トップが語る、「いま、伝えたいこと」
アメリカの金融当局は本気で引き締めに取り組む姿勢を見せています。そのことにより、一旦は上昇基調に向かった株価はまた調整局面を迎えたようですが、日経平均で25,000円を割る水準まで戻るかどうかが気になります。日本だけは取り残されていますが、世界は完全にインフレ基調に向かって動きだしました。そこに戦争が加わったのですから、火に油が注がれた感じになっています。そして、FRBが本気で資産圧縮や利上げに取り組む原因は株価が下がらないからだという見方もあり、ここからの金融当局と市場との戦いの行方を見守らなければいけないのかもしれません。
この動きに左右されるのではなく距離を置きながら静観するのがいいと思います。ただ、今回はインフレ基調もありますし、アメリカも日本もどちらかというとリベラルな考えをする政権であるということを考えると、選挙後は増税の動きに向かうかもしれないと考えておいた方がいいかもしれません。そうなると究極の増税は高インフレだということも言えるので、日本も取り残されていることに油断をしない方がいいと思います。高インフレになると預貯金を含む現金を持っていることもリスクになるので、静観すると言っても長期投資等をするという姿勢でやっぱり個人的にはお金の勉強はされておいた方がいいと思います。
世界的な金融緩和の動きに完全に乗り遅れて不況になっていた日本は、2013年にいまの黒田総裁が就任したことで世界の動きについていき、為替が下がり株価が大きく上昇するきっかけになりました。今度は株価が上がるのか下がるのかは分かりませんが、来年の4月に新しい日銀総裁が就任することで、日本も世界の流れについていくことになるのかもしれません。少なくとも2025年ぐらいまで、もしかしたら2030年ぐらいまではいまの混乱はますます広がっていくことが考えられますので、その前提で暮らしの設計をした方がいいと思います。
多分、ストック(資産)だけで生きていくのは難しいのでフロー(収入を得る術)を身につけないと本格的に対処するのは難しいと思います。現金といういまの低金利の環境下にあっては資産を生まないストックだけではなく、ストックがフローを生む資産を持つことも検討された方がいいのかもしれません。難しい時代ですが、変化の激しい時代ということは環境を逆転させるチャンスでもありますので、情報にだけ振り回されないようにして、まず自分の軸をしっかりと確立することから始めるといいと思います。
ロシアによるウクライナ侵攻が長引くなか、目に見える形で私たちの生活への影響が現れるようになってきました。ガソリンの高騰、食品などの値上げや輸入の停止、市場の混乱など、連日関連のニュースが大量に流れています。その中で、最も大きな影響を受けていると思われるのは、ロシアと縁が深い地域である北海道です。地理的な近さから北方領土の返還問題、最近では領空侵犯やロシア船の宗谷岬への接近なども話題になりますが、ここで取りあげた理由は北海道がロシアと非常に緊密な関係を築いていたからです。
ロシアからの輸入が困難になると、主要産業への影響が非常に大きくなります。それは外国人観光客が途絶える、ということではありません。実は北海道では、海産物の多くをロシアからの輸入によって賄ってきたからです。天然ガス、石炭などの資源なども多くを輸入していますが、それ以上にカニ、イクラ、サケ、イカなど、北海道を代表する海産物のロシア依存は深刻です。北海道で使われているそれらの多くがロシア産であり、輸入できない状況になれば影響は計り知れません。さらに日本の漁業関係者にも多くの影響を及ぼします。ロシアの許可を得られなければ漁が難しい地域の方もいます。情勢が不安定な際、ロシアが日本漁船を不当に拿捕(だほ)するのは常套手段です。
このように、水産業は非常に大きな影響を受けています。それは同時に、ただでさえコロナで傷ついている観光業へさらなる打撃を与えることにもなるでしょう。実際、ロシアのものも含めた外国からの仕入れ値は倍以上になるとも言われ、道内のすし店では値上げを余儀なくされ、朝食を売りにするホテルなどでは海産物の提供への影響が懸念されています。
また北海道では多くの都市でロシアと積極的に交流事業をおこなっていました。芸術、スポーツ、文化面。人の行き来も活発で、ロシアの都市と姉妹都市関係を結んでいる自治体も多く存在します。そんな時間をかけて関係を築いてきた素晴らしい国際交流、人の繋がりも今回の侵略により台無しになってしまったのです。地政学的に見た影響が一番大きいのはやはり北海道のようです。
大きな意味で、北海道がロシアからの日本の盾になっているのは厳然たる事実です。日本は周辺に難しい外国に囲まれており、そういう意味で沖縄や北部九州、それに山陰や北陸地方などの国境に近い地域の重要性はますます増していくことになります。この辺りを日本人としてはしっかりと意識して、その地域の皆さまに感謝することを忘れないようにしたいものだと思います。
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2022.04.18:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】哲学と経営 (※佐野浩一執筆)
2022.04.11:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】北海道の重要性 (※舩井勝仁執筆)
2022.04.04:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】学び直しの時代、仕事を趣味にできるか? (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |