トップが語る、「いま、伝えたいこと」
「なんで生きるかというと、死ねねえからだよ。」―立川談志(落語家)
ある意味、名言だなって思います。
もうずいぶん前のことです。
10代の若者の討論番組で、落語家の立川談志さんが出演していました。そのなかで、ある若者から、「人は何を求めて生きるんだろう?」と、生きる意味を問われ、談志さんは、「なんで生きるかというと、死ねねえからだよ。死なないから生きているとしか言いようがないだろ」と言い放ったのだそうです。
哲学的に解釈をすると、人間は、「生きる意味」を持って生まれてくるわけではなく、自分の意識が目覚めた状態で「生きている」と実感するだけ……。つまり、「生きる意味」というものは存在しない……ということになります。
「生きている」とは、単に「死んでいない」という状態のこと。自分が「生きている」という現実が先にあり、「生きる意味」「生きる理由」「生きる目的」は後から考えるものであって、すべて後づけです。
だから、いろいろ悩み、試行錯誤し、あるいは熟考した結果、「生きる意味が見つからない」というのは、実に正しい結論であるとも言えます。要するに、もともと存在しないものなので、見つかるはずがない……という1つの結論が導き出されるということです。
ちなみに、ドイツの哲学者・カントは、「人間は自分の存在意義(世界そのもの)を知ることはできない」と言い切りました、近代哲学の祖と言われるカントですよ!そのカントが、「人間とは何か?」について長年考え続けた結論が、この言葉なんです。
自分の生きる本当の意味を自分で理解することはできない……。つまり、生きる意味が見つからないのは、哲学的にも正解だということです。
でも、やっぱり、「ちょっと待てよ……」と問う自分もいます。
「人間の真の存在意義」を人間は知ることはできない……。反芻してはみても、「これが自分の生きる意味だ」「生きる目的だ」と感じる瞬間って、実際にはあります。いや……、あったように思うのです。
仮に若いころに、こうした何かを感じたとしても、それをそのまま現在も持ち続けていて、一生変わらない……なんていう人っているのでしょうか? 自分が感じる「生きる意味」や「生きる目的」は、絶対的で固定的なものではなく、変化したり、揺れ動くものです。言い換えるなら、「生きる」ということは、「生きる意味を考える長い旅」なのでしょうね。
一生をかけて「生きる意味」「人生の意味」を考え、死ぬ間際に「意味がある人生だったな……」って思えたとしたら、それはとても幸せなことなんだと想像します。
ある瞬間、「人生の意味がわかった」と思っても、それは移ろいやすく、いつか変化していきます。だからこそ、「生きる意味」を求めて、思索を深め、行動し、苦悶することには非常に意味があります。そこには、必ず自己成長が起きるからです。その成長の積み重ねこそが人生と言えるのでしょうね。
ちなみに、そのものズバリ!「生きる意味」(2006年、PHP研究所刊)という書物があります。あの、ネットワーク地球村代表の高木善之先生のご著書です。
そこには、つぎのように書かれていました。
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(引用開始)
「世界は愛によって創られている」と思ってみるとどうでしょう
他の人に迷惑でない限り、どう考えてもいいのです。
「自分が生まれてきたのは失敗だった」と考えたら、すべてが失敗になりますね。
「自分が生まれてきたのは必然であった」と考えてみれば、自分はなくてはならない存在になりますね。すると、自分を取り巻く人すべて……、お父さんもお母さんも、おじいさんもおばあさんも、その人を育んだふるさとも、なくてはならない存在になります。
だから、自分を愛するということは、この世界そのものを愛するということなのです。
自分が忌まわしい存在だったら、お父さん、お母さんも、おじいさん、おばあさんも、この日本も、この世界も忌まわしい存在となります。
だから、大切なのは、自分を好きになることです。自分を好きになることで、すべてが好きになり、すべてに関心を持つことができます。
それを忘れると、多くのことに無関心・無責任になってしまいます。
いまの世の中がおかしいのは、多くの人が、無知、無関心、無責任だからです。
ということは、いまの世の中、自分を大切に思っていない人が多いのです。
自分を愛すること、自分を大切に思うことがいかに大切なことか。
そのことで、すべてのことに関心を持ち、みんなの幸せを実現したくなるのです。
それは素晴らしい生き方、素晴らしい意識、価値観なのです。
私は、そんな生き方を見つけたから、そういう生き方をしてみないかと、世界の中心で(心の中から)叫び続けているのです。
みんなが自分を大切に思うようになれば、みんなを大切に思い、すべてのことに関心を持ち、馬鹿なことはできなくなります。決して戦争などしない、決して不公正なことはしない、未来を破壊することなど、絶対にできないのです。
そういう生き方を、私は、見つけてしまったのです!
(引用完了)
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まず、大前提は、自分が生まれてきたのは必然だったと考える……。
そうすると、自分を愛することできる。
自分を愛することができれば、すべてが大好きになり、すべてに関心を持つことができる。その結果、無知、無関心、無責任でなくなる。さらには、みんなの幸せを実現したくなる……。
高木善之先生は、実は、この文章のなかでも、「生きる意味」について明言されているわけではありません。やっぱり、「正解」はないのかもしれない……と思いつつ、でも、少しわかる気もしてきました。
きっと、時間をかけて、一生をかけて、「生きる意味」を考えて、歩んでいくのが、1つの正解なんだと……。
「生きる意味」「生きる目的」を考え、多くの人は悩みます。
私もその1人です。
ただ、正解を求めて「結論」を出すことではなく、考え続けて自分なりに意味を見出していく「過程」が大事なんだと思います。
結局のところ、自分と丁寧に向き合っていかないと、「自分がしたいこと」や「自分の方向性」がわからず、他人に流された生き方をせざるを得ません。
だから、とくに若い人たちに言いたいことは、「生きる意味」についてじっくりと時間をかけて考えてほしいと思うのです。私たちだって、わかっているようで、わかっていないことが多いのですから、焦る必要はないですよね……。
時間をかけること。
きっと、そのことに意味があるのだと思うのです。
舩井幸雄は、たった一言。
「人は幸せになるために生まれてきた」と言いました。
舩井も、きっと多くの試行錯誤や経験、思索を繰り返しながら、この1つの答えに行き着いたのだろうと思います。
だから、私自身が、自信と確信をもって、そう言い切れるかというと、まだそうではありません。
でも、ふとこう思ったのです。
「こうしたい」「こうなりたい」「こうでありたい」という自分の「あり方」は、自分で決められます。高木先生が、先の引用部分でお伝えになりたかったのも、この「あり方」についてです。
どうやら、「生きる意味」はこうした「あり方」を追求していく先に、見つけられるのかもしれません。
感謝
2024.05.20:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】暴落ドミノ (※舩井勝仁執筆)
2024.05.13:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】いまを生きる! (※佐野浩一執筆)
2024.05.06:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】スピリチュアル本 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |