トップが語る、「いま、伝えたいこと」
前回は、相場の予想をすることの難しさと予想が外れたことの懺悔をしたのですが、この2週間の動きはそんなレベルを超えた大変動でした。専門用語では、変動幅が大きいもしくはボラティリティが高いというのですが、いまの金融工学の考え方では変動幅が高いことが、リスクが高いということとイコールなので、現行はかなりリスクの高い状態に相場はなっているということになります。新聞などにははっきり書いていませんが、民放のBS局などの番組を見ているとはっきり言われているのは、今回のハイリスク状態を招いた主犯は日銀が金利を上げた金融政策決定会合だったのは間違いありません。
日銀というか金融当局もある程度の相場の変動が起こることは予想していたようですが、円キャリートレード(円キャリ:外国人投資家が金利の安い円で調達して、それを金利が高い例えば米ドルで運用すること)の巻き戻し(円を空売りして円安を誘導して海外投資家にとってより有利な状態を作っていたのですが、その反動が出て予想以上の空売りの買戻し(結果として円買い))が激しく起こり、その結果、急激な円高を招いて、それが日本株の暴落に繋がっていきました。クレバーな海外投機筋はこの可能性をある程度シュミレーションしていて、日銀の利上げをきっかけにしてかなりの利益をあげたのではないかとも思います。
こういう状態のときは、素人投資家は何もしないことが一番賢い対応ではないかなと思います。怖くなって慌てて投げ売りするのは、投機筋の思うつぼです。逆に言うと、株が高くなった時に高値掴みをするのも同様に彼らの思うつぼなので、平常と変わらない投資行動をすることを心がけることが大切だと思います。素人にとって一番安全なのは、やはりドルコスト平均法(毎月同じ銘柄を同じ金額ずつ積み立てていくこと。NISAとの相性がとてもいい手法です)で長期投資をしていくことだと思います。そして、怖がりの人は、こういう時は相場の動きを見ないようにすることも恐怖心をやわらげる有効な方法です。
ちょうど、このタイミングで世界一わかりやすいお金の先生である友人の土井広文さんとお会いしたのですが、何も慌てることもぶれることもなく、世界で一番使われていない資源は、日本人が持つ2千兆円を超える個人金融資産で、そのうち約半分が預貯金という形でほとんど利子もつかない銀行預金になってしまっていることだという話しをしてくれていました。海外の投機筋による攪乱はありますが、いまは、シンプルに対応すれば逆に真面目な投資家にとってはプラスになるノウハウも確立しているので、興味がある方は、土井さんをはじめとする地道に真面目な投資を勧めてくれる専門家のアドバイスを受けられることをお勧めしたいと思います。
今回紹介する本は、そんな平常心を養う上でもとても大切なことを教えてくれる、濱田恭子著『仕事がうまくいく人は「人と会う前」に何を考えているのか』(青春出版社)です。
著者の濱田先生とは親しくさせていただいていて、個人的にもいろいろは的確なアドバイスをいただいています。相場だけではなく、企業経営や日常生活においてもいろいろと感情を揺さぶられるような出来事(南海トラフ地震の緊急情報まで出されました)が頻発しており、平常心をキープすることの大切さがますます高まっていることを考えていると、まさにいま読むべき必読書ではないかと思います。
様々なAIが発達し、仕事の在り方が変わっていく時代。だからこそ、人間としての強みを活かして働いていく必要もあります。その強みを活かすために必要であり、人間だからこそ持ちうる要素の代表格は、やはり対人、コミュニケーション能力です。同僚や取引先、仕事関係の人間相手にどのようにコミュニケーションを取れば上手にいくのか、本書はそれらについてヒントを与えてくれる内容が書かれています。
第一章は、基本的には相手の気持ちに立って考えて行動する、という内容が続きます。例えば冒頭から登場する、即答するのではなく、短時間でもいいので考える癖をつけるというのはある程度実践していますが、非常に有効である事は身を持って感じています。他にも不足しがちな部分のコミュニケーションを補う、ネガティブな要素をポジティブに変換する、笑顔で関心を持っているように相手の話を聴く等、実際に効果を感じた事のある方も多そうな内容が並んでいますが、果たして我々はそれらを継続的に行えているのでしょうか。本書内の記述について、改めて読み返し、意識的に行動していくと大きな効果を得られるかもしれません。
また、第二章部分の、本書の核となるとも言える感情についての項も興味深いです。自分や他人の感情を理解し分解、紐解いていく事で、見えにくい部分について知る事が可能になります。章内にもありますが、若い、特にZ世代と呼ばれる人との接し方もこれらを応用すれば身に付けられるかもしれません。会話のコツ、脳内の意識改革、感情の整理。人間としてAIに負けない強みを磨いていく。そのために必要な一冊であるように感じました。
最後に少し矛盾しますが、大きな地震でも余震があるように、相場の変動でもこれだけ大きなボラティリティが起こると30日以内ぐらいに再び大きな変動が起こる確率が高いという経験則があります。その時こそ、感情のコントロールをしっかりして平常心を保つことにチャレンジするチャンスだと思いますので、逆に楽しみに待ち構えていていただければとも思います。
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2024.08.19:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】舩井幸雄と道(タオ) (※佐野浩一執筆)
2024.08.12:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】人間の強みを活かす (※舩井勝仁執筆)
2024.08.05:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ピンチはチャンス (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |