トップが語る、「いま、伝えたいこと」
原油や食糧価格の高騰やコロナからの景気回復と相まっての世界各国のインフレ基調が止まりません。さらにはそんな環境に加えてウクライナでの戦争が起こるなど世界は大混乱の状態になりました。そんな影響を受けて日経平均株価は一時25,000円を割り込むところまで売り込まれました。私は今年の株式相場の下限は25,000円ぐらいだろうなあと考えていましたので、いまのところほぼその通りの動きをしていると考えてもいいのかなと思います。それが先週末には主に外国人の買いが原因だと言われているようですが、終値で28,149円84銭まで上がってきました。
新聞などを見ていますと、この買いはそろそろ続かなくなるのではないかという意見が多いようですが、3万円まではまだ戻りませんでしたが、本質的にはまだ何も大きな問題が解決していないのにも関わらず、明らかに回復基調を織り込みつつあるように感じます。
ひとりだけ出遅れ感があった日本の景気ですが、ここに来て回復の兆しが見えるようになってきたようです。3月上旬の百貨店大手3社の売上は各社とも前年同期を上回り、新型コロナによる販売不振の底は脱したのではないかという見方が広がってきています。また、外食業界の落ち込みも同じく底を打ったのではないかと言われています。
もちろん、25年に渡って続いてきた日本のデフレ状態もさすがにインフレ気味になってきていますので長期金利の指標である10年物の国債の利回りは0.235%(3月25日14時29分現在)と一時はマイナス金利になっていた頃から考えるとまだまだ小さい数字ではありますが、金利がつくようになってきました。また、大きな問題は止まらない円安です。
やはり3月25日の日本のマーケットで一時的には1ドル122円台を付けていましたが、この原稿を執筆している17時前の時点は121円台後半で推移していました。株価が上がっているので、かなりやばい状態だと言われているトリプル安は回避できていますが、まだまだ気をつけて相場の行方を見守る必要はあるように感じています。
ロシアがウクライナに侵攻してヨーロッパで戦争が始まってしまったことで、先進国の間では力による領土の変更は行わないという第二次世界大戦後からか、少なくとも冷戦終結後の世界(フランシス・フクヤマ著「歴史の終わり」(三笠書房)という考え方まで出てきました)の安全保障体制が崩壊してしまったと言われるようになりました。ロシアとウクライナの戦力差を考えると常識的には3、4日。長くても10日間で紛争は終結すると思われていましたが、この原稿を書いている時点ですでに戦争が始まって1カ月以上が経過していますが、終結の見込みはまったくたっていません。新しい秩序を作るにあたって、どちらの陣営にとっても譲れない一線があり、だから一般市民の被害をドンドン拡大させながらも戦争が継続しているのかもしれないと感じています。
新・舩井メールクラブで国際金融アナリストの大井幸子先生の第三次世界大戦が始まったという内容のメルマガを読ませていただいていて、大井先生が2010年にお亡くなりになるまで日本の安全保障や外交政策の分野で他を寄せ付けないレベルの高度な情報を発信し続けておられた故・小室直樹先生のゼミ生であったことを思い出しました。大井先生がここまで戦略的な見方ができるのは小室先生の影響が大きいのかもしれないと思ったのです。
そこで初版本は1986年に出版されたものですが、2018年に復刻版が出された小室先生の「国民のための戦争と平和」(ビジネス社)を読んでみました。本当に面白かったというか、なぜロシアのウクライナ侵攻による戦争が起こってしまったのかを解説していただいている本のようにも思えてしまいました。文明史のセンスを磨けば36年前に書かれた本なのに、ウクライナ戦争の本質がわかるのだということに驚愕してしまいました。
簡単に入手できるようなので、ぜひお読みいただきたいと思います。少しだけサービスで文明史のセンスを磨くための手法が書かれた部分を引用させていただきます。これだけでも小室先生が本物の天才であったことが理解できると思います。
(引用開始)
文明史のセンスを磨くにはどうすればよいか。答えは一見簡単である。それは、@歴史を学ぶこと、Aそれを長期的巨視的に割り切ること、Bただし、過去の教訓を未来に当てはめる時の限界を心得ることである。
そして、このようなセンスで国際社会の本質に切り込むわけであるが、その際に必要な武器が強靭な「論理」である。センスがあっても「論理」的思考がなければ、明確な結論が出ない。センスがなくて「論理」のみ独走すれば、屁理屈になる恐れがある。
戦争論もそうである。
文明史のセンスがなければ、戦争の本質を間違える。強靭な論理的思考を怠れば、現状のままで何とかなるさ、という結論しか出てこない。
日本の世論の混迷ぶりは、まさにここにある。
(引用終了)
まるで、小室先生が生き返られて、いまの日本のマスコミや、それに振り回されている私たちの状態に対して警告を発していただいたように感じています。
=以上=
2022.03.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】戦わないで世界を変えていく (※佐野浩一執筆)
2022.03.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】スポーツからみるロシア問題 (※舩井勝仁執筆)
2022.03.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】包み込みとインクルージョン (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |