トップが語る、「いま、伝えたいこと」
11月10日の夜から11日の朝にかけて外国為替市場で急激な円高になる場面がありました。ドル資産に投資をしている人にとっては肝を冷やすような事態だったのかもしれませんが、行き過ぎた円安に対して是正が入ったという見方が当たっているような気もします。ヘッジファンド等は日銀が金利を上げざるを得なくなるということを見込んで国債売りと円売りを仕掛けていました。それに対して、政府日銀は投機的な円売りに対しては断固とした対抗手段に訴えると表明して市場介入を実施しました。投機筋にかえって勢いをつけるのではないかという見方もありましたが、アメリカの消費者物価の上げ幅が多少とも市場予想より低かったというニュースで円に対して売りを仕掛けていた投機筋が一斉に買戻しに入らざるを得なかったことが大きな原因だろうと解説されています。
いろいろなところにすでに書かせていただいていますが、私は為替介入には賛成です。正直に言って、それで円安を抑制する効果があるかどうかはよくわかりませんが、少なくとも日本政府が外貨準備として持っているアメリカ国債を売却できることになります。金利の上昇でドルベースでは損が出ていると思いますが、1ドル80円前後の頃に買ったものを売っていると考えると為替差益の方が大きいのだと思いますし、少し舩井的な極論で言うと、こういう事態にでもならなければアメリカが売却を認めてくれないであろう米国債を売却できる絶好の口実だと思うからです。
為替は、しばらくは落ち着いた動きになってもらえたらいいなあと思いつつ、2023年は今年よりも激しい年になると予想される方が多いので、何があっても動じないだけの心構えを持つことは大事なことだということを忘れないようにしたいと思います。
三重県多気町にある『多気VISON』という先進的なリゾート型商業施設に行ってきました。赤塚高仁さんと山内尚子さんと伊勢神宮に正式参拝させていただいた帰りに赤塚さんに連れて行っていただきました。平日の午前中であったにも関わらず大勢の方が訪れていて、新しい時代の商業施設づくりのヒントを見せていただいたように感じて、興奮しています。
少し調べてみると、イオンタウン、ロート製薬、ファーストブラザーズ(金融を担当)の3社に、地元三重県菰野町の温泉リゾート施設開発で成功をおさめたアクアイグニスを加えた4社が事業主体になって、そこに三重県、多気町などの自治体が共同で行なっているプロジェクトです。2013年に事業計画を開始し、2021年より順次オープンを始めたプロジェクトで、場所的にも本施設に近く先進的なコンセプトですでに成功をおさめたアクアイグニスのノウハウを生かし、伊勢神宮参りの前後に訪れる観光客を取り込みつつ、施設自体の魅力を生かして各都市からの直行バスでVISONを訪れる事だけを目的とする層も生み出しているようです。
東京ドーム24個分の巨大な敷地を存分に活用して作り上げたVISON(ヴィソン)という名前に相応しい美しい村の中で、癒・食・知を軸として、パワースポット的な要素を持つ多気町での快適な時間。食の宝庫である三重のポテンシャルを生かした豊富な食、農業や工芸などの貴重な体験が提供されています。特徴的な施設構造や、美食の都市として知られるスペインのサンセバスチャン市と提携の効果もあり、インスタグラムを中心としたSNSでは女性を中心に人気を博し、非常に盛り上がっていることも分かります。
地域での1000人近い雇用を生み出すなど地元への貢献度も高く、地産地消、建物に可能な限り木を使用し、式年遷宮を意識して20年ごとに一部の建物の建て替え、それらにより地域の林業を支援しつつ、SDGs時代に合致したコンセプトを実現しています。VISONの面白い部分は、このように非常に優れた施設を生み出しながら、デジタル的な分野の要素も取り入れ、スーパーシティ特区として周辺地域と共に、十年、二十年と先を見据えて成長していくというコンセプトになっていることです。創作の世界で出てくるような、日本独自の伝統も生かした未来都市への発展を遂げていき、地方創生の素晴らしいモデルケースになるポテンシャルを秘めているのかもしれません。
私が流通業のコンサルタントをさせていただいていた1990年代には、屋内型の大きなショッピングモールを開発するのが時流でした。典型的なものはアメリカのミネアポリスにあるモールオブアメリカだと思います。1992年の開業当時に当時アメリカに住んでいたので、家族を連れて行ったことがありますが、そのスケールの大きさに圧倒されたことを昨日のことのように思い出します。それ以降、日本でも大きなショッピングモールが各地に開発されて、元々あった地元の商業施設が軒並み廃業に追い込まれるような時代でした。
しかし、そろそろ新しいコンセプトの街づくりの時代になったことを「VISON」を見せていただいて痛感しました。街づくりではなくて村づくりであり、商業的な成功だけではなくより持続可能性を持ったもっと大きなコンセプトを発信する必要が出てきたようです。個人的にうれしかったのは、こんな流れが続いていったら日本の景気もきっと回復してくるなということでした。ぜひ、お伊勢参りをしていただいて、そのついでに日本の新しい近未来を感じにお出かけしていただければと思います。
=以上=
2022.11.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】新時代の村づくり (※舩井勝仁執筆)
2022.11.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】気候変動がもたらすもの (※佐野浩一執筆)
2022.11.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】今こそ金を買いなさい (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |