トップが語る、「いま、伝えたいこと」
激動の8月初旬の相場を市場はとりあえず乗り越えたように感じています。先週金曜日には、日銀の植田和男総裁が国会の閉会中審査で、相場の乱高下の後に内田真一副総裁の「市場が不安定な状況で利上げすることはない」という発言との間に金融政策の考え方に違いはないと答弁して市場を安心させたこともあり、日経平均は前日比153円26銭(0.40%)高の3万8364円27銭で終わりました。とりあえずは安定的な相場の動きになりやすいゾーンまでは戻した感じがしています。不安材料はなかなか為替が円安方向に動かずに、どちらかというと円高方向への動きを探るような勢いであることです。
あれだけ、円安の弊害が言われていたのですが、本音で言うと企業業績やマクロなレベルでの日本経済への影響を考えると、やっぱり円安の方がベターだという市場(持てる人たち)の本音が垣間見えたような気がします。7月の消費者物価は2.7%の上昇でインフレ傾向は続いているものの、生鮮食品とエネルギーを除くと1.9% で金融当局の想定範囲内に収まってきました。気候や為替の変動による部分までは取り込めませんが、やはり消費者の節約マインドが強いのでインフレは金利水準に関わらず収まってきています。最も、インフレを加味した実質賃金は下がっているので、これで贅沢をしろということには無理があるのだとも感じます。
金融当局のシナリオは、ある程度の利上げをなるべく早くしておきたいというものだと思います。これは、いざという時に利下げというカードを使えるようにしておきたいということが金融当局の本能であり、米FRBのパウエル議長がなかなか利下げをしない大きな理由にもなっていると思います。特に、もしトラ(もしかしたら、トランプ再選)になった場合には不確定要素が多いので、利下げというカードの温存を図っておきたいという本音から来ているのだと思っています。
私は、ほぼトラ(確実にトランプ再選)と思っていましたが、バイデン大統領の撤退とハリス副大統領を民主党の候補に選んだことで大激戦になったという報道が多くなってきました。もしトラぐらいになってしまったような気はしますが、やっぱりトランプ再選の可能性がまだまだ高いと見ています。そして、個人的な好き嫌いは置いておくと、日本にとっては共和党のトランプ候補が勝ってもらった方が、対応はやりやすいと思っています。その場合に、自民党の総裁選で誰が勝つのかは重要な問題で、典型的なオールドスタイルの組織の論理で選ばれてしまうような人がリーダーになると、逆にトランプ氏に振り回されるような気もします。このような不確定要因が確実に広がっているのは、本当にこれからますます混迷の度を深めていくことを象徴しているようにも感じます。
今回紹介する本は、山平松生著『波動を上げて、意識を変える ああ、楽しかった精神世界』(風雲舎)です。風雲舎の山平社長が、膀胱がんと宣告された事をきっかけに書き始めた自叙伝です。風雲舎を設立するまでの教員、出版社で働いていた部分から始まり、山平社長の人となりを知った上で物語は始まるのですが、本書はある意味で山平社長の視点を通して、日本における(山平社長が独断と偏見で関わってきた)スピリチュアル業界の歴史を知る事のできる、歴史書としての側面もあるように思います。個人的にも、大手出版社にいらっしゃったときから、人生について(例えば、お酒の飲み方等)、多くのことを教えていただいた大恩人でもあります。
スピリチュアルに関わらず、60年代安保に当事者として濃密に関わられた経験から、日本の戦後史を作ってきたと言ってもいい、だけどいまでは存在を知る方も減り語られる事も少なくなった偉人とも呼べる方々が、周囲にどのような影響を与え、世界の流れを築いてきたのか。一般的な歴史とは違い、記録が残り辛いこの世界において、非常に価値のある部分です。実際読み進めていくと、とにかくたくさんの方の名前が登場します。出版関係者であるからこその量、まるで事典のようです。スピリチュアルの世界にも様々な価値観を持つ方がいますが、これだけの人数になれば自らが探しているものに近い答え、思想を持った方を探す事もできるでしょう。
本書には舩井幸雄も登場し、業界でどのような影響力を持ち、出版関係者からはどのように見られていたのか、それを知る事ができたのは、個人的に興味深い部分でもありました。
そもそも、そこまで肩肘張って読まずとも、純粋に読み物として面白い本であると思います。とにかく登場人物は非常に個性的です。スピリチュアルの世界で名前が挙がる方はほぼ確実に、非常に魅力的な側面を持っています。それを山平社長の知識や経験による味付けも相まって飽きる事のない表現がなされている事も大きいでしょう。
タイトルからは遺書のような側面も持っているように感じ、正直少し手に取りにくい雰囲気もあります。しかしスピリチュアル系の出版の世界で生きた特殊な経歴を持つ方の世界を知り、文章を通じて読者も少し経験できる。知的好奇心を満たしてくれる一冊でした。近々、仲間内だけの出版記念会も予定されているので、偉大でユニークな出席者の方々との交流を深めるいい機会にするとともに、本音丸出し(山平社長はこれ以外のスマートな生き方はできない方です)の素晴らしいご著書を出版してくださったことに、心からの御礼を伝えてきたいと思っています。
=以上=
2024.08.19:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】舩井幸雄と道(タオ) (※佐野浩一執筆)
2024.08.12:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】人間の強みを活かす (※舩井勝仁執筆)
2024.08.05:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ピンチはチャンス (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役社長 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。 |