トップが語る、「いま、伝えたいこと」
気候変動は、気温および気象パターンの長期的な変化を指します。これらの原因は、もちろん太陽周期の変化や自然現象によるものも含まれると思いますが、産業革命以降、おおよそ人間活動が起こすものが大きいと考えられています。
その主な原因は、化石燃料(石炭、石油、ガスなど)の燃焼です。化石燃料を燃やすと温室効果ガスが発生し、地球を覆うように太陽熱を閉じ込めた結果、気温上昇が生ずるというものです。
こうした温室効果ガスは、大気中に含まれる二酸化炭素とメタンの総称とされています。
ガソリンを使用して自動車を運転する……。石炭を使用して建物を暖房する……。土地を開拓したり森林を伐採したりする……。こうしたことが原因で、二酸化炭素が放出される可能性があります。メタンの主な排出源は、ごみの埋立地。主な排出分野は、エネルギー、工業、輸送、建物、農業と土地利用だと言われています。
現在、温室効果ガスの濃度はこの200年で最も高い水準となっています。年々増加してきています。現在の地球は1800年代後半と比べて1.1℃温暖化しました。過去10年間は、観測史上、最も気温が高い10年間となったそうです。
「最近、夏の気温が高くなったように感じる……」
「最高気温が記録的になってきている……」
「冬が暖かくなった……」
こんな声が、あちこちで聞かれるようになっていますよね。
ただ、気候変動というのは、「気温上昇」のことだけを指すではなく、「問題の始まり」ととらえたほうがよさそうです。地球はあらゆるものがつながったシステムであるため、ある分野での変化が他のあらゆる分野での変化に影響を及ぼす可能性があります。現在見られる気候変動の影響には、とりわけ、深刻な干ばつ、水不足、大規模火災、海面上昇、洪水、極地の氷の融解、壊滅的な暴風雨、生物多様性の減少などが挙げられます。
気候変動は、私たちの健康や食料生産能力、住まい、安全、そして仕事に影響を及ぼす可能性があります。私たちの中には、小島嶼国やその他の開発途上国に暮らす人々のように、気候変動による影響をすでに受けやすくなっている人々もいます。海面上昇や塩水の侵入などによってコミュニティ全体が移住せざるを得なくなったり、長引く干ばつによって人々が飢饉のリスクにさらされています。今後、「気候難民」の数が増加すると予想されています。
一方、日本における気候変動を見ると、世界よりも早いペースで年平均気温が上昇しています。長期的なデータでは100年あたり1.19℃の上昇が見られており、深刻な問題です。先述したように、「真夏日・猛暑日の日数増加」も進行しています。日最高気温30℃以上の真夏日と、日最高気温35℃の猛暑日の年間日数は、統計期間1931〜2016年で増加傾向が表れており、猛暑日は10年あたり0.2日の割合で増加しているのです。その他にも、「強い雨の増加と降水日の減少」「積雪量の減少と内陸部での大雪増加」などが日本では発生しています。
一連の国連報告書では、世界の気温上昇を1.5℃に抑えることが最悪の気候影響を回避し居住可能な気候を維持する助けになるということに数千人の科学者と政府査読者が同意したと伝えています。しかし、現在の各国政府による気候変動対策の計画では、今世紀末までに地球温暖化は最大3.2℃に及ぶ可能性があるのです。
気候変動の原因である温室効果ガスの排出は世界各地で生じており、すべての人に影響を及ぼしますが、一部の国々は他の国々よりも多く排出しています。排出量が少ない100カ国が総排出量に占める割合は3パーセントである一方、排出量の多い10カ国は68パーセントを占めています。誰もが気候行動を起こさなければなりませんが、問題の大部分を引き起こしている人々と国々は率先して行動を起こす、より大きな責任を負っています。その国の一つが、私たちの住む日本であることは、肝に銘じておかないといけません。
さて、国連児童基金(ユニセフ)が、全世界の24万3512人を対象に実施した調査「U-Report」の結果を、この11月9日に発表しました。
ユニセフによると、アフリカの若者のほぼ半数が、気候変動のために子どもを持つことを考え直した……と回答しています。また、世界全体では、若者の5人に2人が、気候変動の影響により、家族を持ちたいという思いを考え直すようになったと回答したというのです。
以下、ユニセフのホームページから引用しますと、
・世界的に見ると、U-Report回答者の半数以上が、干ばつまたは猛暑のいずれかを経験し
たと回答。4人に1人が大気汚染を、同じく4人に1人が洪水を経験。6人に1人は、頻繁に起こる猛烈な嵐やサイクロンを、そして10人に1人が山火事を経験している。
・U-Report回答者 の 5 人に 2 人は、気候変動の結果、食べるものが少なくなったと述べている。この回答はサハラ以南のアフリカがもっとも高く(52%)、次いで中東・北アフリカ(31%)であった。
・U-Report回答者の4人に1人は、家族の収入源が気候変動の影響を受けたと回答してい
る。この回答は、中東・北アフリカで最も多く(34%)、次いでサハラ以南のアフリカ(32%)であった。
・U-Report回答者の5人に1人が、きれいな水を手に入れることが難しくなっていると回
答している。この回答は、中東・北アフリカで最も多く(35%)、次いで東アジア・太平洋(30%)であった。
・U-Report回答者の5人に3人は、気候変動が原因で他の都市や国への移住を考えたこと
があると回答。同様の回答は、中東・北アフリカでは70%、ラテンアメリカ・カリブ海地域では66%に上った。
この調査は、2022年7月から8月にかけて、SMSやインスタントメッセージを通じて、163カ国の若者に、気候変動に関する一連の質問を送って調べたものです。回答者が50人以上いたのは50の国と地域で、最も回答者が多かったのは、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、コートジボワール、ウガンダ、アンゴラ、ブルンジ、タンザニア、インドネシア、ケニア、ハイチ、カメルーン、モロッコ、ブラジル、イラク、エクアドルでした。
気候変動の影響による家族を持つことへの懸念は、アフリカで最も高く、その原因は、中東・北アフリカ地域とサハラ以南のアフリカ地域の若者は「様々な気候ショックを経験した」と答えていることにあると考えられます。世界の他の地域の若者よりも、「これらのショックが食料や水へのアクセス、家族の収入に影響を与えた」と述べる人が多くいたということです。
地球温暖化対策を話し合うCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)は11月6日から18日まで、エジプトで開催されています。
ユニセフのCOP27代表団団長のパロマ・エスクデロ氏は、「私たちはすでに気候変動の影響を受けていますが、それは洪水や干ばつ、熱波にとどまらず、私たちの希望を持つ気持ちそのものに及んでいます」と指摘しています。
「特にアフリカでは、若者たちはこれらのショックが自分自身や愛する人々に与える影響を目の当たりにし、将来の計画を変えつつあります」と述べた上で、「しかし、そうする必要はありません。COP27で世界の指導者たちは、若者たちのこの不安に耳を傾け、彼らを守るために即座に行動を起こさなければなりません」と世界のリーダーたちに呼びかけたのです。
さらに、「若者たちのためにも、COP27が成功するか否かは、長年約束され続けてきたコミュニティの適応を支援する資金を提供できるか、損失や被害に対する解決策が構築できるかによって測られなければなりません」とも述べて、気候変動への強い対応を促しました。
さて、こうした声は、果たして私たちに届いているのでしょうか?
おまけに、岸田首相は、COP27を欠席されました。「感染症法改正案など重要法案が重なった国会日程」が理由とされていますが、「弔問外交」を前面に出した安倍晋三元首相の国葬より大物が集まり、外交面で重みがあるようにも見えます。
こんな流れもあってか、日本国内では、ほとんどCOP27の話題はメディアに乗りません。とても残念です。
繰り返し、本稿でお伝えしているとおり、この地球の未来のバトンは、つぎの世代の子どもたちに渡されます。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」。
少しでもよい環境を残すことは、先人の言葉にあるとおり、私たちのミッションです。
戦争などしている暇もありません。
ましてや、未来ある数多くの子どもたちも犠牲になるなんて……。
悲しいです。
許せないです。
「原発推進」という重大な方針転換を表明し、その主な理由に「脱炭素」を挙げた岸田首相。日本は、ますます未来の子どもたちにとって住みづらい国になっていくのですね。
アフリカの国々に住む若者たちのメッセージ。
少し遠いところから、自国のことを概観すると、「何をすべきか」は簡単にわかるはずですよね!
感謝
2022.11.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】新時代の村づくり (※舩井勝仁執筆)
2022.11.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】気候変動がもたらすもの (※佐野浩一執筆)
2022.11.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】今こそ金を買いなさい (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |