トップが語る、「いま、伝えたいこと」
そもそも「ストレス」とは、機械工学の用語で「物体のゆがんだ状態」を意味するものだったそうです。そのゆがませる要因を「ストレッサー」と呼びます。このストレスの概念を医学に持ち込み、心身に各種の刺激を引き起こすものを「ストレッサー」、それにより心身がゆがんでいる状態を「ストレス状態」と表すようになりました。
もっと端的に言うと、自分にストレスを与える人(もの)、ストレスを感じさせる人(もの)、を「ストレッサー」とうことですね。
ゴムボールを上からギュッと押しつぶした状態を考えてみると、ボールをゆがませた手の力が「ストレッサー」であり、それによりボールがゆがんでいる状態が「ストレス状態」ということになります。
では、こうしたストレス状態を引き起こす「ストレッサー」にはどういうものがあるかをまとめてみると、次のようになります。
★外的ストレッサー
物理的ストレッサー=「自然」に代表される外部環境(寒暖の変化、騒音、高低音による刺激など)
社会的ストレッサー=「社会環境」(経済状況の変化、人間関係など)
★内的ストレッサー
心理的・情緒的ストレッサー=「個人的な状態」(緊張、不安、悩み、あせり、寂しさ、怒り、憎しみなど)
生理的・身体的ストレッサー=「生理的状況の変化」(疲労、不眠、健康障害、感染など)
ストレッサーは、上記のように自然に代表される外部環境や社会環境を要因とする「外的ストレッサー」と個人的な状態や生理的状況の変化を要因とする「内的ストレッサー」の2つに大きく分けられます。
つまり、ストレスは社会や人との交流だけでなく、暑さや寒さなどの生活環境からも生じます。このように私たちは実にさまざまなストレッサーにさらされているため、常にストレスとは切っても切れない生活を送っているということになります……。
そこで、実にユニークな「反論」が登場したのです。
その「反論」の主は、あの小林正観先生でした。
「自分にストレスを与えるもの」がはたして地球上に存在しているのかというと、実は存在していないのではないか……と。
ある現象が起こるとします。その現象について、「私」が何も感じなければ、その現象は、私にとって何の関係もない出来事となります。
一方、目の前の現象について、たとえば「私」がイライラするとすれば、その瞬間に、それはストレッサーになります。
ということは、「私」がストレスを感じなければ、ストレッサーは存在しないことになります。
なんだか、“屁理屈”のように感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
でも、これはある意味、事実です。
たとえば、目の前で、自分にとってとんでもなく不都合なことが起きたとします。これに対して、「なんで、こんなことが起きてしまうんだ!ありえないじゃないか!」と心が動くと、明らかにこれはストレスです。
しかし、「こんなことが起きるなんて、これはきっと何かを学ぶチャンスかもしれない」などと捉えると、むしろ「学ばせてもらった。感謝しないといけないな!」と、心は自然と前を向いていきます。
実は、このことを、舩井幸雄は、「自分に起きる物事は、すべて必然、必要、ベスト」だと説いたのです。いま、本稿を書きながらあらためて感じたのですが、これは舩井流のストレスと向き合う方法、あるいはどんなこともストレスにしない方法であったわけです。だから、舩井幸雄は舩井幸雄だったわけですね……。
さて、先ほどの提起に戻りますね。
ストレスを与えるもの、こと、人が存在するわけではなく、「私」がストレスを感じたときに、はじめてストレッサーが生まれるというとらえ方。舩井幸雄の考え方、生き方と通じるところがあったのです。
ここには、その人自身の「レジリエンス」も関係してきます。レジリエンスとは、ご承知のとおり、「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味します。「レジリエントな」と形容される人は、困難な問題、危機的な状況、ストレスといった要素に遭遇しても、すぐに立ち直ることができます。ストレスを受けてからの強さ、しなやかさを示すものです。
ただ、ここでは、そもそもその人が備える「寛容性」や「許容度」「柔軟性」に焦点を当てたとき、どうなるか……という観点です。
「私」の寛容度・許容度が5だとします。そこに、ストレッサー度10の物事が起きたとします。この場合は、ストレッサー度が上回っていますから、当然、「私」はストレスを感じます。でも、「私」が寛容度・許容度を20持っていれば、ストレッサー度10なんて大したことありません。
こう考えると、仮にストレッサー度20の人があらわれる前に、「私」の寛容度・許容度を30に上げておけば、やり過ごすことができます。
つまり、ストレッサーとストレスを感じる「私」との関係は、「相手のストレッサー度」対「『私』の寛容度・許容度」の問題であることに気づきます。
ここで、ストレッサーを「人」にしぼって考えてみます。なぜばら、ほかのストレッサーには、ある程度、私たちは対処法を知っているからです。
外的ストレッサーでは、たとえば、寒さなら、寒くないように暖かい服装をする、部屋の温度を上げる、お風呂に入るなどして意図的に体温を上げる……など、100%拭うことはできませんが、対処の仕方を知っている場合が多くあります。
内的ストレッサーについても、重度の疾病については、また別の機会に議論を移したいと思いますが、生活習慣を変えることで改善できることは多くあります。しかも、たいていの場合、その対処法は書物やネット上で調べて、対応することが可能です。
ただ、「人」に関連するところでは、いろいろ紹介されてはいるものの、個人によって皆、心的状況は異なりますから、なかなかむずかしいですよね。
小林正観先生は、著書「ありがとうの魔法」(ダイヤモンド社)につぎのようなことを書いていらっしゃいます。
どうすれば「私」の寛容度・許容度を上げることができるか?
どのような「修行」をすればよいのか?
じつは私たちは、寛容度・許容度を上げるための「修行の場所」をすでに持っています。その修行の場所を「日常生活」と呼びます。24時間365日が、丸ごと「修行」の場なのです。
修行の相手は、妻、夫、子ども、親、兄弟、上司、部下、先輩、後輩、友人、知人といった、ありとあらゆる人、もの、ことです。
私たちは、こうした人たちを相手に、寛容度・許容度を上げるための「修行」をさせていただいているようです。
そう考えることができたら、「私」の寛容度・許容度を上げさせてくれる相手に、思わず頭が下がり、手を合わせたくなるのではないでしょうか。
「うーーん」とうなってしまうところもありますが、たしかにおっしゃる通り……。
正観先生のように極められた方は、このように考えて周囲の人と関わっていらっしゃったのですね……。
毎日が「修行」。
周囲にいてくださる人たちは、そのためにいてくださるのですね。
自分自身の寛容度、許容度を上げるために、天がご用意くださった大切な学びの師。
頭を垂れ、手を合わせる……。
そんな心で接すると、人がストレッサーになんてなり得ないですね、たしかに。
「修行」します……。
感謝
2024.04.22:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】視点を変えて、日本を変える (※舩井勝仁執筆)
2024.04.15:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】小林正観先生に学ぶ、ストレッサー対処法 (※佐野浩一執筆)
2024.04.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】女神の目覚め (※舩井勝仁執筆)
2024.04.01:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】自立とは依存先を増やすこと (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |