トップが語る、「いま、伝えたいこと」
いよいよ金融崩壊が始まったのかもしれません。6月16日(木)のNY市場はその前日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が0.75%の利上げを発表したことを受けて、利上げ幅が市場予想と同じだったことを好感して一旦は上がって終了していました。その流れを受けて木曜日の日経平均もプラスで終わったのですが、ヨーロッパ市場ではすでに値を下げ、その流れを受けた1週回ったアメリカ市場では急落になり、アメリカのニューヨーク・ダウはついに節目になる3万ドルを割れて終了しました。
さらに、アメリカの株価をけん引していたハイテク株が多いナスダック市場の指標は4%以上の下げを記録して暴落と言ってもいい水準になりました。まるで1990年の日本市場のバブルの崩壊の時の様を見ているように私には感じられます。2008年のリーマンショック以降、基本的には世界の中央銀行は無尽蔵にマネーの供給量を増やしてきました。それに伴う金余り現象が金融市場バブルを形成してきたのですが、アフターコロナのインフレ傾向に脱炭素の流れとウクライナ戦争が加わり、金融当局はこのまま放置すれば経済が崩壊する危険を察知するようになりました。
伝統的には、インフレファイターの役割を課されている中央銀行が引き締めに転じたことがはっきりしたことで、市場は景気後退を織り込みつつあるのかもしれません。ここで怖いのは、特に日本では少なくとも20年以上(ちょっと長く考えればバブル崩壊以降30年)に渡ってデフレ経済が続いていることです。私も含めて、いまの経営者はインフレ経済下の状況を経営者としてリアルに体験したことがないのです。だから、いち早く頭の切り替えができなければ、この状況の変化についていけない可能性が極めて高く、この危機を乗り越えられないであろうということです。
父がとても信頼していた評論家の中には、秋には1ドル110円になるといういまの市場の流れと正反対の意見を述べている方もいるという話しを聞きました。もし、ウクライナ戦争が終結していて、OPEC(石油輸出国機構)等に原油の大幅な増産をさせることに成功すれば、日本では一転してデフレに戻る可能性すらあることを考えていらっしゃるのかもしれません。まさに一寸先は闇の時代に突入したようです。もし、デフレに戻るとしたら日銀が金融緩和政策を採り続けていることはプラスに出る可能性もあります。
そうなれば、日本の株価は危機を脱して上がっていくことになると思われます。まったく可能性がないわけではありませんが、やはり確率は金融崩壊に向かう可能性がはるかに大きいのだと思います。何が来ても対処できるだけの心構えが必要なのは間違いないようです。
最近の世界情勢はロシア問題もあり、ほとんどの方が予想することができなかった状況が続いています。私自身、とてもではありませんが現在を予測することはできませんでした。しかし、舩井幸雄が存命だったら、どうだったでしょうか。
父は時代の先の流れを読む力が非常に優れていました。例えば、20年前に出版された『断末魔の資本主義』(2002年、徳間書店)という本の中では、少々極端ではありますが、昨今の状況を言い当てている部分が多くあります。父は先を見据える力があったからこそ(時々見えすぎてしまうこともありましたが)、いつも大きな結果を残し続けることができたのかもしれません。
実際、先を見据え、時代に沿ったビジネスモデルへ変革を遂げた企業は多くの利益を生み出しています(早すぎると失敗するケースも数多くあります)。しかしそれができるのはごく少数の方に限るというのが現実です。なら、大多数の人間はではどうすればいいのか。
答えは簡単です。予想外のことが起こってしまった場合、その状況に対処するための柔軟性を持てばいいのです。その柔軟性を得る為のヒントになる一冊に、柳楽仁史著『バックオフィス・トランスフォーメーション』(PHP)という本があります。
柳楽さんは私の船井総研時代の後輩で、船井総研デジタル(7月からの社名)の代表取締役社長であり、船井総研グループでも多くの実績を残してきました。この本には、父の時代から進化した、新しい世代に対応している船井総研の現在の姿が記されています。内容は、リーマンショック以降の業績の悪化からの立て直しの話から始まり、実在のエピソードを交えながら意識改革や既存の枠組みの中から利益を上げる方法を解説していくものです。
事務スタッフの活用という発想から大きな利益を生み出す。埋もれていた人材を活用、戦力化し上手に導くことで利益を上げ、経営状態を向上させる。その後も次々と新しい成果を上げ、大きな結果を生み出してきました。先日、柳楽社長に会う機会があったのですが、新しい会社になったことで、ますます大きな変革に挑戦するのだと楽しそうに話してくれました。
昨今の世界情勢は非常に混迷しており、何が起こってもおかしくない状況です。危機的な状況になってしまった場合でも、柔軟な発想でそれに適応し、むしろ改革のきっかけとして活用する。そのような意識を持って冷静に対処することが大切なのではないでしょうか。
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2022.06.20:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】未来と柔軟性 (※舩井勝仁執筆)
2022.06.13:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】自己肯定感、低くて何が悪い!? (※佐野浩一執筆)
2022.06.06:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】いのちのしずく (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |