を簡単に実現する方法というのが「こつ」を知り、実行することです。「人間の思いは実現する」というルールにしたがって、「思いを実現させたい」という目的が発生します。 
 この目的をなるべく簡単にスピーディに実現させる方法が「こつ」。そのためには、単純明快にイメージ化と確信をもつことがそこへの近道となります。
 さらに本質的なところを考えると、世の中の構造(天地自然の理)を知ることが決め手となると述べています。
 そのためには、まず創造主の存在=「意志を持ってすべてを創り給うた存在」を知ることが必要です。私たち人間の「つく」「つかない」や、人相の「よし悪し」は人間に対する教育訓練のためとしてつくられたものだと舩井は伝えています。そして、その創造主がつくり出した核になるルールが「天地自然の理」です。それをまとめると以下のようになります。
 
1)世の中は組織体で運営される
 その組織体は、どんなに大きくとも小さくとも一人のトップを中心に動く。また、そのトップで99%決まる。
2)世の中は公平である
 マクロに長期にみれば、世の中はまったく公平に仕組まれている。
3)世の中にあるものは、すべて必要だし、世の中で起こることは、すべて必然である。
4)世の中にはレベルがある
 固体、液体、気体というのは、同じ物質の別レベルである。これと同じように、この世とあの世は別のレベルである。
5)世の中は生成発展する
 それはスパイラル上に生成発展する。すべての生命体は生成発展のプロセスにある。
6)創造の源は、創造主であるが、それは超意識体であり、その分身である生命体の意識も想像力がある。意識、心、思いがすべてを決める。

 ここから、私たち人間が常にアタマの片隅に置いておかないといけないことが考察されます。それをつぎのようにまとめています。
 
1)想念というか思考作用がすべての源
2)想念は実現する。それは強力なエネルギー波である
3)人間は自分のあこがれるものに自分を変えていく
4)思考作用が意志をつくる
5)ブーメラン効果はある。
6)天地自然の理に反すると罰則が与えられる
7)撒いた種は刈り取らなければならない
8)自分のことは自分で決めねばならない。
 
 書名にあるように、「自分を活かす」ための大前提と考えるとわかりやすいと思います。この前提から導き出したのが、「人間の特性」と「人生目的」ということになります。
 まず、「人間の特性」とは、
1)使えば使うほどよくなる頭脳=知性がある
2)良心というか理性がある
3)思うことを実現させうる創造力がある

 では、これらをベースにして、私たちのマクロな「人生目的」はどういうことになるかと言いますと、

1)できるだけ学び、知性を向上させる
2)できるだけ理性的意志を強め、よいことを実行する
3)良いことを思い、思ったことを創造し実現させる

 と定義できるとしています。

 ここまでくると、「では、具体的にどうしたら自分を活かせるのか?」と問いたくなりますよね……。最後のまとめとして、「自分をすぐに活かす3つの手法」が記されています。そのもっとも大事な一つをまとめておきます。
 それは、『とりあえず、まず「つけ」よう』ということです。
 「つく」ためには、「ついているもの」とつきあえばよい……。まずは、よくわかっているもの、しかも気安くつきあえる「ついている」ものからつきあえばよいということです。それは、自分の中にある「ついているもの」のことなのです。伸びているもの、得意なもの、好きなもの、自信のあるもの、効率のよいもの……。これらを伸ばそうとしているうちに、短所が消えたり、不得手なもの、嫌いなもの、自信のないものがだんだん少なくなっていきます。これが「長所伸展法」につながっていきます。これができたら、徐々に、自分が憧れている「ついている人」「ついている会社」「ついている物」などにつきあいを広げていくのがポイントとなります。
 一方、ここで大事なことは、「私はついている」「つくだろう」と思うことだと断言しています。ただ、一度ついてきたとしても、そのつきを失ってしまっては元も子もありません。そこからは、つきをどう管理、維持していくかがポイントとなります。これがまた面白いところです!
 一言でまとめると、「天地自然の理」に反する行為をしないことです。具体的には、つぎのようになりますので、おさえておきたいですね。

1)自然の摂理にさからわない
2)良心に反することをしない
3)マイナスの発想、マイナスの発言をしない
4)他者に恨まれる行動をしない
5)怒り、悲しみ、怖れを制御する

 個人的には、5)がちょっとむずかしいかなって思えました。ただ、「舩井流」がたいへん網羅的に構成されているといつも感じるのは、この対処法も別のこつやルールで示してくれている点です。

「素直」=まずはそうかなと思って受け入れてみること。
「必然・必要・ベスト」=すべて身の回りに起きることは必然で必要なので、それをベストにしようと行動すること。
「プラス発想」=よいところを見て、何かの学びを与えられていると考えると感謝できます。そうとらえると、どんなことにも感謝できる。
 
 舩井幸雄の「自分を活かす人間学」。お楽しみいただけましたか? また機会を通じて、舩井流をお伝えしたいと思います。
                           感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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