トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2022年2月7日
あらためて教育を問う (※佐野浩一執筆)

 日本は、GDP世界第2位の経済国ではあるものの、1990年以降、低迷する経済が続く中で、少子高齢化の急速な進展、長期化するデフレ経済、国際競争力の低下、新産業への対応の遅れ……と、国家全体に不安感や危機感がまん延していると言えます。
 そこに、新型コロナウイルスの感染が拡大し、人間社会から社会性を失っていく流れが続いています。
 一方、テクノロジーの進歩により、2045年には、AI人工知能が人間を上回り、シンギュラリティが到来するとも予測されています。これは、テクノロジー自体が、人間の脅威になる可能性が高まっていることを意味します。

「このような個々の課題に帰する原因は多岐にわたるが、人類は今、指数関数的イノベーション発展に思想哲学が追いついておらず、処方箋を出せずにいる日本においては、国家ビジョンの欠如が最たる原因であると考えている。日本の現在の政策の多くは、高度成長期を支えた方針のままであり、抜本的な改革が進んでいない。もし、今までの延長線上に進めば、まちがいなく日本は衰退国家となるであろう。
 このようなパラダイムシフトにあっては、どのように時代が変化しようと、基本は「人」であり、日本がすべきは「教育立国」からというのが本協議会の設立の趣旨である。ただし、本会は国会議員のみで構成するのではなく、教育分野で先駆的な取り組みを行っている企業経営者、教育関係者を交え、その知恵を活かし合い、連動させながら進めていく。差し迫った危機を共有し、早急に教育改革を行うために協同して教育立国を実現する。
 教育は、「国家百年の計」といわれ、政治、経済、文化、芸術という人間生活のありとあらゆる活動の根幹をなすものである。新たな「教育立国」は、次の世代のみならず、この国の礎となるであろう。そして、国民の幸福と国家の発展は必ず実現できる。」

 上記の文章は、先ごろ発足した国会議員と民間有識者による「教育立国推進協議会」の設立趣意書から引用させていただきました。
 このメッセージを拝読した際、心の底から湧き上がる熱い熱いエネルギーを感じていました。子どものように、ドキドキ、ワクワク、胸躍らせる自分が、なにかとても新鮮で、誇らしくもありました。
 
 幸せなことに、同協議会発起人会にお名前を連ねる、一般社団法人開華GPE代表理事・村松大輔さんにお声をかけていただき、私もその一員に加えていただくことになったのです。
 
 昨年12月16日の発起人総会後、会長である自由民主党の下村博文先生は、以下のようにコメントをされています。

「教育立国推進協議会の発起人総会を開催しました。超党派で発起人だけで135人の国会議員が賛同し、民間で教育実践や活動をされている方々が59人という、これまでにない大規模で画期的な協議会となります。
 来月(1月19日)には、もっと大きく設立総会を開催し、日本の教育をもっとスピード感を持って抜本的に改革していきます。
 日本の立て直しの根本は、人であり人財です。
 人に投資し格差を是正し、全ての人がチャンスと可能性があり、自己肯定感を持てる社会を国民運動として盛り上げていきます。
 是非、多くの皆さんのご賛同とご協力をお願いします!」

 まったく共感します。
 まさに、すべては「人」。
 舩井幸雄が「人財塾」を世に問い、「人財」を育成し、「有意の人」を核にして、よい世の中づくりを提唱したこととも通じる思いを感じます。

 さて、私が、元教員として、教育に対して感じ続けていた思いについて、お伝えしたいと思います。
 1つ目は、「日本の子どもたちの自己肯定感の低さ」について。
 内閣府が発表しているデータがとてもわかりやすいので、以下にURLを示しておきます。https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/tokushu.html

 自己肯定感について、「もっと自己肯定感の高い人間になりたい。」「子どもに自己肯定感の高い人間に育ってほしい。」このように考えている大人や親は多いと思います。しかし、愕然とするデータがあります。
 以下、読売新聞(2018年4月18日版)から抜粋です。
「独立行政法人・国立青少年教育振興機構が行なった国際比較調査で、日本の高校生の自己肯定感は過去に比べて改善したものの、依然として各国の中では最も低いことがわかった。 (中略)
 この調査は昨年9〜11月に行われ、日本、米国、中国、韓国4か国の高校生計8480人が回答した。
 自己肯定感について訪ねた「私は価値のある人間だと思う」という項目に「そうだ」「まあそうだ」と答えた日本の高校生は44.9%だった。2010年の調査より8.8ポイント増えたものの、米国は83.8%、中国80.2%、韓国83..7%で依然、大きな差があった。」

「私は価値がある人間だと思う」
  a.「そうだ」
  b.「まあそうだ」
  c.「どちらでもない」
  d.「あまりそう思わない」
  e.「そう思わない」

 この問いに関する回答が上記のような結果であったということです。諸外国の子どもたち、とくに先進国と呼ばれる国々と比べても、日本の子どもたちは愕然とするほど自己肯定感が低いということがわかっています。ということは、大人も同様だと考えられます。
 各国との差は何が原因なのでしょうか?
 様々な要因が重なり合っていることは間違いないと思いますが、やはり教育が大きく関わっていることは間違いないと思うのです。日本の教育もたしかに変わりつつありますが、いまもなお、自己肯定感を育みにくいいくつかの決定的な課題を抱えていると考えています。

1.正解を求める教育=「答えが1つ」
→みんな同じ答えになる。みんなと違うと不安になる。
多様性を考える機会が少ない。
2.絶対評価ではない偏差値の相対評価
→それが良いか悪いかではなく、組織や集団内のどの位置にいるかで評価される。
3.受験機会や入試方法は増えたものの、結果として「一発勝負」の受験
→それまで積み重ねてきた学習のプロセスや人物が評価されづらい。
4.暗記・知識重視の教育
→勉強は「覚える」ことに終始する。
自ら意見を考えてアウトプットすることが少ない。
人の意見を聞く機会が少ない。
5.学びの目的を教わったり、考えたりする機会が少ない
→進学、仕事、自分の生き方、社会のあり方について自分なりの価値観が形成しづらい。
6.いまだに行われている先生から生徒への一方通行の授業
→学びが主体的なものとならず、受け身である。
考えたり、発信したりする機会が少ない。
主体的な意見を求められることが少ない。
7.勉強する内容が世の中とのつながりを見出しにくい
→勉強する内容は、社会に出たら役に立たない?と考えている。
   
 このように考察していくと、「日本の教育が、日本人の自己肯定感の低さの一つの要因である」と考えざるを得ないということになります。少々乱暴ではありますが、「アウトプット」する機会があまりにも少なすぎる結果、学びの積み重ねが自己肯定感の醸成につながりにくいのではないかと考えます。
 
 さらに、2つ目の課題は、やはり「大学入試」だと思うのです。
 1つ目の課題の中にも触れざるをえませんでしたが、「AO(アドミッションオフィス)入試」以外では、「正解」を出し、得点を上げることで、合否が決定されます。これまで、総合的な学習や教科横断型の学習、あるいはディベートや体験型の学習スタイルなど、双方向型の教育や授業実践はトライされてきたものの、なかなか根付いていないのが現状です。
 その理由はカンタンです。「大学入試」には関係ないからです。
 これまでも、共通一次試験にはじまり、センター入試、新共通テスト……と、国公立大学の入試方法の改革が続いてきました。それに伴い、私学も入試科目のバラエティー化、入試科目数の軽減、センター入試等の導入など、工夫を重ねてきてはいます。
 しかし、たいへんな受験勉強を経て、偏差値で輪切りされた大学や学部を分相応に選び、覚えてきたことを正解することで合否が決まることには、何ら変わりはありません。
 そして、「大学に入ったら、何をしたい?」と聞くと、「遊びたい」と答える子どもたちの数は、いまの時代も変わらないのではないかと思います。
 大学入試が変われば、高校入試も変わります。高校入試が変わると、小学校や中学校での教育実践も変わってくるはずです。主体的に学び、主体的にアウトプットすることが当たり前になったら……。子どもたちのスタンスにも大きな変化が生まれてくると思えてしかたがありません。

 そのために、私は、入試を「ポートフォリオ評価」で行うことをずっと考えてきました。「一発勝負」ではなく、中学時代の学び、あるいは高校時代の学びの記録そのもの=ポートフォリオで合否を決定するということです。定期考査の成績も含めてよいと思います。もちろん英語検定やTOEIC、漢字検定、数学検定なども……。日頃の小テストの成績なども加えたほうがよいでしょう。そして、すべての学習の記録……。ここでは詳しく述べませんが、学んだすべてをまとめたポートフォリオを対象としてあげられたらと思うのです。
 「点数がよいから評価が高い……」という物差しだけでなく、「努力を重ねられる」「継続できる」「幅が広い」「奥行きがある」「特定のなにかに秀でている」……ことも物差しに加えることで、学びの多様性を評価できると考えます。

 なぜ私たちは学ぶのか?
 それは、幸せになるため……ですよね?
 すべての子どもたちが教育機会を通じて、幸せになって欲しいです!

 生涯、絶えず学びを重ね続けた舩井幸雄は、「学び、知ることで(課題の対処法がわかり)、前向きになれる。そうなると、明るく、前向きに生きられるじゃないか!」と伝えてきました。
 まさに、教育や学びの原点は、ここにあると確信します。
                            感謝 

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けている。
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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