トップが語る、「いま、伝えたいこと」
「帝王学」は中国の皇帝が代々学んできた学問。
そう思い込んでいました。しかし、実のところ、中国古典に「帝王学」という言葉は出てこないのだそうです。
そういえば、舩井幸雄も、平成20年あたりの書物や講演で、「帝王学」に触れていました。「生きる!!」(平成20年、あ・うん刊)では、中国に伝わる『皇帝記学』の冒頭部分の記述に触れ、リーダーや経営者として生きるためのコツとして紹介しています。
168巻、約7万ページにわたる膨大な書物の冒頭部分に、「福・禄・寿」の教えがあるそうです。ちなみに、この書物、ネット検索をかけても引っかかってこないのです。なにか理由があるのかもしれません……。
さて、「福」とは、人間関係をよくするコツ。「禄」とは経済、つまりお金儲けのコツ、「寿」とは健康のコツを指すといいます。
1.0歳〜6歳は「寿」=病気にならない、つまり、健康グセをつけるコツを覚える。
2.6歳〜12歳は「福」=人間関係をよくするためのコツを覚える。
3.12歳以降は「禄」=なるべく早く働きグセをつけること(正しい経済生活を行うためのクセづけ)を覚える。
この3つに尽きると、同書に記されていました。
さらに、舩井幸雄の解説として、「福」としては「約束を守ること」、「禄」としては「労働なき富に頼らないこと」、「寿」としては「心配しないこと」を、自身の経験上大事なことだとまとめていました。ここに、舩井流の根幹でもある「勉強するクセづけ」が加われば、本物の人間になれると……。
あらためて、舩井幸雄は、シンプルにまとめる超プロだと感じました。
そんな「帝王学」ですが、実は学問自体の存在があいまいなんだそうですね。舩井が伝えているように、トップに立つ人に要求される心得だということは想像できますし、エッセンスは理解できました。でも、さらに深めるために、具体的に何をどう学ぶとよいのでしょうか……?
それは、やはり中国古典に答えがあるようです。中国古典は、あらゆるものがリーダーの心得を取り上げていると言っても過言ではないようです。
『「自分」の生き方 運命を変える東洋哲理2500年の教え』(ダイヤモンド社)の著者、小池康仁氏は、密教阿闍梨であり、東洋哲理思想の帝王学・陰陽五行論を経営に活かす第一人者でいらっしゃいますが、同氏のおススメは、「書経」と「貞観政要」なんだそうです。
「書経」=昔の皇帝たちとそれを補佐した重臣たちがどのように政治に取り組み、理想の政治を実現しようとしたのか。そんな彼らの政治問答をまとめたような書物。
「貞観政要」=帝王学というとまっさきに思い出す人も多いのがこれだと教わりました。唐王朝2代皇帝太宗(李世民)とその重臣たちの政治問答がまとめられています。
なかなか取っつきにくい感じもするのですが、わかりやすく解説された書物も出版されているようなので、私も読んでみたいと思いました。
今現在、世界は「コロナパンデミック?」に翻弄され、混沌としています。収束しつつあると思ったら、また……。なかなか明るい未来なども描けず、なかにはひどい絶望感に駆られている方も少なくないように思います。現実的には、コロナ禍で産業構造も大きく変わり、これまでの常識が通用しなくなりつつもあります。
しかし、ここからが、「帝王学」に学ぶ重要なポイントです。
悪い事は長くは続きません。歴史を振り返ると、100年前に流行したスペイン風邪も終息しました。止まない雨はないし、溶けない雪もない……。必ず終息を迎えて、新たな社会が再生されるはずです。歴史は繰り返されるということです。ここに舩井流を付け加えると、物事は「スパイラル上に生成発展」しているというわけです。
不幸は幸福の起因であり、幸福は不幸の起因となります。つまり、幸不幸は相互依存の関係にあるということを教わりました。何かが壊れたら、必ず新たな何かが始まります……。壊れた量と期間と同じだけ、幸福に転じるということです。
これを、「陰陽の等価交換」というのだそうです。
コロナ禍で経済が激しく崩壊していますが、必ずそれも変容して新たな方向へと大きく伸びていくということです。その根拠が、今回テーマにした「帝王学」にあるのです。
「帝王学」というのは、そもそも「陰陽論」と「五行論」から構築されていることを知りました。何かが壊れると半強制的に新たな何かが始まるというのが、陰陽論の考え方です。マイナスや破壊の「陰」と、プラスや創造の「陽」はバランスをとっています。これを「陰陽の等価交換」と呼びます。
調べてみますと、陰陽論は、はるか昔、2500年ほど前から国家理論として活用されてきた理論です。この観点から鑑みると、世界経済はそう遠くない内に、新たな方向に向かって再生していくことは間違いないようです。元通りかどうかはわかりません……。ただ、この陰陽の等価交換法則を知っているだけで、人生に不安が少なくなってきますよね。
大きな破壊現象が起これば、それと同等の創造現象が営まれる……。
ピンチはチャンス……。
「帝王学」は、まさにそのことを体感的、歴史的に示してくれているとうことです。
そう考えると、幸、不幸のとらえ方も同じです。不幸と幸福は等価交換して、必ず変化して、時間は流れていきます。もちろん、ここに、アドラー心理学の「意味づけ」理論を引っ張り出してくると、そもそも幸も不幸もなく、主体者がどのような意味づけをするかによって、物事のとらえ方が180度変わってくるということにもなります。
舩井幸雄は、ここに「学び」と「感謝」というキーワードも持ち込みました。つまり、いまの事象、いまの経験から「学べることはなにか」と問い、それが克服すべき課題であると認識し、取り組めば、「感謝」の思いが生まれてくる……。これが、舩井流「プラス発想法」です。
このように考えてきますと、「舩井流」は「舩井流経営法」にとどまらず、まさに「舩井流帝王学」だったんだと、極めてあたりまえの結論に至ったのです。そうして観点で、今一度「舩井流」の法則やルールに触れてみると、これがまた実に面白いのです。
どう面白いかは、皆さまにも味わっていただきたいので、ここでは触れないことにしますね。いずれにせよ、難しい時代ではありますが、現状に不平不満を撒き散らして嘆くことなく、夢や希望から可能性を見出して生きることの大事さを痛感します。
「帝王学」にある「陰陽の等価交換の法則」をまずアタマとココロの真ん中に据え、「スパイラル状に生成発展」する未来を、今日も、明日も、明後日も……、ずっとずっと展望していきたいと思います。
感謝
2022.02.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】舩井流帝王学 (※佐野浩一執筆)
2022.02.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】三千世界大改造 (※舩井勝仁執筆)
2022.02.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】あらためて教育を問う (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |