トップが語る、「いま、伝えたいこと」
舩井幸雄は、「すべてのことは必然で、必要で、ベスト」だと、長らくお伝えしていました。
うまくいくことも、必要、必然、ベスト。
うまくいかないことも、必要、必然、ベスト。
これは、どんなことも丁寧に受け止めて、できればすべて受け入れなさい……という教えにほかなりません。
別にスピリチュアルな話をしたいのではありませんが、うまくいくのも、いかないのも、結局はすべて「ご縁」なんだと思えてきます。
ところが、自分がやることに思い入れが強かったり深かったりすると、ついつい「なんとしてでも成功させたい」と執着し、一方で、「うまくいかなかったらどうしよう……」と不安にかられてしまうものです。
そうすると、緊張感が強まって、頑なになって、本来持っている(と思っている)能力を発揮できなかったり、期待した成果を得られなかったりするものです。私も、よくこういう経験を積み重ねてきたように思います。
こうした経験から、「すべてはご縁だ」と考えると、「もしご縁があればうまくいくだろうし、ご縁がなかったらそれまでだ」というとらえ方を少しずつ取り入れるようにしてきました。そうすると、気持ちも吹っ切れるように感じるのです。うまくいかなかった自分を擁護するべく、「言い訳」を考える必要もありません。
会社経営も同じですね……。
よいときもあれば、よくないときもあります。
以前は、一喜一憂してきたものです。
もちろん、新しいプロジェクトを始めようものなら、なんとしても成功させようと執着して、自分のなかでどんどん期待値を上げていっていたように思います。
経営者として20年という時間を過ごしてきて感じるのは、相変わらず来る日も来る日も“事件”の連続で、バタバタと過ごしてはいるものの、結果に対する執着はどんどん少なくなってきているように感じています。「やれるだけやったんだったら、あとはご縁の問題だ」と……。もちろん、それは現場に対する「信頼」があるからこそなのです。現場を疑心暗鬼に見ていると、必ず欠点探し、あら探しに終始してしまいますから……。
その点、運を「ご縁」だと割り切ると(……100%そうできているかは断言できませんが……)、毎回ドキドキハラハラしたり、むやみに凹んだりすることは少なくなっているように感じています。
あることがうまくいったとすれば、そのご縁に感謝し、うまくいかなかったらご縁がなかったと割り切り、別の選択肢からアプローチして、ご縁を探ってみる……。もちろん、これも先達に学んだことではありますが、これから先の可能性は無限大ですし、つねにいろんな選択肢や道があって、それぞれご縁がある道とない道があるわけですね。
そうすると、結果が出なかったこと、つまりご縁がなかったことに対して執着を減らし、そこに無駄な時間やエネルギーを費やすこともなくなります。また新たにご縁のある道を選択したら、その道にしばらく乗って、前向きに進めるようになるのです。
私たちは、人と人ともご縁でつながって生きている存在です。だからこそ、自分の行動が自分だけのことではなく、わずかであったとしても誰かのためになって、社会とつながって生きていくことが大事なのだと思えてきます。
人生100年時代と言われて久しいですが、そのキャリア構築も「自分留まり」ではなく、社会とのつながりの中で考えていく、つまりご縁で考えていくといいのでしょうね。
自分が本当に幸せを感じる人生構築のためには、この両方が必要なのだと思います。
自分が本当に幸せを感じる生き方とは、誰かとのつながりのなかで、自分が役立っていることを感じられる生き方だと思います。そこで必要になるのが、「利己」と「利他」の視点です。
自分が本当に幸せを感じる人生を選択していきたいならば、まずは「自分は何のために生きるのか」「自分はどうしたいのか」に向き合う必要があります。さらに、誰かのために役立つ存在として生きていくためにはどうすればいいかについても向き合っていく必要があります。
自分を大切にして、自分の意見を持ち、自分を主張して、自分で決めて、人生の主導権を握り、自分の「やりたい」を見つけて、とにかく行動して、柔軟に問題解決して、やり抜いていく……。これに加えて、ともに正解のない問題の解を見つけ、より幸せで明るいサステイナブルな社会を築いていく存在であれたらいいですよね!
そう!「利己」を満たすだけではなく「利他」をも満たすことで、一歩上の幸せと成功を感じる人生構築になると思うのです。自分一人のためだけでなく、多くの人とかかわって一緒に生きていくのが人間というものだからこそです。
これまでの時代は、ある意味、自分一人で築くことも可能だったかもしれません。切り開けば、道は自ずと開いたかもしれません。こうすれば、こうなるという一定の成功のレールが敷かれていたからです。人より勉強して、人よりいい点数を取って、人よりいい学校に合格して、人よりいい会社に入って、出世街道に乗る……。そうして待っているのは、年功序列、終身雇用、定年退職、悠々自適の老後でした。
でも、いまはもうそんな時代ではありません。これまでの幸せと成功のレールはもはや崩れています。今、私たちはまったく別の時代を生きています。従来のように一人で突き
進んで、自ら道を切り拓いていく感性は、ある意味通用しなくなっていると感じます。
これからは、今まで以上に、情報を与えてくれる人、人を紹介してくれる人、心を支えてくれる人、やり方を見せてくれる人、失敗を共有してくれる人、やり抜けるように声をかけてくれる人など、いろんな応援が必要です。そのベースをつくってくれるのも、人との「ご縁」です。そんな未来を読み、舩井幸雄は「師と友づくり」の大事さを伝え続けてきたのだろうかと想像しています。
では、応援されるために必要なことは何か? そうした「ご縁」をいただけるために必要なことは何か?
舩井幸雄的に言うなら、それは「人財」としてのチカラ……、助けてあげたい、応援してあげたいと思ってもらえるための「人を巻き込む力」です。
そのときに必要になるのが、利他の精神ではないかと思うのです。それを舩井幸雄は、「世のため、人のため」と表現しました。
ある観点からすれば、これまでの自分の夢に、「自分以外の誰かのために」という視点を取り入れる……。ただ、それだけです。
共感力とは、他者の立場に立って思いやる力のことです。この力があるから私たちは、「困っていそうだな」「何かできることはないか」「もっとこんなふうだったら、みんなが助かるのではないか」などと、自分以外の誰かを思いやることができます。巻き込む力とは、自分のことだけではなく、他者の気持ちや立場に寄り添える「共感力」とも言い換えることができそうです。
共感力を育むと、自分以外の誰かについて「思う」「思いやる」力がつきます。これが、きっと「世のため、人のため」のベースを作るんだと思います。そうすると、きっと人から応援され、結果として周りを巻き込むことができるようになるのかなって思います。
その結果、「ご縁」が広がります。
人のご縁が広がると、おのずと「チャンス」や「成果」という「ご縁」も受け取れる可能性が膨らんでいきます。
人生は、やはり「ご縁」のたまものですね。
感謝
2023.05.22:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】超訳「五輪書」 (※舩井勝仁執筆)
2023.05.15:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】本当の『無知の知』 (※佐野浩一執筆)
2023.05.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】インベスターZ (※舩井勝仁執筆)
2023.05.01:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】人生はご縁のたまもの (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |