トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2023年6月19日
家族の枠 (※舩井勝仁執筆)

 噂で買って事実で売る。相場の格言のひとつですが、FOMC(米連邦公開市場委員)が久しぶりの利上げの見送りをきめたにも関わらず、その直後のマーケットは売られました。私でも、今回は利上げを見送るが次回以降の利上げ継続に含みを持たせるだろうという市場の見込みを知っていましたので、まさに格言通りの典型的な動きをしているようです。ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、利上げは決めました。こちらは景気よりもインフレに対処することを優先したということになりますが、日銀の対応も含めて難しい局面にあるのは間違いないような気がします。
 岸田総理が今国会での解散をしないことを発表したことも相場にはマイナスになっているという見方もあるようです。岸田総理は来年秋の自民党総裁の任期までは解散しないような気もします。何を考えているのか、よくわからないのが岸田総理の真骨頂なので、解散を絶えず意識させながら実は機が熟するまでじっと待つのが岸田総理らしいやり方だとも思います。もちろん、私は政治に関してはまったく素人なので、あてにはなりませんので、外れてもご容赦ください。
 大きなトレンドで行くと、日本の株価はまだ上がっていきそうな気もします。年内に36,000円説が大手のマスコミなどの論調でも言われるようになってきましたし、期限は明記しませんが、史上最高値の更新も視野に入ってきたように思われます。ただ、来年か再来年にはアメリカの大統領選挙など不確定要因が多くありますので、何が起こるのかわからないのも事実です。

 上記までは、金曜日の朝のマーケットが始まった直後に書いていたのですが、午後になって日銀の金融政策決定会合の結果が発表になって大規模緩和が維持されるという報道がなされると株価はプラスに転じて、前日比220.59円高の33,706.08円で終わりました。先はわかりませんが、やはり目先は上昇のエネルギーが強いように感じます。こうなってくると、やはり投資の勉強をしなければうまく生きていけないという社会になってきたのかもしれません。
 投資をするのは簡単ではありませんし、ある程度政治経済の流れを知っておかなければ痛い目にあうことにもなりかねませんが、いまは誰でもが経営者マインドを持たなければいけない時代だと考えると、難しく考えずに大まかに方向性を捉えていくことには挑戦していただければと思います。舩井本社グループでは、そのための情報発信をこれからも続けていこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回紹介する書籍は『人生を拓きたければ「知覧の英霊」に学びなさい:幸せと繁栄の極意』(大和出版)です。著者の武田勝彦さんは、特攻資料館のホタル館特任館長を務められている友人で、精力的に知覧にかかわる活動をされています。ホタル館とは、富屋食堂という大東亜戦争末期の陸軍指定食堂の事で、鳥濱トメさんという女将さんは最後の晩餐を振る舞う「特攻の母」と呼ばれた方でした。武田さんは岡山の人で鹿児島出身ではありませんが、知覧へ通い関係を深める中で任命された経緯があります。
 冒頭の、特攻隊員の皆様への『ごめんなさい』。知覧特攻平和会館は実際に私も何度か足を運んだことがありますが、非常に厳かで、強い念のようなものを感じる場所です。感受性の高い武田さんは、英霊からのメッセージを強く感じたのでしょう。
 本書内では武田さん個人のエピソードを交えながら、特攻隊の関係者や子孫の方から実際に聴いたお話が多数載っています。岡山で生きてきた武田さんがどのようにして知覧と強く結びつくようになったのか。その過程で何に気づき、得て、それを我々に発信してくださったのか、涙なしでは読めない、心を強く揺さぶられるエピソードが多く載っています。
 特攻は決して無駄ではなく、強い意味があったことを証明する記述が多くなされている中で、特に非常に印象に残ったエピソードの一つですが、一般的には片道分の僅かな燃料しか与えられず、逃げる事を許されない中でおこなわれていたと認識されている特攻機ですが、実際には逃げることが可能なレベルの燃料を搭載されていたようです。
 いまとは違う時勢や意識などがあったにせよ、逃亡する事が可能だった彼らは、大切な人たちや未来のために自らの命を捧げたのです。隊員の皆さんが命を賭して守ってくださったからこそ、私たちは生まれてこられた。いただいた大切な命を無駄にせず一生懸命に、この意識を持って日々を力いっぱい生きていきたいです。
 最後に、私が本書を読んで一番心に残ったお話を紹介させていただきます。
 名前も何も明かさないという約束でお話を聞いた、インタビュー時には多分、90歳を超えていた元飛行機乗りの方のお話です。

(引用開始)

「特攻隊員たちは天皇陛下やお国のためよりも、愛する人や、大切な家族のために逝かれたんですよね?」
 事実、そうなんだな……と、ここまで本書を読んでくださった方ならば、ご理解いただけるのではと思います。
 でも、彼はまるで若い頃の兵士だったときのような厳しい表情になり、静かな声で言ったのです。
「君には、奥さんはいるかい?」  
 その変貌ぶりに私は驚き、あぐらを正座に直して、質問に答えていました。
「はい……」
「奥さんには兄弟がいるかい?」
「はい……」
「その兄弟には、配偶者がいるかい?」
「はい……」
「その配偶者は、君にとって家族かい?」
 義理の弟妹とか、親戚に会う機会はよくあります。女房の兄弟の配偶者は、しょっちゅう会う関係です。だから言いました。
「はい、家族です……」
「その配偶者には兄弟がいるかい?」
義妹の披露宴で一度だけお会いしています。
「はい……」
「その兄弟には配偶者はいるかい?」
 もうわかりません。
「その方は、君にとって家族か?」
 質問に答えられないでいると、
「その配偶者には兄弟はいるかい?」
「その兄弟は君にとって家族かい?」
 私はどんどん答えられなくなり、じっと下を向いてしまいました。
 それでも同じ質問が続くのです。
 いたたまれなくなり、その場に土下座しながら、
「何か大変失礼なことを申し上げました。申し訳ありませんでした!!」
 と、大声で叫んで言いました。すると、
「武田君、頭を上げてくれたまえ」
 私は顔を上げ、おじいちゃんを見ました。その声は柔和に戻りました。でも、顔色は変わっていませんでした。そして最後に一言、こう言われたのです。

「勝手に家族の枠を決めないでほしい」

 それっきり、この方にお会いする機会はありませんでした。
 頭の中に残るフレーズ、
「勝手に家族の枠を決めないでほしい」。
 彼ら命をかけた先人たちは、私たちが考えるもっともっと大きな枠組みで「家族」を捉えていたのかもしれない。同じ時代を共に生きる同じ地域の方々も。何代もさかのぼった先代も。これから生まれてくる命まで。彼らはすべて家族と思っていたのかもしれない……。

(引用終了)

バックナンバー
2023.06.26:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ごみと子どもたちの未来 (※佐野浩一執筆)
2023.06.19:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】家族の枠 (※舩井勝仁執筆)
2023.06.12:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】フローに向かう! (※佐野浩一執筆) 
2023.06.05:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】インドを感じる (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けている。
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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