トップが語る、「いま、伝えたいこと」
日本はこの原稿を執筆している時は、ゴールデンウィークの真っ最中で日本の市場は開いていませんが、世界のマーケットでは大変なことが起こりつつあるようです。アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)では0.25%の利上げを決定しました。前日に中堅行の倒産と大手銀行による救済合併が起こったばかりですが、まだまだインフレの抑制が十分ではない状態で、利上げを選択せざるを得なかったとみられているようです。銀行倒産の流れは止まりそうになく、さらなる金融不安の恐れが広がっているようです。
深刻な景気後退が懸念されるなかで、原油価格の下落も続いています。為替も日本市場が閉まっている間に円高の流れが続いていて、日本にとっては悪いインフレの原因になっている為替安資源高の流れが逆になっているので、短期的に見ればいいことなのかもしれません。NATO(北大西洋条約機構)が東京に拠点を開設するというニュースも流れましたが、中国やロシアとの対立を深める西側の中で大きなポジションを占めるという冷戦構造時において、日本が有利な立場を築き上げた時と似たような状況が生まれつつあるのかもしれません。
連休明けの月曜日のマーケットは日本株も大きな下げが起こるのは間違いないと思いますが、いったんその流れが落ち着いたら、日本株に対する見直しが始まって、業績がいい銘柄を選別しながらマーケットは上昇していく流れになればいいなあと感じています。以前の冷戦時は、日本は産業基盤がまだまだ未成熟であったので預貯金を集めて、それを成長産業に回して設備投資を力強くしていくことに大きな効果がありましたが、産業構造が成熟している日本企業は強い投資ニーズを持っていません。間接金融分野に資金を提供しても不動産投資に回るだけのような気もするので、やはり貯蓄から投資にお金の流れを転換させることがマクロには必要なことだと思っています。
日本の株式市場の低迷を受けて、若い人はアメリカ株を中心に投資をしていたようですが、アメリカ株の潮目は明らかに変わったように感じますので、できれば日本株への転換が進めばいいのになあと思います。2000兆円を超える個人金融資産の内、50%以上が預貯金だという構造はやはり問題があるので、何らかの形で投資の勉強を始めていただくことが大事なのだと感じます。特に、子育てが終わって経済的な余裕が出てきた高齢者層ほど、投資に対する毛嫌いの感情が強いように思いますので、子どもたちのためにもぜひ投資の勉強を始めていただけたらと思います。
そんな状況の中で、今回は漫画で投資が学べるものを紹介させていただきたいと思います。『インべスターZ』(講談社)という漫画です。著者の三田紀房は有名な『ドラゴン桜』や、『クロカン』『砂の栄冠』といった野球漫画で知られています。本書は全21巻の長編となり、投資をメインの題材として扱ったものです。普通とは違う方法で何かを成し遂げる、というのは三田先生の作品で多く見られる傾向で、『ドラゴン桜』は底辺校の生徒を一年間で東大合格まで導く、『インベスターZ』と同時期に連載されていた『砂の栄冠』は、公立校をファンから贈られた1000万円で甲子園へ導く、という内容です。
当然、本書も普通の投資漫画ではありません。まず主人公が中学生一年生であり、個人ではなく学校の投資部として活動するために、投資や経済について学んでいくという前提で物語が進んでいきます。簡単にあらすじを説明すると、中学一年生の主人公である財前孝史は道塾という中高一貫で教育費が無償である学校に入学します。道塾では毎年、受験時の成績トップの生徒を投資部へと入部させ、中高合わせて6人の学生の資産運用による利益で学校運営に必要な資金を賄っており、財前もその一員として活動していく、といった内容となります。
突拍子のない感じもしますが、投資に縁のなかった中学生の主人公という設定があるからこそ、資産運用について丁寧に説明されていきます。実在の人物も多く登場し、ホリエモンこと堀江貴文氏、ZOZOTOWNの前澤友作氏など、有名な経営者の方の視点を知ることができるのも、興味深い点です。漫画というメディアに対する期待の高さが、有名人が積極的に登場する背景にあるのかなと思います。どちらかというと漫画を読むのは苦手なのですが、GWで時間があったので楽しく読破させていただきました。
最初は基本である株について、さらにベンチャー投資、FX、不動産、金など、一通りのものに触れつつ、投資の歴史や現状についても本書を読むことでまとめて学ぶことができ、投資がもたらす意味や副産物についても知ることができます。これから投資を始めたい、改めて学び直したいという方の入り口として有用であるのはもちろん、若い世代へ向けた投資やお金についての学習教材としても価値のある漫画であるはずです。
本作を教えてくれたのは、マネーとスピリチュアル研究会を主催してくれている福田彩子さんですが、彼女は、「女性には投資ではなくて運用と言った方がいい」というところを非常に気に入っていて、ちゃんと女性目線がわかっていることを評価していました。ハードルを低くして、投資分野に興味を持ってもらうことをこれからも一生懸命考えていきたいと思います。
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2023.05.22:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】超訳「五輪書」 (※舩井勝仁執筆)
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2023.05.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】インベスターZ (※舩井勝仁執筆)
2023.05.01:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】人生はご縁のたまもの (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |