トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2023年6月26日
ごみと子どもたちの未来 (※佐野浩一執筆)

 私たちは、もっと「ごみ」のことを真剣に考える必要があります。
 なぜなら、「ごみ」を減らすと、子どもたちが幸せになるからです。
 これが結論です。
 これは、「風が吹くと、桶屋がもうかる……」という類の話ではなくて、もっともっと直接的に関わりのある問題です。

 2017年に発表された「世界の農林水産」によると、世界人口は「2050年には、現在の72億人から97億人へと増加する」と予想されています。
 そして、国際連合食糧農業機関(FAO)は、この人口増加をきっかけに「2050年の農業生産(食糧・飼料・バイオ燃料)の生産量を2012年の水準より50%以上増加させる必要がある」と発表しています。

 もっとごはんが食べられない子どもたちが増えるということです。

 私たちは、世界の人口増加という巨大な波を目の前にして、今後起こりうる飢餓人口の増加に向けた対策をする必要があるのです。
 飢餓は、長期間に渡り食事を摂ることができずに栄養不足となり、生存と生活が困難な状態と定義されています。そして飢餓には、「突発的な飢饉」と「慢性的な飢餓」があります。
 「突発的な飢饉」とは、干ばつや洪水などの自然災害、紛争などの突発的な原因によって発生します。食糧が急激に不足し、多くの人々が餓死に追い込まれることもあります。
このような場合は、世界的にニュースで取り上げられることが多いため、世界中から支援が集まります。しかし、「慢性的な飢餓」に関しては世界から比較的注目されることが少ないので、“放置”される傾向が強いのです。
 農業の生産性が低い、雇用される際の賃金が安いという課題の他、不公平な貿易の仕組みなども大きな要因となります。政府、教育、環境という様々な要因が絡む根深い問題です。死因が餓死ではなく、栄養不足から引き起こされる病死であることから、緊急性に乏しいと見なされ、後回しにされてしまっているという事実もあります。現在、飢餓に苦しんでいる人口は世界に約8億2,800万人で、およそ9人に1人が飢餓に苦しんでいるという計算になります。
 さて、世界を見渡してみると、様々な食糧問題が起きています。
 世界の穀物生産量は毎年26億トン以上となっています。世界中の人が十分に食べられるだけの食糧は生産されていると言われています。しかし、現実は、世界で8億人以上の人々が食糧不足なのです。
 気候変動による異常気象により、干ばつや洪水などの極端な気象現象が起こっていることから農作物に被害が及び収穫量が激減したり、穀物や果物などの食べ物の価格が輸送などによって高騰し、貧しい家庭層が手に取ることができないのです。食糧支援ももちろんですが、食糧が世界中のどの地域にも正しく行き渡る仕組みが必要です。
 子どもたちの食糧不足は途上国では命に関わる大きな問題です。
 2016年度の統計によると、ソマリアは5歳児未満死亡率が世界1位の国です。先進国では1,000人の子どもが生まれるうち、5歳未満で亡くなるのは2〜3人ですが、ソマリアでは8人に1人が5歳未満で亡くなるという最悪な数値となっているのです。この国では長年の紛争に加えて、気候変動による干ばつ・飢饉の恐れに常にさらされています。食べ物を手に入れたくても紛争地からの避難生活で困窮し、干ばつによる凶作などで食糧価格の高騰で買うことができません。
 一方、先進国では「食べ残し」や「賞味期限切れ」などで、消費段階で捨てられる食べ物が生産されている量の3分の1にあたる13億トンもあるのです。
 また、開発途上国においては、多くの農作物が収穫できたとしても「適切に保管することができない」「食糧を加工するための技術が十分にない」「食材を運ぶための手段やガソリンを買うお金がない」といった理由によって、食糧が必要である人たちに行き渡らないという現実に直面しています。
 先進国に住んでいる私たちが開発途上国に支援を行うことは大切なことですが、それ以上に食糧廃棄について考える必要があります。
 日本の食糧廃棄物は、年間約2531万トン(2018年環境省発表データ)です。そのうち、食べられるのに捨てられる食品ロスは、農林水産省・環境省の2019年度の推計で約570万トンです。国民1人当たりに換算するとお茶碗約1杯分の食べ物を毎日捨てている計算になります。ここ10年で100万トンほど減少しているものの、本来であれば食べられるはずの食糧が大量に廃棄されているのです。金銭的な支援を行う以上に、食糧の廃棄を見直すことで救われる命があります。
 ちなみに、2020年3月に発表された、2018年度のごみ総排出量は年間4,272トンにものぼります。東京ドームに例えると約115杯分もの量を廃棄していることになります。あくまでもこの数字は一般廃棄物の量ですので、産業廃棄物も含めるともっと多くの量のごみを廃棄していることになります。
 ごみは、リサイクルされるごみとリサイクルできないごみに分けられます。リサイクルできるごみは、工場に運ばれて新たなものへと生まれ変わります。リサイクルできないごみは、埋め立てをするために最終処分場に運ばれます。ここに運ばれてくるごみは約400万トンになります。
 最終処分場にごみを運び込む前に、焼却工場でごみを燃やし体積を大きく減らしています。これは、日本は国土が狭く、最終処分場を多く確保することができないからです。そのため、燃やすことでごみの体積を減らし、少しでも最終処分場が長く使えるようにしています。400万トンという数字はごみを燃やした後の数字なので、実際はもっと多くのごみがリサイクルをされずに処理されているのです。日本では焼却処分が主流なので、ごみを燃やす際に発生する二酸化炭素の排出も大きな問題になっています。
 イギリスの会社が2019年に調査した結果、世界では毎年21億トンを超えるごみが排出されていて、その中でもリサイクルされているのはわずか16%しかないことが分かったそうです。また、食品ロスの量は、先述したように13憶トンにものぼります。
 ごみ問題はどの国でも頭を悩ます問題です。特に、開発途上国や新興国では、ごみ問題によって他の問題が発生しています。開発途上国では、管理がずさんなためにごみが大量に捨てられているところが多いです。ごみの収集が行われず、各自で道ばたなどに捨てられたままになっている地域も多くあります。
 このことから、ごみによる異臭や衛生面で大きな問題になっています。新興国では、急激な発展により大量のごみが発生する一方で、ごみの処理が追いついていないために、ごみの山ができている地域があります。このような国のごみには、プラスチックなど自然に分解されないごみも多く含まれます。放置していると有害物質が発生したり、火事になったりすることもあります。また、有害物質が川や地下水などに混じると公害問題に繋がる場合もあります。
 開発途上国や新興国のごみ問題の解決に日本をはじめとする先進国も動いていますが、自国の対策だけでは通用していないのが現状です。ごみ問題を解決するためには、調査を行い、その国の事情に合わせた対策をとることが必要とされています。
 こうしたごみ問題の原因は、もうおわかりのとおりです。
 技術の発展により、過剰包装、使い捨て商品の増加、モノを安価に入手できるようになるなどの便利さが私たちにもたらされました。便利さによって私たちは、モノを大切にしなくなったり、たくさんモノを買うようになったり、すぐにモノを買い替えたりするようになりました。モノが溢れるようになり、それに伴って必然的にごみも発生するようになりました。
 家庭から排出される粗大ごみや不燃ごみは粉々にしたあと、鉄やアルミなどが回収されます。回収したあと、残ったものを「不燃破砕残渣(ふねんはさいざんさ)」と呼びます。また、ごみが燃えた後に燃え残った灰(焼却灰)と発生した排ガスが冷えたときに発生する灰(飛灰)を「焼却残渣」と呼んでいます。これらの残渣たちは最終処分場へ埋め立てられていますが、その最終処分場にも限りがあります。
 2020年3月に発表された最終処分場の残余年数は21.6年といわれています。このままのペースでごみを破棄し続けていると、約22年後にはごみを埋め立てる場所がなくなってしまうということです。これも衝撃的な数字だと思われませんか!
 さらには、焼却炉でごみを燃やした際に温室効果ガスである二酸化炭素が発生することによって、地球温暖化が進んでしまいます。地球温暖化が進むと、人間だけではなく動植物にも大きな悪影響を及ぼします。また、ポイ捨てやごみの不法投棄によって、山や海などの環境も破壊されてしまいます。実際に日本の川に不法投棄されたものが、外国の海岸へ流れ着くといった事例も報告されています。
 では、国レベルで、どのような対策が打たれているのでしょうか? これも知っておきたい点だと思います。
 日本ではゴミ問題の顕在化に伴い、さまざまな法律が制定されています。

★循環型社会形成推進基本法
 循環型社会とは、「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」のことです。国や地方公共団体、事業者がごみ問題や環境負荷の低減への取り組みを進めるにあたっての基本原則などが規定されています。

★廃棄物処理法
 ごみの排出を抑制し、適切な処理方法を定め、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。私たちはたくさんのごみを出していますが、この法律のおかげでごみ問題が原因となって発生する新たな問題の抑制に繋がっています。

★資源有効活用促進法
 循環型社会を形成していくために必要な「3R」(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを推進することを目的としています。事業者に対しては、3Rの取り組みが必要となる業種・品目を指定して、製造段階における3R対策、設計段階における3Rの配慮、分別回収のための識別表示、リサイクルシステムの構築などを規定しています。この法律のおかけで、たくさんのものがリサイクルされるようになったり、再利用できるようになりました。

 他にも、製品の特性に合わせて「家電リサイクル法」「容器包装リサイクル法」などの法律があり、そこでも3Rが推進されています。
 日本も深刻なごみ問題に悩まされてきました。そのため、上述した法律などによる循環型社会の形成や3Rの推進などにより、2000年と比べ、資源生産性は約6割向上し、最終処分廃棄量は約7割の削減を達成しています。
 では、私たちが具体的に、日常生活でできることはどんなことなのでしょうか?
 3つあげてみます。
 1つ目は、何度か目にしていただいた「3R」です。
 3RはReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称です。循環型社会を実現するための重要なキーワードになっています。

@Reduce:使用する資源の量を減らしたり、ごみの発生自体を減少させること
例:プラスチック製品の使用を減らすこと、割り箸をもらわないこと、マイバッグを持ち歩くこと、など

AReuse:一度使用した製品やその部品を何度も繰り返して使用すること
例:マイボトルを持ち歩くこと、詰め替えで繰り返し使える製品を選ぶこと、服を清潔に保ち長く着続けること、など

BRecycle:ごみを原材料やエネルギー資源として再生利用すること
例:ごみを決まりに沿って分別して出すこと、再生紙・再生プラスチック商品を使用すること、など

 2つ目は、「必要なものだけ買う」こと。
 無駄な買い物をしないことでごみを減らすことができます。買い物する際は、本当に必要なものかどうか考えて購入するということですね。不要なものを買うと、使えるのに捨てるものが増えてしまいます。買いすぎにも気をつけたいです。
 3つ目は、「食品ロスを減らす」こと。
 食品ロスとは、本来食べられるものなのに捨てられてしまう食品のことです。食べ残しや、売れ残りの廃棄などが食品ロスとして当てはまります。食品ロス問題もごみ問題を考える上では切っても切ることができない問題です。前半に触れた、「飢餓」問題解決のポイントもここにあります。

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 こうした「ごみ問題」と地球の未来に真っ向から向き合った結果生まれた作品。
 白鳥哲監督の『ゼロ・ウェイストPLUS』
 一緒に観て、一緒に考えてみませんか!
 私たちの、未来を託す子どもたちのために……。
 いま、まさに「未来への分水嶺」です。

【公益財団法人舩井幸雄記念館主催
舩井幸雄記念館・桐の家 開館7周年記念イベント】
「未来への分水嶺」
映画『ゼロ・ウェイストPLUS』上映会&トークショー

*【日時】:2023年7月9日(日) 12:30〜16:30
*【会場】:ステーションコンファレンス東京 6階(JR東京駅日本橋口直結)
     ※オンライン参加も可能です。
*【プログラム】:
12:30〜12:40 ご挨拶と活動報告(佐野浩一) 
12:40〜12:50 ご挨拶(椛D井本社・舩井勝仁)
12:50〜13:00 ご挨拶{白鳥哲氏}
13:00〜14:10 映画『ゼロ・ウェイストPLUS』上映
・・・・・休憩・・・・・
14:30〜15:00 白鳥哲氏トークショー
15:00〜16:00 白鳥哲氏&佐野浩一トークショー
16:00〜16:30 佐野浩一トークショー
*【入場料金】:
一般   :3,000円
賛助会員 :2,000円
学生   :1,000円 
オンライン:2,000円                                           
*【お申込み】 右上のQRコードからお願いいたします。
                       
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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けている。
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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