トップが語る、「いま、伝えたいこと」
日本の株価の上昇の勢いが相変わらず続いています。いろいろなニュースで、上がり下がりの動きはあるのですが、選択肢として欧米や中国にはこれ以上行きたくないマネーの行き先として日本が選ばれているのかもしれません。それに対して、日本の2千兆円をこえる個人金融資産は未だに50%以上を預貯金が占めているのですが、そのうち10%でも株式や投資信託などの投資分野に回れば、この流れは定着して3万円台を固めるだけではなく、バブルの時代につけた史上最高値の更新も夢ではないのかもしれないという雰囲気が醸成されてきました。
ところが、この流れを推進していくであろうと思われていたある投資信託の会長が退任されるというニュースが日経新聞の電子版に載っていました。識者がかなり本音のコメントを付けられる機能があるのですが、それには親会社の実質的な解任方針に異を唱えるものばかりで、いい意味で日経らしくないと感じてしまいました。「積立王子」という名前で呼ばれるぐらい個人投資家からの信頼が厚い会長を退任させるということの社会的なインパクトをどうも親会社は読み違えたのかもしれません。
ただ、もう少しひねって考えると、退任することになっている会長などの地道な活動が日本株の水準を支えていたのですが、海外の投資・投機資金などが日本市場に流入してくるようになると、そんな王道が通用しなくなるということなのかもしれません。私は、年内の上げ下げはもちろんあると思いますが、基本的なトレンドは、日本株はまだ上がっていくだろうと思っています。でも、逆にここで上げ過ぎると、来年以降の怖さが増していくような気もします。アメリカ株の行方は特に心配ですし、何よりも大統領選挙の年である来年は、政治が経済よりも優勢になることが予想されますので、その反動などの影響は大きなものがあると思います。
ただ、インフレ傾向もまだまだ終息しそうにないことを考えると、従来のように預貯金にしておくのがいいとも言い切れないと思います。投資に対するナラティブ(共創構造を持った物語。ここでは、投資に対するある程度の許容範囲を持ったスタンスと考えてもいいと思います)を自分なりに作り上げて、それに従って投資をしてみることに挑戦することをスタートしなければいけないタイミングなのかなと思います。父の頃は、投資から資金を引き上げることを考えればよかったのかもしれませんが、いまはインフレとも対峙する必要があるのが大きな違いなので、ハードルが上がった感じがします。
もちろん、資金を例えば有機農業に使うといった投資もアリだと思います。親しい農家を作って、その指導の下にテレワークがある程度許されるのなら田舎に住みながら半農半Xな暮らしをしていくことを決断するのも投資の一種だと思います。それこそナラティブなので社会全体としての正解はありませんが、自分がしっくりする道を選ぶ自由が増しているのは間違いないので、妄想から始めてもいいのでしっかりと考えたり感じたりする癖をつけていくことに挑戦していくことが大事なような気がします。
日常とはかけ離れた何かを求めてインドを放浪する、というのは今でも実行する若者が多くいる自分探しの定番です。きっかけは様々でしょう。ただ旅が好きな人、退屈な日常から刺激的な非日常を求める人、自暴自棄的なショック療法としてそれを選択する人。ここの読者の方だと、スピリチュアルな体験を求めてというパターンも多いかもしれません。今回紹介する『ゾルバとブッダ』(風雲舎)は、まさにそのような目的で若い頃に旅をされた方の、旅行記的なお話です。
著者である中村有佐さんは、日本やマレーシアの小学校で教員をされていた方で、現在は60歳の定年過ぎて退職され、このような旅行記的な類のものは、どこか飾られた表現が多用されるというのが個人的に持っている印象です。特に本書はあとがきにあるように過去の記憶から生み出された【旅行記であり、自伝であり、小説でもある】点から、そのような傾向が顕著になってもおかしくないはずです。
しかし本書は自然であり、そこで体験した出来事、感じた事が自然な形で載っています。1970〜80年代ぐらいまでのムーブメントを牽引したOSHOの道場等スピリチュアルについての素直な感想や、旅の思い出、ネガティブな事でさえもしっかり書かれているので、まるで実際に自分がそこへ行き、体験したかのような気分を味わう事さえできます。
作中には多くの人物が登場します。大半は日本人なのですが、その人物たちも非常に個性的で、海外で活躍する通訳の木村さん、元修行僧で現オネエのサツキさん他、インドではこのような魅力に溢れた人と交流する事ができるのかと思うと、私も思わず行ってみたくなりました。読み物として純粋に楽しむことができるのは、当時のインドが持つ独特の空気感を味わいながら、多くの人を惹きつけ交流の途切れることのない中村さんの魅力を感じられるからこそしれません。
個人的には、同年代か少し上の世代にファンが多い、OSHOの魅力が少し理解できたように感じました。そして、それによってなぜあの時代に世界中の若者がインドに惹きつけられたのかが少し理解できたような気がします。私たちの世代にとっては懐かしい本ですし、若い方にとっては新鮮に読めると思う良書ですので、ぜひトライしていただければと思います。
=以上=
2023.06.19:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】家族の枠 (※舩井勝仁執筆)
2023.06.12:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】フローに向かう! (※佐野浩一執筆)
2023.06.05:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】インドを感じる (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |